2018上半期 注目製品ホンネレビュー[VRヘッドセット編]
&GP / 2018年6月27日 20時0分
2018上半期 注目製品ホンネレビュー[VRヘッドセット編]
ハイエンドなPCに接続する、もしくはVR映像を表示中のスマホをセットする従来の方法とは一線を画し、ヘッドセット単体でコンテンツを楽しめるのが、スタンドアロンタイプだ。「Oculus GO」と「Lenovo Mirage Solo」という2モデルがそれに当たり、いずれも2018年上半期に登場。ヘッドセットを装着すれば、VR体験をすぐに楽しめる。そんな“一体型モデル”を中心に、今年登場した最新の新鋭機に関する使用感をお伝えしよう。
■“体を動かす”本格的なVR体験を気軽に味わえる!
レノボ
「Lenovo Mirage Solo with Daydream」(実勢価格:5万5200円前後)
GoogleのVR専門プラットフォームに対応し、250タイトル以上のコンテンツを楽しめる。 CPUはクアルコム製の高性能プロセッサーで快適なゲーム体験を味わえるのも魅力だ。
●電源:内蔵バッテリー(4000mAh /約3時間使用可能)
●ディスプレイ:5.5型IPSパネル(2560× 1440ドット)
●サイズ:W204.01×H179.86×D269.5mm
●重さ:約645g
▲直接肌が触れる部分にはソフトタッチのクッションを採用。視野角は110度で、首を振らなくても映像の世界を十分見渡せる
一体型VRのMirage Soloは接続の手間もなければ、外部センサーの設置も不要。「Oculus Go」と同じジャンルではあるが、その違いは大きい。「Mirage Solo」の場合、Googleの “Daydream”というプラットフォームに対応している。周囲を見回せるだけでなく、前面に配置している2基のカメラによって装着したまま実際に体を動かせる点が最大の特徴だ。
▲持ちやすい形状の“モーション・トラッキング・コントローラー ” が付属。カーソル操作などが思いのままに行える
▲後部のダイヤルで頭部にしっかりとホールドできる。回しやすい形状なのでヘッドセットを装着後に調整に手間取らない
あまり大きな動きには非対応で、あくまでも限定的ではあるものの、「Oculus Rift」や「HTC Vive」のようにハイエンドなVRヘッドセットと同様の体験が可能。未来を感じられるデバイスと言える。お勧めなのは「YouTube」や「Netflix」などの動画アプリ。膨大なコンテンツの中から好きな映像をVRのプライベートな大画面で楽しめる。また「ModernArchery VR」や「STYLY」といった体を動かせることを生かしたアプリも、「Mirage Solo」のメリットを実感するのはうってつけだ。
▲本体側面には、充電用のUSB-Type C端子に加え、microSDカードスロットを装備。多量のコンテンツをストックできる
ちなみに、「Mirage Solo」と同時に発売された同社製の180度カメラ「Mirage Camera」も一緒に使うと面白い。「Mirage Camera」は、前方180度を2基のレンズで “ステレオ撮影”し、視差のある映像や写真を記録。共有サイトにアップ後、それらの奥行き感を「Mirage Solo」で楽しめるのだ。コンテンツを撮るところから考えられた「Mirage Solo」は、現段階において、VRを個人レベルで気軽に楽しめる機器の決定的な存在と言えよう。
▲側面には複数の通気口を確保。スマホを装着してプレイするタイプに比べて、熱がこもりにくく、長時間装着しても快適だ
▲本体前面のセンサーで、向きや位置を把握。体を反らしたりしゃがんだりすると、その動きがVR映像に反映される仕組み
▼同社製の二眼カメラでVR映像が撮れる!
ヘッドセットと同時に発表された「Lenovo Mirage Camera with Daydream」(3万8600円前後)。日常風景などをVRコンテンツとして残せる。撮影に便利な手ブレ補正機能付き。
■VR空間内で気軽に話す新しいコミュニケーションを満喫!
