マネしたいテクだらけ!プロモデラーの模型術⑤フィギュア塗装編【グッとくるタイムラプス動画】
&GP / 2018年7月28日 18時0分
![マネしたいテクだらけ!プロモデラーの模型術⑤フィギュア塗装編【グッとくるタイムラプス動画】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_174176_0-small.jpg)
マネしたいテクだらけ!プロモデラーの模型術⑤フィギュア塗装編【グッとくるタイムラプス動画】
ミリタリー模型の製作で最も難しいと思われがちなのが、おそらくフィギュアの塗装だろう。それもそのはず。ヘルメット、顔、服などのとにかく、慎重に塗り分けなければならないからだ。しかし、手順とコツさえつかめば、決して高いハードルではない。
顔の陰影を付けるポイントや服の表面に迷彩を施す秘訣について、引き続き長谷川さんに話を伺いつつ、その模様をタイムラプス動画で記録してみた。
■フィギュア塗装の過程をタイムラプス動画でチェック!
ラッカー、アクリル、エナメルといった3種類の塗料を使い分けながら、エアブラシと面相筆でフィギュアをリアルに塗り上げていく様子は、つい見入ってしまう。色の重ね方や顔や服の陰影のつけ方などは、是非参考にして欲しいところ。
では作業工程を詳しく見ていこう。
■フィギュアのベース塗装はラッカー塗料を使用
フィギュアは腕などを組み立て後に車両同様に(オキサイトレッドサーフェイサー)で下地塗装。まず服部分をエアブラシでベース(一番面積の多い色)となるカラー(今回はMr.カラー C135 ロシアングリーン1を使用)で塗装します。
フィギュアを塗装するタイミングで長谷川さんが手元に用意した同じタミヤの1/16陸上自衛隊員。迷彩のパターンがよく分かる。インストの塗装指示はもちろんですが、独特な迷彩パターンや色調はインターネットなどで実物の写真を検索、参考にすると良いでしょう。ちなみに陸上自衛隊員の迷彩柄は、日本で多く茂る広葉樹の林地でカモフラージュ効果を発揮するようになっているんです」(長谷川さん)
■迷彩柄の表現に使うのは水性アクリル系塗料
ベースの塗装を乾かした後、服に迷彩柄を筆塗りで入れていく。「戦車経兵の迷彩塗装には、アクリル系塗料を使用、そうすることでベースのラッカー塗料を溶かすことがありません。使用する筆は、質のよい面相筆(500円程度のもの)を使います。筆は100円程度の格安なものもありますが、筆の先がすぐに痛んでしまうのでお勧めしません」(長谷川さん)
軍服の迷彩パターンは、ベースのロシアングリーンの上からタミヤアクリルカラーXF-64レッドブラウン・XF-57バフ・XF-63ジャーマングレイレッドブラウン、バフ、ジャーマングレーの順に塗っていく。「スポット状の迷彩を再現するために、服全体に均一に3色を散らす感じで筆塗りしていきます。この際、単なる点を打つのではなく、スポットを伸ばすように不定形に塗っていくのがポイント。2色目以降は、先に塗布したスポットと接するように、一部に特定の色が偏らないように塗っていくのがコツです。(長谷川さん)
■迷彩表現を終えたら装備品を塗装
フィギュアのキモとなる顔を塗装する。「指定のXF-15フラットフレッシュ(肌色)は明るすぎるのでXF-60ダークイエローを加えて日本人らしい肌色を作ります。肌色系の塗料は隠蔽力が弱いので、塗装→乾燥→塗装と3回程度塗り重ねましょう。なお、乾燥を遅らせて筆運びをスムーズにするアクリル用のリターダーを5%くらい混ぜると、ムラが出にくくなります」(長谷川さん)
■陰影をつけて“マネキン顔”から“人らしい”表情へ
肌色を塗ってしっかり乾燥させた後、茶系のエナメル塗料を使い顔の陰影をつける。「エナメル塗料を直接塗ると下地の色が溶けてしまいます。そのため、缶スプレーのツヤ消しクリアで軽くオーバーコートしてからエナメルを塗装します。缶スプレーはかけすぎないように」(長谷川さん)
タミヤエナメル塗料のXFー10(フラットブラウン)をエナメル溶剤で1対1の割合で希釈。さらにその上澄みだけを使うのがポイント。フィギュアの顔を全体に筆でフラットブラウンを塗布すると、目、鼻、口などの窪んだところに濃い目の塗料が残り、自然な陰影を入れられます。余分な塗料は、めん棒などで拭き取って、表面を整えましょう」(長谷川さん)
■ゴーグル(クリアパーツ)の取り付けには専用の接着剤を使用
ヘルメットの塗装が終わったらゴーグルを取り付ける。「取り付けは『Gボンド』などの白濁しないクリアパーツ向きの接着剤を使います。通常の接着材だとプラが白化してしまうからです。なお、極小ゴーグルの取り付けはデザインナイフがお勧めです」(長谷川さん)
接着したゴーグルのフチを黒く塗装する。クリアパーツによる透けて見えるレンズ部分と相まって、その仕上がりは本物のゴーグルのようだ。拳銃のホルスターなど装身具も接着してフィギュアの完成!
■デカールを貼る過程をタイムラプス動画でチェック!
デカールを台紙から次々と取って、該当箇所に貼っていく長谷川さん。「AFVのキットは、部隊マークや車体番号などのみで、ほかのスケールモデルに比べるとデカールの枚数は少なめです」。
■デカールを貼る際はマークフィット(軟化剤)を用意
水に漬けて、すぐに取り出し、台紙から浮き上がったデカールを車体に貼りこむ。デザインナイフを使うと位置修正がやりやすい。
デカールの上にはタミヤ「マークフィット(デカール軟化剤)」を塗布。ドライヤーの温風を吹いて乾かしながらパーツ表面と馴染ませる。
砲弾を発射した際の反動を軽減する装置“マズルブレーキ”はデカールで再現されている。工作に自信のある人は穴開け加工してもよい。
車体側面に備わるウィンカーは下地に銀色を塗装、そこにクリアーオレンジ色を重ねることでリアルに仕上がる。
ペリスコープ部分はガラス感を表現するために艶あり黒色で塗装しておく。
排気口付近には排気の汚れプラス。つや消し黒を塗布することで、本物らしさが増す。
* * *
組み立てから始まり、車体やフィギュアを塗装し、デカールを貼って細部を仕上げるところまで、長谷川さんによる製作術をじっくりと確認できたはず。それらを踏まえて出来上がった見応え十分の完成品模型はもちろん、これまでに紹介してきた製作のポイントについて、最終回となる第6回目に総括編として振り返りたい。
>> [特集]プロモデラーの模型術【グッとくるタイムラプス動画】
プロモデラー・長谷川迷人
本名は長谷川 伸二さん。模型誌や模型イベントの各種企画で活躍しているプロモデラー。戦車、艦船、飛行機など、さまざまなジャンルのプラモデル製作に関して造詣が深い。今回の取材に協力してもらった「タミヤ プラモデルファクトリー トレッサ横浜店」では“長谷川マスター”としてプラモデルの製作講座における講師役を務めている。
(取材・文・写真/ナゴヤリュータ、撮影協力/タミヤ プラモデルファクトリー トレッサ横浜店)
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