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【スバル フォレスター試乗②】内外装は1クラス上の上質さ。自慢のSGPは使い勝手にも効く:岡崎五朗の眼

&GP / 2018年7月9日 19時0分

【スバル フォレスター試乗②】内外装は1クラス上の上質さ。自慢のSGPは使い勝手にも効く:岡崎五朗の眼

【スバル フォレスター試乗②】内外装は1クラス上の上質さ。自慢のSGPは使い勝手にも効く:岡崎五朗の眼

SUBARU(スバル)の最量販車種であり、グローバル戦略車にも位置づけられている重要モデル「フォレスター」が、先のフルモデルチェンジで5代目へと進化しました。

『&GP』ではそんな注目モデルの実力を、2回にわたってモータージャーナリストの岡崎五朗さんと掘り下げていきます。後編のテーマは、SUVの資質を左右する使い勝手やデザインについて。

前編では、新型フォレスターが採用した新プラットフォーム“SGP(スバルグローバルプラットフォーム)”が、走りのレベルを2ランクアップさせたことについてご紹介しましたが、実はこのSGP、ユーティリティの面でも大きなメリットをもたらしていたのです。

■「なんでも積めそう!」とワクワクさせる新型フォレスターの荷室

――今回は、新型フォレスターの使い勝手やユーティリティについて印象を聞かせて下さい。

岡崎:新型フォレスターに触れてみて一番驚いたのは、走りの出来の良さではなくて、実は荷室開口部の幅が大幅に広がっていたこと。試乗の合間にディテールをチェックしていた時、リアゲートを開けて思わずビックリ! なんと片側で65mm、トータルで130mmも開口部が左右に広がっていたんだ。

今どき、荷室開口部がこれほど幅広いクルマというのは、ちょっと珍しい。走りの良し悪しを左右するボディ剛性を高めるためには、この部分の強度確保がかなり重要。開発陣としては、できるだけリアゲート周囲のピラーを太くしたり、後ろ側へ大きく回り込ませたりして、開口部をより小さくしたかったというのが本音のはず。でも、新型フォレスターが採用するSGPは、プラットフォームのレベルでしっかりと車体剛性を確保できるから、これまで走りのために犠牲になっていた分を、ユーティリティの向上へと振り分けることができたんだ。

――ゴルフバッグのような大きい荷物も楽に積み込めますし、取り出しやすいですよね。

岡崎:荷物の積み下ろしに対するストレスは、ものすごく小さくなったよね。これは、新型フォレスターを日常使いする人たちにとって、大きなメリットだと思う。それと、リアゲートを開けてパッと荷室を見た時に「これならなんでも積み込めそう!」とワクワクした気持ちにさせてくれる。そういう雰囲気というのは、レジャーや趣味の相棒として活躍するSUVにとっては、大きなポイントだと思うよ。

――こちらもSGP採用の恩恵でしょうか。室内に入ってみてもとても広く感じましたし、どの位置に座っても快適でした。とはいえ新型のボディサイズは、全長が先代モデル比でプラス15mm(4625mm)、全幅が同プラス20mm(1815mm)、ホイールベースが同プラス30mm(2670mm)と、わずかに大きくなっただけに過ぎません。

岡崎:大きくなったといっても、ほんのわずかなんだよね。でもリアシートは、足下が一段と広くなったように感じるし、ドアトリムの形状や、ピラーとシートとの位置関係を最適化することで乗り降りしやすくなっている。

フロントシートも、運転席と助手席の間隔が広がっているし、シート自体のサイズも大きくなっているから、座った瞬間に「ゆったり移動できそう」と感じる。車格が1クラス上がったかのような印象を受けるね。

それと、スイッチ類の操作感や樹脂パーツ類の見た目など、インテリアの質感も明らかに1ランク上がっている。ベースモデルとなった「インプレッサ」との価格差は決して小さくないけれど、新型フォレスターのインテリアは、それを十分納得できるだけの広さと質感を実現しているよ。

