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【先行レビュー】iPhone XS/XS Maxのポートレート機能は表現力が段違いになっていた

&GP / 2018年9月18日 19時0分

【先行レビュー】iPhone XS/XS Maxのポートレート機能は表現力が段違いになっていた

【先行レビュー】iPhone XS/XS Maxのポートレート機能は表現力が段違いになっていた

既報の通り、2018年秋に発表された新しいiPhoneは「XS/XS Max/XR」の3種類となりました。このうち、XS/XS Maxの2モデルの予約は既に開始され、9月21日(金)には発売となります。

アップデートの要が、8コアNeural Engineや強化されたISP(Image Signal Processor)を内蔵する「A12 Bionic」チップにあるのは、さまざまなニュースでご覧の通り。

一方で、そうした技術的な話抜きに、やはり「実際に使ったときに新モデルだとどうなるのか?」ということが気になる人も多いことでしょう。今回はiPhone XS/XS Maxの2モデルについて、発売に先んじて実機を手にする機会を得たので、その使い勝手についてレポートしたいと思います。

■サイズ感は?

改めてiPhone XSとXS Maxを並べると、画面サイズはそれぞれ5.8インチと6.5インチとなっており、明らかにiPhone XS Maxの方が大きい。

▲iPhone XS Max(左)とiPhone XS(右)

皆さんがホームボタンのある従来のiPhoneを使用していると想定して、平面的なサイズを比べると、

iPhone 7(W67.1 x H138.3 mm)

iPhone XS(W70.9 x H143.6 mm)

iPhone 7 Plus(W77.9 x H158.2 mm)

iPhone XS Max(W77.4 x H157.5 mm)

となります。それぞれのサイズで新モデルに変更した場合、iPhone 8よりはiPhone XSの方が少し幅が大きく、iPhone 8 PlusよりはiPhone XS Maxの方が僅かにコンパクトになります。しかし、それぞれ日常での使用感はさほど変わらないはずです。

▲iPhone XS(左)とiPhone XS Max(右)

デザインはiPhone Xとほぼ同様です。少々のデザイン変更があったのは、側面のアンテナ線。iPhone Xでは側面のステンレススティール製フレーム上に、アンテナ線が左右側面の上下に配置されていました。XS/XS Maxでは、これに加えて上下側面の片側、対角線上となる配置に2本の線が追加されています。

▲iPhone XS(左)と従来モデルの「iPhone X」(右)の底面を比較

ディスプレイのインチ数で見てみると、iPhone 7は4.7インチ、Plusシリーズが5.5インチ。もし、それぞれXS/XS Maxにすれば、約1インチのサイズアップとなるわけです。1インチを想像するのが難しいですが、iPhone 7/7 Plusに縁の厚いケースを装着されている場合には、その内側が全部ディスプレイになると想像するとわかりやすいでしょうか。

 

■ブラウジングやアプリの使用感にも差が

XSとXS Maxのディスプレイを使ってWebサイトの表示を比較してみました。縦画面の場合には、さほど違いはありません。しかし横画面の場合には、アプリやWebサイトによってはXS Maxの方が扱いやすくなることがありそうです。例えば「リマインダー」アプリを表示すると、画面の左右で表示内容が変化します。

▲iPhone XS Maxでの「リマインダー」アプリの横向き表示

また、横持ちでいくつかのアクションゲームアプリをプレイしてみました。こちらについては、より大きな画面の方が迫力があるのは言うまでもありません。さらに、タッチ操作する自身の指で画面が隠れて見えなくなりにくいのもメリットです。一方、スワイプを多用するアプリでは、移動距離が長くなって疲れるので注意が必要かもしれません。

また、6.5インチともなると、一般的なポータブルゲーム機より大きいので、外付けのコントローラーを活用すれば、ゲーム機として本格的に活躍しそうな予感。また、iOS 12でARKit2対応のARゲームアプリが普及してくると、この大画面は一層真価を発揮するでしょう。

▲動画を視聴する場合には、指でピンチアウトして全画面表示に切り替えると、より迫力が増す

なお、スペシャルイベントの会場では確かめられなかったXとXSのステレオスピーカーを比べてみたところ、僅かにXSの方が音質が向上していることを感じました。筆者としては、やや高音がクリアになったという印象です。

 

■XS Maxはやはり片手操作がやや厳しい

利用シーンを想定すると、iPhone XS Maxの大画面にはメリットが多いことがわかります。ただし、日常における操作性を考えると、iPhone XSの方がバランス感は良いように思いました。

なぜなら「X」シリーズのUIでは、画面下部のホームインジケーターをスワイプアップして戻る操作を行い、画面右上や画面上部を下にスワイプしてコントロールパネルや通知パネルを表示させる必要があるため。iPhone XS Maxの問題は、上部のコントロールセンターを起動する位置と、下部のインジケーターとの距離がやや遠過ぎるのです。

