【スズキ ジムニー刷新②】新型につながった48年の進化の歴史。名車の系譜を振り返る
&GP / 2018年7月10日 19時0分
【スズキ ジムニー刷新②】新型につながった48年の進化の歴史。名車の系譜を振り返る
スズキの本格4×4「ジムニー」シリーズが、20年ぶりにモデルチェンジ。4代目へと進化しました。
すでに写真や実車で新型ジムニーの姿を見た人たちの感想は「カッコいい」、「かわいい」、「懐かしい」などそれぞれですが、小さいながらも、独特の力強さや存在感を感じさせるたたずまいは、さすが長い歴史のあるモデルといったところでしょう。
そんな新型ジムニーシリーズのレポート第2弾は、新型の各部にさまざまなデザインエレメントが散りばめられている歴代ジムニーの、約半世紀に及ぶ系譜について解説したいと思います。
■世界で285万台も売り上げた“スズキの代表作”=ジムニー
1998年のデビュー以来、20年にわたって生産が続いた先代の3代目ジムニー。ここ10年ほどは、モデルチェンジのウワサが出ては消えるといった状態でした。とはいえ、現在では数少ない本格クロスカントリー4×4であり、走破力については「これ以上、何を望むのか?」といった性能を身につけていましたから、大きく変える必要がなかった、というのが事実かもしれません。そもそも、ジムニーが誕生した背景には「“プロ用ツール”として4輪駆動車が必要とされた」という事情がありました。
>>初代:1970~1981年
「自然に挑戦する男のくるま」など、過酷な使用環境を思わせるキャッチコピーを採用した初代ジムニー。ラダーフレームや副変速機を備える4輪駆動システムなど、軽自動車としては唯一の本格オフロード4×4として登場しました。
エンジンは、当初、排気量359ccの空冷2サイクル2気筒を搭載していましたが、後に水冷3気筒エンジンに刷新されたほか、排気量を539ccに拡大するなどの進化を遂げました。またボディも、初期型は簡易的な幌を備えたオープンモデルでしたが、追ってパネルバンが追加されています。
初代が同乗した頃、日本国内ではすでにトヨタ「ランドクルーザー」や三菱「ジープ」といった乗用車規格の4WDは販売されていました。しかしジムニーは、軽自動車規格ならではの小回りの良さや維持の容易さから、大規模な建設現場や各種インフラ事業、林業関係などの過酷な現場で活躍するようになります。
こうしたプロ用途での信頼性が知られるようになると、本格派に憧れるユーザーを中心に、レジャー用ビークルとしても注目を集めるように。また、この初代モデルから、すでに海外へ向けての輸出も行われました。
>>2代目/1981~1998年
初代のデビューから11年が過ぎた1981年、ジムニーは初のフルモデルチェンジを実施します。エクステリアはボクシー、かつモダンなイメージへと変わりましたが、コンパクトな車体の四隅に配置された大径タイヤなど、その姿はひと目でジムニーと分かるものでした。
ちなみに、ボディは従来どおりソフトトップとメタルトップ(金属製の屋根が備わる箱型ボディ)が用意され、初期モデルの前者には幌ドア、ハーフメタルドア、メタルドアと、複数のドア形状が用意されました。
また、17年間の製造期間において、メカニズムの変更が多数行われたのも2代目モデルの特徴です。当初、エンジンは排気量539ccの水冷2サイクル3気筒でしたが、後に543ccのターボ付き4サイクル3気筒が追加されたほか、軽自動車の規格拡大に合わせ、657ccターボ付き4サイクル3気筒へと変更。さらに最終モデルには、アルミ合金製のDOHC4バルブエンジンを搭載するモデルも用意されました。
2代目モデルは、軽自動車規格の変更に合わせ、内外装やメカニズムに大幅な変更を受けたほか、バリエーションの拡充にも積極的でした。ハイルーフ車や、ハイルーフ部に小さな窓を設けたパノラミックルーフ車、小型車規格となる1000ccや1300ccエンジン搭載車、今日へと続くワイドドレッド&小型車規格の「ジムニーシエラ」が追加されたのも2代目の時代です。
また1995年には、サスペンションがリーフスプリングからコイルスプリングへと改められるなど、快適性や操縦性の向上も図られました。
2代目モデル以降は、アジアやヨーロッパでも生産が行われ、現地の環境に合致した派生モデルが数多く生産されました。
>>3代目/1998~2018年
実に20年という長きにわたって生産された、先代の3代目モデル。エクステリア、インテリアとも洗練、かつスポーティなデザインへと生まれ変わりました。一方で、オフロードの走破力や信頼性に対するこだわりは不変で、ラダーフレームやリジッド式サスペンションといったメカニズムは、新たに設計を行った上で継承されています。
エンジンは、従来どおり最高出力は64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボで、トランスミッションは5速MTと4速ATが用意されました。
また1990年代末になると、安全性や快適性に対する要求が高まり、エアバックやABS(99年末以降は全車標準化)、パワーウインドウなども設定されるように。その後2002年には、フロント回りのデザインを変更。2004年にはインパネ回りを始めとする内装デザインの変更を行い、副変速機の切り替えをレバーからスイッチ式に改めるなど、3代目モデルはほぼ2年に1度のペースで改良され、細部にわたってブラッシュアップを重ねます。
2代目の時に登場したジムニーシエラの流れを汲む小型車規格モデルは「ジムニーワイド」として1998年初頭に先行デビュー。こちらは最高出力85馬力を発生する1.3リッター直4エンジンが搭載されました。2000年には新開発エンジンに変更、さらに2002年には、ネーミングを再びジムニーシエラへと改めています。
* * *
以上、駆け足ではありますが、歴代ジムニーついて振り返ってみました。昨今はクロスオーバーSUVの人気が拡大していますが、そうした状況にあってジムニーは“最も見掛ける機会の多い本格クロスカントリー4×4”だと思います。
特に、郊外やちょっとした山間部へ出掛けると、遭遇率はグッと高まりますし、そんな状況に接すると「あぁ、ジムニーって生活に欠かせない道具として浸透しているんだな…」と感じさせられます。
ちなみに、アジアやヨーロッパでも活躍するジムニーの世界累計販売台数は実に285万台! 世界中に浸透した“スズキの代表作”であることは間違いありません。今回デビューした4代目の新型ジムニーシリーズも、そうした輝かしい歴史に新たな1ページを刻む名車となることに期待しましょう。
<SPECIFICATIONS>
☆ジムニー XC(5MT)
ボディサイズ:L3395×W1475×H1725mm
車重:1030kg
駆動方式:4WD
エンジン:658cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:5速MT
最高出力:64馬力/6000回転
最大トルク:9.8kg-m/3500回転
価格:174万4200円
<SPECIFICATIONS>
☆ジムニーシエラ JC(4AT)
ボディサイズ:L3550×W1645×H1730mm
車重:1090kg
駆動方式:4WD
エンジン:1460cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:4速AT
最高出力:102馬力/6000回転
最大トルク:13.3kg-m/4000回転
価格:201万9600円
(文/村田尚之 写真/村田尚之、スズキ)
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