Oculus
「Oculus Go」(32GB:2万3800円/64GB:2万9800円)
ライトグレーで統一されているのが、デザイン的な特徴。度付きレンズが別売りで用意されており“メガネ族”でも裸眼で楽しめるのがうれしい。記憶容量が異なる2モデル展開。
●電源:内蔵バッテリー(容量非公表/動画視聴で約2.5時間使用可能)
●ディスプレイ:5.5型液晶パネル(2560×1440ドット)
●サイズ:W190×H115×D105mm
●重さ:約468g
▲透明度の高いレンズを採用。ソフトウエアにおける3Dグラフ ィックの最適化も相まって、クリアなVR映像を楽しめる
「Mirage Solo」と同じく5月に発売された一体型のVRヘッドセット。「Mirage Solo」のようには動き回れず、頭を回せるのみだが、低価格と手軽さのメリットは絶大だ。ストレージにもよるが、日本でも2万3800円から入手できる。ほかのVRヘッドセットと比べても非常に安価な上、これまでVR業界を引っ張ってきたOculus社製ということもあり、見え方などの性能はそれなりに良い。
▲通気性の高い素材などを用いた本機は装着感が抜群。ストラップを調整する留め具が後部にないので寝転んでも違和感なし
スピーカーも内蔵し、ヘッドホンは不要。スマホと連携して行うセットアップも手間取らない。VRの入門機として、これ1台を持っておけば十分というレベルだ。「VRの良さを知れる」アプリが充実する点も、入門機にふさわしい。中でもお勧めなのが「Netflix」と、「Oculus Go」に標準搭載されている「ブラウザ」だ。いずれも寝転びながら大画面で鑑賞/閲覧できる。その迫力は想像以上で、まるでホームシアターを見ているかのようだ!
▲“眼鏡スペーサー”が付属。これを装着したり外したりすることで、メガネをかけて鑑賞する際のフィット感を調整できる
一度ハマるとPCやスマホに戻れなくなることは間違いない。もうひとつお勧めなのは「Rooms」というアプリ。Facebookの友達で「Ouclus Go」を持っている人と、VR内の部屋(仮想空間)で “会える”。写真を見たりミニゲームをしたり、もちろん話だけしてダラダラしたりもできる。シンプルなアバターを用いて、あたかも一緒にいる感覚を味わえるのが不思議なところ。VRで会う面白さを簡単に楽しめる「Oculus Go」は、新しいコミュニケーションツールとしても注目なのだ。
▲本体上部には音量ボタンをレイアウト。内蔵スピーカーはもちろん、接続したイヤホンから出力される音量を調整可能だ
▲手にしっくりと収まるフォルムのコントローラー。人差し指を引 っ掛ける側面には、トリガーのようなスイッチを備える
■異世界に飛んだかのよう!ハイエンド機ならではの圧倒的没入感に心酔
HTC
「VIVE PRO」(アップグレードキット:10万1520円/フルセット:17万5910円)
未来を感じさせるディープブルーのカラーが目を引く本機は、PCと接続するのが前提。フルセット版にはヘ ッドセットのリニューアルに合わせて装いも新たになったVIVEコントローラー2台などが付属する。
●電源:PCからの給電
●ディスプレイ:デュアルAMOLED 3.5型(2880×1600ドット/両目合計)
●サイズ:非公開
●重さ:非公開
▲頭部に装着すると視野角110度の広大な仮想現実の世界が目の前に広がる。表示される映像は色鮮やかで精細感も豊か
3×4mの範囲内において手や体を自由に動かせるPC向けのVRヘッドセット「HTC VIVE」は、これまでにアーケードや産業用などの分野で高い評価を得てきた。そんな同機の上位モデル「VIVE PRO」はHTC VIVEの性能をさらに向上。解像度は両眼で2Kから3Kに、ピクセル数は1.78倍になっている。よりきめ細やかでクリアな見え方だ。
▲高精細なハイレゾ音源対応のヘッドホンを標準で装備。映像とリンクした豊かなサウンドがVR世界の没入感を高める
また、映像面だけでなくサウンド機能の進化。立体音響にも対応したリッチなヘッドホンが一体になった。徹底的に考え抜かれたエルゴノミクス設計により、長時間の装着しても疲れにくい。なお、「VIVE PRO」は既存ユ ーザーと新規ユーザーに向けた2種類を提供している。後者のフルセット版はセンサー類の性能も向上した第2世代モデルとなり、部屋のコーナーなどに置く外部センサーの数を増やせば、最大で10×10mの範囲を動き回れるようになる。値段も上位モデル相応で、プロシューマー向けのモデルと言えよう。
▲旧モデル同様、多数のセンサ ーを側面に配置。これにより、ユーザーの位置や向きなどを正確にリアルタイムで検出する
こうした「VIVE PRO」では、HTC VIVE向けの膨大なコンテンツを体験可能。解像度の高さと音質の良さを最大限引き出せるタイトルとして、シューティングゲーム「Rez Infinite」を挙げたい。VR向けに作られた「Area X」というステージでは、圧倒的に美麗なパーティクルが舞う空間を浮遊し、視覚と聴覚が混じり合う体験が可能だ。まるで遠いところへ行ったかのような、これまでにないVRならではの感覚を味わえる。
▲ヘッドセットのフィット感を調整するためのダイヤルを装備。人間工学に基づいた設計により、長時間快適に着用できる
▲2基のステレオカメラを備えるのも特徴だ。目の前にかざした手などを認識させるなど、コンテンツによって機能が異なる
本記事の内容はGoodsPress7月号42-43ページに掲載されています
(文/久保田 瞬(Mogura VR) 写真/下城英悟)
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