【スズキ ジムニー刷新①】これは人気出そう!20年ぶり一新の4代目は“伝統と先進の融合”
&GP / 2018年7月7日 19時0分
【スズキ ジムニー刷新①】これは人気出そう!20年ぶり一新の4代目は“伝統と先進の融合”
「ついにデビュー!」、「待ってました!」…。昨今、そんな熱烈なメッセージが各所から聞こえてくるクルマというのも、珍しいかもしれません。そう、スズキの本格4×4「ジムニー」シリーズが、4代目へと生まれ変わりました。
6月中旬には事前情報が公開され、さまざまなメディアで速報が伝えられましたから、すでに新型ジムニーの姿を見たという人も多いことでしょう。「カッコいい」、「かわいい」、「懐かしい」など、感想は人それぞれかと思いますが、ひと目でジムニーと分かるデザインは、まずはホッとひと安心といったところでしょうか。
今回のモデルチェンジでは、軽自動車規格の「ジムニー」、そして、小型車規格の「ジムニーシエラ」が同時にデビューを飾りました。そこで今回は、新型ジムニーのレポート第1弾として、まずは20年ぶりのモデルチェンジを果たした新型ジムニーシリーズの中身についてご紹介します。
■ジムニーの走りの要“ラダーフレーム”も新開発
1970年、ジムニーは“プロ用ツール”の4輪駆動車として誕生しました。それから48年。現在では軽自動車やコンパクトカーでも高い安全性や環境性能が求められる時代となり、加えて、ジムニーシリーズが培ってきた“プロを納得させる性能”をさらに高いレベルで両立させるために、ついに本格的な刷新が必要になったということでしょう。
新型を一見しただけで気づくのは、初代モデルや2代目モデルに通じる、ボクシーなスタイルに生まれ変わったことでしょう。先代の3代目モデルよりも起こされたフロントウインドウや、フェンダー側まで回り込む“クラムシェルタイプ”のエンジンフードなどは、歴代モデルとのつながりを感じさせる部分。また、丸型ヘッドライトやその脇に配置されるターンシグナルランプも、往年のモデルに倣ったデザインといえるでしょう。
スズキのリリースには「スクエアボディ」、「力強く飾らない、厚みを感じる鉄板らしい造形」というキーワードが散りばめられていて、一見、シンプルで平板に映るかもしれません。しかし、細かく観察すると、ヘッドライトやテールゲートの下部は削り込まれた造形となっていて、実車を目の当たりにするとなかなか立体感のある造形で、眺める角度によって表情が変わります。また、ジムニーシエラの張り出したフェンダーは、角ばった意匠でボディとの相性もよく、足まわりの印象をさらにたくましく演出しています。
ちなみにボディサイズは、先代モデルでも全高を除き、軽自動車規格いっぱいのサイズでしたので大きな変更はなく、全長3395mm(先代比±0mm)、全幅1475mm(同±0mm)、全高1725mm(同プラス45mm)、ホイールベース2250mm(同±0mm)という数値を採ります。ちなみにジムニーシエラは、全長3550mm(先代モデル比マイナス50mm)、全幅1645mm(同プラス45mm)、全高1730mm(同プラス60mm)となっています。
力強くも愛らしい、これぞジムニーというたたずまいを見て、まずはひと安心といったところですが、続いて気になるのは、やはりメカニズムやオフロード性能でしょう。こちらも“ラダーフレーム”や“エンジン縦置きFRレイアウト”、“副変速機付きパートタイム4WD”、そして“3リンクリジッドアクスル式サスペンション”といったジムニーのDNAを継承しています。
とはいえ、先代モデルのものをそのまま継承したキャリーオーバーではなく、新開発ラダーフレームの中央部にはXメンバーと2本のクロスメンバーが追加されていて、ねじり剛性が約1.5倍向上しているだとか。さらに、新開発の“ボディマウントゴム”でフレームから伝わる衝撃や振動の吸収力を高めるなど、快適性を意識した改良も加えられています。
山道や悪路走行時に気になる対障害角度は、ジムニーの場合、アプローチアングルが41度(先代モデル比マイナス4度)、デパーチャーアングルが51度(同プラス1度)、そして最低地上高は205mm(同±0mm)を確保しています。ジムニーシエラは、アプローチアングル36度(先代モデル比プラス1度)、デパーチャーアングル50度(同プラス3度)、最低地上高210mm(同プラス10mm)と、大型のクロスカントリーSUVをしのぐスペックを実現しています。
