海外で1日500円!「変なSIM」を使ってわかったメリット&デメリット
&GP / 2018年8月1日 19時0分
海外で1日500円!「変なSIM」を使ってわかったメリット&デメリット
「変なSIM」ってご存知ですか? H.I.S.モバイルが提供する海外向けSIMで、世界75の国と地域で、1日500円(不課税)で使えることがセールスポイント。SIMカードは1980円(9月30日までにオンラインで購入すると990円)ですが、何度でも使えます。
大手キャリアが提供する海外ローミングサービスは、1日980円で国内で使っているデータパックが適用されるサービスと、1日最大2980円でデータ通信が使い放題になるサービスが主流です。海外用のモバイルWi-Fiルーターをレンタルした場合も、1日600円以上かかることが多く、出発日から帰国日までの日数カウントとなるので、割高に感じることもあります。「変なSIM」は、渡航先で起動した時間から24時間ごとの課金となるので、かなり経済的といえるでしょう。
出張や旅行で、年に数回海外に行く筆者にとって「変なSIM」は、ヒジョ〜に気になるサービスでした。そこで、7月1日のサービス開始に先駆けてSIMを購入し、7月9日〜16日のサンフランシスコ旅行で使ってみることにしました。
■SIMの貼り付けは慎重に!
ですが、出発を直前にして問題が発生! 「変なSIM」を使うために不可欠なAndroid版アプリのGoogle Playへの公開が延期されたのです。が、特別に用意されたダウンロードページがメールで案内され、無事に出発前にインストールできました。
▲変なSIMの利用には、まずH.I.S.モバイルのIDを取得する必要がある
▲取得したIDでログインして、決済に使うクレジットカードを登録
▲SIMと一緒に送られてくる「設定ガイド」を見ながら初期設定を行った
SIMには、一般的なプラスチックカードタイプと、SIMカードに貼り付けるシールタイプがあります。シールタイプは、日本国内で使っているSIMに貼り付けておけば、国内では日本のキャリアやMVNOのSIMとして使えて、海外では「変なSIM」を有効にして、その国のネットワークにつながる仕組み。つまり、SIMを抜き挿しする手間が省けるわけです。筆者は、迷わず貼るタイプを購入しました。
▲まず、SIMのトレイから透明フィルムをゆっくりと剥がし……
▲トイレのくぼんだスペースに今使っているSIMを置いて……
▲貼るタイプのSIMをしっかり貼り付ける
▲これで日本でも海外でも使えるSIMが完成!
▲筆者はSIMフリーの「HUAWEI Mate 10 Pro」に挿して使った
「変なSIM」をSIMカードに貼る作業は、同梱の「設定ガイド」に従って行いました。簡単に見えるかもしれませんが、実際には、「変なSIM」が付いた透明フィルムを剥がす時に「変なSIM」そのものまで剥がれてしまったり、SIMに貼り付ける際にずれてしまってやり直したりなど、かなり気を使う作業でした。
■あとはアプリで簡単に設定できるはずだったが…
続いて、アプリを起動してログイン。渡航先を選択して、利用する日数をプランを購入しました。
▲「変なSIM」アプリのログイン画面
▲まず、渡航先を選択
▲筆者は「アメリカ」を選択し、「6日間」を購入した。500円×6日=3000円
「設定ガイド」によると、旅行当日、飛行機内でアプリを起動し、「変なSIM」と「国内SIM」の切り替え操作をしましょうという指示がありました。ですが、なぜか、その操作ができませんでした。説明書には「この操作は機内モードでも行えます」と書いてあったのですが…。
▲これが、本来、機内で表示されてほしかった画面。筆者は、現地に到着後、端末を再起動すると表示された。この画面で「国内SIM」を「変なSIM」に切り替えた
▲筆者のアプリには「国内SIM」と「変なSIM」の切り替えボタンが表示されず、機内での切り替え操作が行えなかった
一抹の不安を感じながらも、サンフランシスコに到着して端末を起動したら、「変なSIM」への切り替えを行えました。そして「このプランを使う」をタップし、購入したプランがスタート。なお、「変なSIM」利用時は、モバイルネットワークの設定で、「データローミング」をオンにしておく必要があります。
▲現地に到着し、使い始める時点からカウントされるので、無駄なく使える
▲「変なSIM」が有効になると、この画面に切り替わり、ステータスバーにアメリカの事業者名(AT&T)が表示された。ただし、説明書によると、この画面にプランが終了するまでのカウントダウンが表示されるはずなのだが、それは表示されなかった
しかし、使い始めて、また問題が発生しました。インターネットにつながらないんです。ウェブが表示されないんです。メールが読めないんです(涙)。
そこでまた「設定ガイド」を開いて、「インターネットが接続できない時は」という項目を参照。ガイドに従ってAPNの設定を行い、再起動すると、ようやくインターネットにつながりました。
▲スマホの「設定」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」で、新しいAPNを選択し、「設定ガイド」に従って設定。渡航先では特定のキャリアに接続するのではなく、複数のキャリアの中から最も高速で利用できるキャリアが選択される仕組みになっている
■問題は1日200MBで足りるか否か?