――ハイブリッドの“e-BOXER(イー・ボクサー)”ユニットを搭載する「アドバンス」グレードには、華やかなブラウンの本革シートがオプションで用意されています。

岡崎:もし新型フォレスターを買うとしたら、ブラウン内装を選ぶと思う。新型フォレスターはすごく真面目に作られたクルマということもあって、真っ黒の内装だとベーシックやスタンダードといった印象が強くなってしまう。その点、ブラウン内装は華やかだし、色合いのセンスも上々。使う場所や大きさといった、ブラウンレザーのあしらい方も上手いよね。

ただし、ブラウン内装を選べるのはアドバンスだけ、というのは残念。個人的には、e-BOXERより2.5リッター直噴エンジンの方が好みだから、すべてのグレードで選べるようになって欲しいな。だから現時点では、オレンジを内外装のアクセントに使ったグレード「X-BREAK(エックス・ブレイク)」がベストな選択なのかもしれない。

――新型フォレスターで初めて採用された先進機能“ドライバーモニタリングシステム”については、どのように感じられましたか? 「ドライバーがクルマに乗り込むとドライバーの顔を認識し、安全運転を支援するだけでなく、おもてなしを提供する」というのが売り文句なのですが。

岡崎:これは「何やら新しそうだぞ」と感じさせてくれる機能だね。これまでも、携行するカギの種類で乗る人を判別するクルマはあったけれど、インパネのセンターバイザーに内蔵したカメラでドライバーの顔を読み取り判別するというのは、新しい試みだよね。

最初の設定こそちょっと面倒だけど、それさえクリアしてしまえば、クルマに乗り込んだ時に「ハロー、五朗!」といったメッセージとともに迎え入れてくれて、シート位置やドアミラーの角度、エアコンのモードなどを自動で合わせてくれる。こういうのって、スマホなどではすでに当たり前の機能になっているけれど、乗り込んだ瞬間、クルマが自分の存在を認識してくれるというのは、なんだか新鮮でうれしかったな。

――愛車への思い入れや「オレのクルマだ!」という意識が高まる機能ですよね。

岡崎:それと、走行中は常にドライバーの状態を認識し、眠気や不注意などを検知しながらセーフティドライブをサポートしてくれる。オーナーとしては、こちらのメリットの方が有益なんじゃないかな。現状、アドバンスにしか設定がないけれど、ぜひこの先、すべてのグレードに展開して欲しいね。

■視界性能の追求はスバルならではのこだわり

――続いて、新型フォレスターのエクステリアデザインについてご意見を聞かせてください。パッと見た時の変化に乏しい新型のデザインに関して、SNS上などでは賛否両論が飛び交っています。

岡崎:写真を見ただけの段階では、正直「変わり映えしないデザインだな」と思っていた。同様に、新型フォレスターの写真を見た人の中には「これってホントに新型なの?」と疑問に思った人も少なくないはず。それくらい、新型のデザインは旧型に酷似しているよね。特にフロントマスクは、一見しただけではほとんど同じに見える。それと、サイドのプロポーション、特に“ウインドウグラフィック”と呼ばれる窓の形状などは、変わっていないように感じる。

でも実車をよく見てみると、サイドの造形などは旧型よりもはるかに躍動的。先代モデルは、ボディサイドを前後に走るキャラクターラインが真っ直ぐ引かれていたけれど、新型ではそれが、リアへ行くに従って跳ね上がるデザインに変わっている。今回、初めて陽光の下で新型フォレスターを見たんだけど「思いのほか変わっていた」というのが正直な感想だね。

――新旧の識別ポイントとしては、タイヤ周囲にあしらわれた樹脂製の黒いフェンダーモールの有無と、リア回りのデザイン、といったところが大きいでしょうか。

岡崎:そうだね。リアスタイルは結構変わっている。一見しただけでは同じにしか見えなかったけれど、新旧をじっくり見比べると、新型フォレスターはよりエレガントでスポーティなデザインになっているね。

――エクステリアのデザインが大きく変わらなかった結果なのか、新型フォレスターは先代モデルと同様、シートに座った時の視界が全方位とも非常に良好でした。

岡崎:視界がいいことのメリットって、結構、大きいと思う。カーブが続くような山道や、今回の試乗コースにあったオフロードでも、ドライバーは前方の状況を確認しやすいから、安心してドライブできるよね。加えて新型フォレスターは、左右や後方の視界もいいから、安全性の向上にもつながっている。