加えて新型では、電子デバイス採用による走破力の向上が図られたのも注目すべきポイント。例えば、悪路走行時にタイヤが空転すると、そのタイヤにだけブレーキをかけ、反対側車輪の駆動力を確保する“ブレーキLSDトラクションコントロール”を採用。さらに、登坂時にクルマが後退するのを防ぐ“ヒルホールドコントロール”、坂道を下る際にブレーキ操作なしに一定速度を保つ“ヒルディセントコントロール”も設定されました。
動力性能のカギとなるエンジンは、ジムニー、ジムニーシエラとも刷新され、小型・軽量化を実現。ジムニーのエンジンは「ハスラー」や「ワゴンR」などにも搭載される“R06A型”直列3気筒DOHCターボで、最高出力64馬力、最大トルク9.79kg-mを発生。
ジムニーシエラには“K15B型”直列4気筒DOHCエンジンが搭載され、最高出力102馬力、最大トルク13.3kg-mを発生します。
設計の新しいエンジンとなったことで、走りやすさや信頼性が向上しているとのことですが「やっぱり燃費も気になる」という人も多いことでしょう。軽自動車規格のジムニーどうしの比較では、従来型は5速MT車14.8km/L、4速AT車13.2km/Lであるのに対し、新型は5速MT車が16.2km/L、4速AT車が13.2km/Lというカタログデータになっています。一見、大きな差はないように思えますが、従来型はJC08モード、新型は2018年夏以降に採用されるWLTCモードでの採用になっていて、新型の数値の方がより実燃費に近い値といえることから、燃費の面でも進化していることがうかがえます。
このように、メカニズムの進化が著しい新型ジムニーですが、もうひとつ大幅にグレードアップしたのが安全装備。新たに予防安全技術“スズキ セーフティサポート”が採用されました。単眼カメラとレーザーレーダーにより、クルマや歩行者を捉え、万一の場合には自動ブレーキによって衝突の被害軽減や回避を図る“デュアルセンサーブレーキサポート”を上位グレードに標準装備。
その他グレードにもオプションとして設定されています。さらに、車線逸脱警報機能やハイビームアシスト、ふらつき警報機能なども設定。また、最高速度や車両進入禁止といった標識を認識し、メーター内に表示する機能も用意するなど、多彩な運転支援機能を採用しています。
そして最後にご紹介するのはインテリア。機能性を重視しながらも、クロスカントリー4×4モデルらしい、遊び心を感じさせる仕立てとなっています。水平基調のダッシュボードは、車両姿勢を把握しやすいというメリットがありますが、加えて新型は、立体感のある造形とすることで力強さもアピール。さらに、手袋をしていても握りやすいドアグリップや操作しやすいスイッチ類を採用するなど、日常の使い勝手も追求しています。
新型の車内に収まると、真っ先に「広くなったな」と感じるのですが、これは、サイドウインドウを垂直に近く立てたこと、また、パワーウインドウスイッチをダッシュボードに配置し、ドアトリムをシンプルな形状にするといった、細かい積み重ねが効いているようです。
また、フロントシートはしっかりとストロークのあるクッションが印象的で、腰回りも程良いサポート感があります。一方、肩回りは乗る人が体を動かしやすい形状としているのですが、これはオフロード走行時の操縦性を考慮してのこと。デザイン先行ではなく、機能や形状にしっかりと理由があるのも、ジムニー=プロツールという生い立ちを感じさせる部分といえるでしょう。
まさに、待った甲斐があったと思わせるだけの進化を遂げた新型ジムニーシリーズ。従来モデルのオーナーはもちろん、そのルックスや装備を見た人の中にも、興味津々という方は多いことでしょう。路上、いやオフロードをドライブできる日が楽しみですね(Part.2へ続く)。
<SPECIFICATIONS>
☆ジムニー XC(5MT)
ボディサイズ:L3395×W1475×H1725mm
車重:1030kg
駆動方式:4WD
エンジン:658cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:5速MT
最高出力:64馬力/6000回転
最大トルク:9.8kg-m/3500回転
価格:174万4200円
<SPECIFICATIONS>
☆ジムニーシエラ JC(4AT)
ボディサイズ:L3550×W1645×H1730mm
車重:1090kg
駆動方式:4WD
エンジン:1460cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:4速AT
最高出力:102馬力/6000回転
最大トルク:13.3kg-m/4000回転
価格:201万9600円
(文&写真/村田尚之)
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