そこからは快適に…と言いたいところですが、しばらくすると、またインターネット接続が怪しくなりました。ですが、今度は自分の使い方に原因があったようです。旅行中って、マップで経路を調べたり、アプリでお店を探したり、結構データを使うじゃないですか。あっという間に1日200MBの制限量を突破して、低速モードに切り替わっていたようです。
▲高速通信を利用できる状況では、ダウンロード、アップロードともに十分に満足できる速度が得られた。しかし、200MBを超過後は、スピードテストができないほど遅くなった
2日目からは、モバイルデータ通信量をこまめにチェックして、観光情報やお店の評価の下調べなどは、なるべくホテルでWi-Fi接続時に行い、外出時は通信の使い過ぎに注意しました。
1日200MB×30日=約6GB。日本国内で使っている分には十分と思えるデータ量ですが、海外旅行では、想定以上にデータを使うこともあるはずです。楽しい旅行中に通信制限がかかるのは悲しいことです。H.I.S.モバイルさんには、より大容量のプランやチャージの導入を検討していただきたいです。
■SIMを抜き挿しせずに何度でも使えるのは便利!
帰国後に、アプリを起動して、「国内SIM」に切り替えると、国内で使っているSIMが有効になります。次に海外に出かける際には、またアプリを起動してプランを購入すればいいわけです。
▲帰国後は「国内SIM」に切り替えるだけでOK!
MVNOが販売する格安SIMはデータ通信のローミングに対応していません。この「変なSIM」を貼ることで、大手キャリアのスマホと同じように海外でもデータ通信ができるようになります。ですが、渡航先では国内SIMが無効になるので、日本の電話の着信ができなくなります。国際転送の電話も利用したい場合は、SIMを2枚挿せるDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)のスマホを用意して、通常のタイプの海外SIMを挿す必要があります。
筆者の場合、正式公開前のアプリを使ったためか、使用を開始するにあたり、おかしな挙動もありました。しかし「設定ガイド」を読んで、なんとか自力で解決できました。
その後、Androidアプリはアップデートされ、Google Playにも公開されているので、現在は「設定ガイド」通りに操作できると思います。なお、設定ガイドには、Eメールと日本の電話番号の問い合わせ先も明記されています。万が一トラブルがあった場合に、日本語で問い合わせができるのは安心ですよね。
では、最後に、筆者が実際に使って感じたメリットとデメリットをお伝えします。これから海外に行かれる方は参考にしてくださいね。
▼変なSIMのメリット
・何度でも使えて1日500円なので経済的!
・SIMを抜き挿しする手間が省ける!
・日本語で問い合わせができるので、海外SIMよりも安心!
▼変なSIMのデメリット
・1日200MBでは足りなくなることも…
・渡航先やプランによっては、レンタルルーターや海外SIMのほうが割安
・音声通話には非対応
(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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