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2018上半期 注目製品ホンネレビュー[ミラーレス一眼カメラ編]

&GP / 2018年6月28日 20時0分

2018上半期 注目製品ホンネレビュー[ミラーレス一眼カメラ編]

2018上半期 注目製品ホンネレビュー[ミラーレス一眼カメラ編]

今年のカメラ市場はミラーレス機が好調。一眼レフは新作の数も話題性も乏しく、直近の売れ行き好調機と言えば昨夏発表のニコン「D850」まで遡ってしまう。ハイエンドコンデジも昨年、一昨年に比べると新作の動きは少ない。となると必然的にミラーレス、となるのだが、好調なのには理由がある。まず、ソニー「α7Ⅲ」が登場したこと。さらにはキヤノン、富士フイルムも新製品を発売するなど話題に事欠かない。そんなミラーレスの注目機を試してみた。

■最大の特徴はブレずにピントを外さない

ソニー
「α7 Ⅲ」(実勢価格:23万8700円前後)

最大693点の像面位相差検出センサーや425点コントラスト検出AFも搭載。AF性能が向上した。フルサイズEマウントレンズ「28-70㎜ F3.5-5.6 OSS」のレンズキット販売もある。

●対応動画形式:4K動画
●センサーサイズ:フルサイズ
●手ブレ補正:ボディ内5軸手ブレ補正
●重さ:565g(本体のみ)

▲子どもの手も添えた花も、ブレずに撮れる。 結構なスピードで花に向かっていたので、「α7 Ⅲ」の高速連写機能 “最高約10コマ/秒”を生かして撮影。カメラ任せで問題なかった

ミラーレス史上初となるフルサイズ機「α7」が登場したのが、2013年11月のこと。それからおよそ5年の中でα7シリーズは本機で8台目となった。最新モデル「α7Ⅲ」の特筆すべきは、上位モデル「α9」(実勢価格:45万~50万円ほど)と同等のAF機能を備えているところ。 693点像面位相差検出AFセンサー、425点コントラスト検出AFが織りなす高いAF能力は、ピント合わせが難しいシーンでも被写体を逃さない。

▲撮影場所が暗く、被写体に動きがあるようなシーンにも強い。そして何よりもブレにくい。常用ISO感度は100-51200まであり、「α9」と同等レベル。暗所や屋内撮影でも頼もしい

また「α7Ⅱ」と比べてAF速度が2倍に向上するなど、AF性能が「α7 Ⅲを」代表する特徴となっている。さらにこれまでαシリーズで鬼門だったバッテリーの持ちも良くなったほか、4K HDR動画機能も搭載。手ブレ補正機能も向上し、それでいて実勢価格23万8700円は文句なしの注目度No.1ミラーレス。旧モデルからの絶妙な買い替えタイミングでは!?

▲本体側面に配置しているスロットには、2枚のメディアを同時にセットできる。これも「α7Ⅱ」にない進化点。RAWデータでバンバン撮り続けるような、タフなシーンでも安心だ

▲液晶モニターの右サイドにレイアウトしているマルチセレクタ ーがとにかく便利! フォーカスポイントが素早く設定できる。 「α7Ⅱ」になく「これは欲しい!」と思えるポイントだ

 

■初のボディ内手ブレ補正は確かに便利で楽に撮れる!

フジフイルム
「X-H1」(実勢価格:25万6000円前後)

Xシリーズ初となる最大5.5段のボディ内5軸手ブレ補正機能を搭載。屋内撮影に有効なフリッカー低減撮影機能や“フェザータ ッチシャッター ”が目新しい。レンズキットは無し。

●対応動画形式:4K動画
●センサーサイズ:APS-C
●手ブレ補正:ボディ内5軸手ブレ補正
●重さ:623g(本体のみ)

▲キットレンズはないので「フジノンレンズ XF35㎜ F1.4 R」で撮影。 35mm換算で約50mmの標準レンズで、 F1.4ととても明るい。屋内でも蛍光灯の影響なくきれいに撮れたきるはず。何よりも“写り“の素晴らしさは確かだ。

「X-H1」は、富士フイルムのフラッグシップモデル。Xシリーズで初めてボディ内手ブレ補正機能を搭載し、5軸5.5段階の補正効果を持つ。そのほか、液晶がタッチパネル式になったのに加えて、 Bluetooth接続機能にも対応。今のトレンドを取り入れたモデルに仕上がっている。

ボディサイズは大きくなり、グリップが迫り出す独特の形状になっているが、これは好み。大きさや重さと引き換えにホールド感がとてもよくなっている。サブモニターも搭載しているので、カメラ好きほどメリットを多く感じることができるはず。何よりも “写り”の素晴らしさは確かだ。

▲「X-H1」の特徴のひとつでもある“フェザータッチシャッター ”。とても軽い力でシャッターが切れるので、物理的にブレが抑えられる

▲必要な情報が集約されるサブモニター。 同社の中判ミラーレス「 GFX 50S」にも搭載されている機能で、情報がまとめて確認できて便利だ

 

■シリーズ初のミラーレスはピント合わせがとても簡単!