――試乗中、リアシートに座って撮影していたのですが、開放感が高くて、とても心地良く移動できたのが印象的でした。

岡崎:最近は、スポーティでカッコいいデザインと引き換えに、リアシートが“穴蔵”みたいになってしまったクルマも少なくない。囲まれ感があって、そういうシートの方が好きという人も中にはいるけれど、開放感という点ではやはり劣る。家族や仲間と移動するためのアシには、そういうクルマは選びづらいよね。

それに、バックする時や車線変更の際などに、デザイン重視の太いピラーが逆に死角となって、ドライバーが周囲の状況を把握しづらいクルマも増えている。視界を補完してくれるカメラの精度は、近年、確かに上がってはいるけれど、やはりドライバーが自らの目で状況確認できることのメリットは、何物にも代えがたい。

その点、新型フォレスターは、歴代モデルや他のスバル車と同様、視界に対して徹底的にこだわっている。スバルは昔から“視界性能”をすごく重視してきたメーカーだけど、仮にカメラが付いていなくてもしっかり周囲を把握できる新型は、いかにもスバルらしいクルマだといえるね。

――でも、そうした真面目なクルマづくりというのは、世の中に受け入れられないケースも多いですよね。

岡崎:なかなか分かりにくい部分だもんね。だからこそ新型フォレスターは、エクステリアデザインがちょっと地味に感じるところが、今後の課題になるのかなと思う。よくよく見ていくと、新型のデザインはかなり良くなったけれど、視覚面でのアピールがあまり強くないんだよね。

――特に今、ライバル各車のデザインがかなり派手になっていますからね。

岡崎:現状の新型フォレスターは「流行りのSUVに乗りたい」とか「SUVってカッコいいよね」と思っている人にとって、勢いで飛びつけるようなクルマではない。何かもう少し、デザイン的な引っかかりのようなものがあれば、これまでスバル車に乗り続けてきた人はもちろん、他社のクルマに乗っていた人も、より多く惹きつけられると思うんだ。

個人的には、タイヤとホイールはもう少し径が大きい方が、新型フォレスターのエクステリアデザインにはマッチすると思う。新型は、5.4mの最小回転半径を死守するために、あえて控えめなサイズを選択してきた。だから、例えば前編でも話題に上った「STIスポーツ」みたいなスポーティグレードが、日常の使い勝手を多少犠牲にしてでも大径のタイヤとホイールを履いて登場してきたら、誰もが「カッコいい!」と感じるクルマになると思う。

もちろん今の状態でも、新型フォレスターを実際に買って使っていくと、満足度はかなり高いはず。でも、使いやすいなとか、いいクルマだなって感じるのは、人間の左脳での判断に過ぎない。右脳は何か違うものを求めてしまうものだよ。

――確かに、新型フォレスターは理詰めで開発されたクルマ、という印象が強いですね。

岡崎:だから開発陣には「もっとバカになれ!」、「たまにはハメ外そうよ」といいたいな。この先、人の右脳を刺激するグレードやバリエーションが追加されると、新型フォレスターの魅力はより一層、高まっていくと思う。ベースはものすごく“いいモノ”に仕上がっているからね。

――デビューをゴールとするのではなく、ここをスタート地点として、新グレードや新しい個性をプラスしていけると、一段と魅力あるクルマに成長するでしょうね。

<SPECIFICATIONS>
☆アドバンス
ボディサイズ:L4625×W1815×H1715mm
車重:1640kg
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 水平対向4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
エンジン最高出力:145馬力/6000回転
エンジン最大トルク:19.2kg-m/4000回転
モーター最高出力:13.6馬力
モーター最大トルク:6.6kg-m
価格:309万9600円

<SPECIFICATIONS>
☆X-BREAK
ボディサイズ:L4625×W1815×H1730mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:184馬力/5800回転
最大トルク:24.4kg-m/4400回転
価格:291万6000円

<SPECIFICATIONS>
☆プレミアム
ボディサイズ:L4625×W1815×H1715mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:184馬力/5800回転
最大トルク:24.4kg-m/4400回転
価格:302万4000円

(文責/&GP編集部 写真/SUBARU)

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