キヤノン
「EOS Kiss M」(実勢価格:7万4700円前後)

エントリーシリーズ「Kiss」初となるミラーレス。本体のみで重さ351gと、とても軽い。タッチAF対応液晶で操作性も◎。手ブレ補正はレンズとの組み合わせで解決できる。

●対応動画形式:4K動画
●センサーサイズ:APS-C
●手ブレ補正:デュアルセンシングIS 搭載
●重さ:351g(本体のみ)

▲オートモードで背景ボカし、明るさ、コントラスト、鮮やかさなどが変更できる。画面に表示されるガイドもビジュアルで分かりやすく好印象。それとなく雰囲気ある写真が撮れた

キヤノンのKissシリーズといえば、まず価格が安くて、操作しやすい。まさにファミリーカメラの代表格だが、これまで一眼レフはあってもミラーレスはなかった。そんな状況を大きく変えるかのように、2018年上半期にKiss初のミラーレスが登場。

軽くて使いやすいシリーズのコンセプトは踏襲しつつ、EVFで被写体を狙う、マニュアルで操作する楽しさにも長けている。タッチパネル液晶や4K動画、スマホ接続などのトレンドはしっかり盛り込まれており、感覚で操作してもなんとなく撮れるようガイド画面も充実。レンズ交換式カメラが初めての人もそうでない人も満足いく1台だ。

▲ギュッとホールドできる、握りやすいグリップを採用。軽くて、しっかり持てるからこそ手ブレも少ない。EVFを使えばさらに手ブレ対策になる

▲グルリと回るバリアングル液晶モニターを搭載。ロー&ハイアングルはもちろん、縦位置の撮影もOK。自分に向ければセルフィーにも重宝する

 

■“パシャ撮り”でもよく写る!街撮りスナップの優秀

パナソニック
「LUMIX DC-GX7MK3K」(実勢価格:10万9000円前後)

コンパクトながら2030万画素のローパスフィルターレスLive MOSセンサー搭載。前モデルよりも画質が大幅に向上した。上からファインダーを覗き込む撮影も可能だ。

●対応動画形式:4K動画
●センサーサイズ:4/3型
●手ブレ補正:ボディ内5軸手ブレ補正
●重さ:407g(本体のみ)

▲じっくり撮るのがためらわれる被写体(ここではおしゃれなお店)も、オートで雰囲気よく撮れる。しかも手ブレ補正が利いてピントがバッチリな優れモノなのだ

「LUMIX GX7 MarkⅢ」のキャッチコピーは “ストリートフォト一眼”。実際に触れてみると小型軽量で持ち運びやすく、移動中でもサッと取り出しすぐに撮れるスナップカメラだと分かる。

また、同社オリジナルの“4Kフォト”機能を使えば、連写した写真から合成写真が簡単にできる新搭載の「軌跡合成」や、フォーカス部分の合成も行えるなど、写真の仕上がりまでカメラで行えるのもポイント高い。風景撮りもローパスフィルターレス効果で解像感よく撮れる。そしてテスト中に何よりも印象深かったのが、液晶の見やすさ。特に風景写真の美しさはモニターによく映えた。

▲液晶モニターは上向き80度、下向き45度に角度調整ができる。タ ッチパネル式で、ピンチイン・ピンチアウトなどの操作にも対応する

▲EVFがチルト式なので、上から覗き込むような撮影ポジションが可能。これが意外と便利で、無理な体勢を求めらる ーンでも問題なし

 

■スマホ接続が格段に向上!ワンランク上のSNSカメラ

オリンパス
「PEN E-PL9」(実勢価格:6万8000円前後)

小型ボディのエントリー向けミラーレス。EVFは無く、液晶を見ながら撮影する。“eポートレート機能” で美しくも撮れる。レンズキットはパンケーキサイズの標準ズーム域だ。

●対応動画形式:4K動画
●センサーサイズ:4/3 型
●手ブレ補正:ボディ内3軸手ブレ補正
●重さ:332g(本体のみ)

▲絞りやシャッタースピードなどを考えず、オートやアートフィルターなどで撮るのが楽しい。スマホよりもきれいに撮れてすぐにスマホに転送可能。ほかとの差が付く大満足な写真をシェアできる

アートフィルターや自撮りなど、カメラ任せで楽しめる手軽さが魅力のエントリーミラーレス。EVFは非採用で液晶を見ながら撮影するが、ボディ内3軸手ブレ補正(補正効果最大3.5段)の働きで程よくブレない。カメラ内のセンサー部も旧機に比べて進化しており、AF性能や高感度撮影などで効果を発揮する。

そのほか、モニターが下向き180度(撮影者に向く)ので自撮りもOK。撮った写真はBluetoothで接続したスマホ経由でSNSに投稿、という流れがこのカメラにおけるお勧めの使い方だ。アートフィルターなどを駆使してバンバン撮ろう!

▲ファインダーがない操作部は、とてもシンプル。一方、本機からは内蔵フラッシュが復活したので暗所でも安心だ。自撮りする際にも便利

 

本記事の内容はGoodsPress7月号46-47ページに掲載されています

(文/早坂英之、写真/田中一矢[静物]、早坂英之[作例])

 

早坂英之/編集・ライター

モノテスト誌『MONOQLO』『家電批評』(ともに晋遊舎)の副編集長を経て独立。現在、カメラ、オーディオなどの記事を執筆する。 Kickstarter社の公認Expertとしても活動中。

 

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