▲iPhone XS Max(左)とiPhone XS(右)で片手でコントロールセンターを起動するときを想定してサイズ感を比較

画面上端を下へ下ろす「簡易アクセス」機能は、本機種でも健在ですが、ここまで大きいと小回りは効きづらい。そのため両手操作を前提に購入した方が良いと思うのが筆者の意見です。

一方、iPhone XSのサイズ感は、慣れれば特に支障なく片手操作が行えるはず。こちらは全く同じサイズのiPhone Xを1年使ってみて実証済みです。

どんな製品にも一長一短あるもの。今回の場合、片手操作を重視するならXSを、大画面の迫力を優先するならXS Maxを選択するのが、機種選びの指標になるのではないでしょうか。

■ポートレート撮影の楽しさが倍増!

続いてカメラを検証しました。既報の通り、iPhone XS/XS Maxの背面カメラはデュアル仕様で、1200万画素(広角、f/1.8)&1200万画素(望遠、f/2.4)となっています。ここまでのスペックは従来のiPhone Xと同じ。

しかしXS/XS Maxでは、ピクセルサイズが1.2μmから1.4μmへと大きくなり、より多くの光を取り込めるようになっています。また、改良されたニューラルエンジンとISPの連携により、動きのある被写体でも広いダイナミックレンジで撮影できる「スマートHDR」機能に対応したことも大きな変化です。

さらに、「ポートレート」モードで撮影した写真は、撮影後に標準の写真アプリの編集メニューから背景のぼかし具合を調整可能となったことがトピックです。スマートHDRはこのポートレートと併用できるため、より広いシーンで人物撮影を楽しむことが可能となりました。

▲iPhone XS Maxで撮影。ポートレートモード、スマートHDR適用。編集なし。これを編集すると…

例えば、逆光で被写体に動きがあるようなシーンでは、ポートレートモードを活用できます。被写体のディティールが消えていないので、さらに編集加えるとより映えます。

▲編集画面で、ポートレートライティングをスタジオ照明に変更し、深度をf2.2に調整。コントラストや色味などを画面の通り追加で編集

「深度コントロール」と「ポートレートライティング」を適用し、明るさや色味を手動で編集すると以下のように整います。

▲編集後

夕日を背にした状態でも、しっかりと人物が際立っているのがわかりますね。少し腕の動きがブレてしまったのがちょっと悔しいですが、カメラ素人が撮影したと思えば上出来です。

また、スマートHDRが適用されない場合でも、暗い場所では色味の再現に大きさな差がありました。光量が足りない環境でも、ディティールが以前より鮮明に写り、しかも色味が鮮やかになるのです。

▲iPhone XSで撮影。ポートレートモードを適用。未編集

上の画像がiPhone XSで撮影した暗所でのポートレート写真。下のiPhone Xで撮影した写真と比べると、違いがわかりやすいと思います。

▲iPhone Xで撮影。ポートレートを適用。未編集

▲XS(左)、X(右)で撮影した写真に、スタジオ照明を適用し、標準アプリでほぼ同条件の編集を加えたもの

ここまで色味の情報量に差があると、編集を加えた際にも、完成具合に大きな差が出ます。暗所で撮影するシーンでは、iPhone XSの表現力に圧倒的な軍配が上がりました。

▲こちらの作例(未編集)でも、違いがわかりやすい

深度コントロール機能も、しばらく扱っているうちに、その特徴がわかってきました。「被写界深度」のスライダを小さい値にするほど、背景のボケが強くなるのですが、背景だけでなく被写体の顔でない部分も緩やかにボカしが反映されるようです。

例えば全身写真の場合、背景とともに腹部より下は次第にボカしが加わっているのがわかりました。バストアップの構図でも、肩周りが同様にボカしの対象となるようです。きっぱり境界が分かれるのではなく、グラデーションのように適用されることで、違和感が減ります。また、人物の顔に目線を集中させる、という意味で、作品としても自然な仕上がりに整える工夫なのでしょう。

▲iPhone XS Maxで撮影。編集なし。深度コントロール機能比較

なお、上記で紹介した機能は、インカメラ(TrueDepthカメラ)でも同様に使えます。セルフィーでも、より多彩な表現が可能となったわけですね。

▲iPhone XS Maxで撮影。編集なし。深度コントロール機能比較

木漏れ日や、街灯のある夜景などを背景に撮影すれば、玉ボケも狙えます。iPhone XS/XS Maxを購入される方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。

*  *  *

ネーミングが「XS」となっているように、今年はやはり「S」の年でした。iPhone Xが登場した昨年のインパクトと比べると、スペック関連の改良が多いので、地味に感じる人がいるかもしれません。しかし、XS Maxの実物を手にすると、かなりの存在感に驚きます。また、XSもXの値段そのままに性能が良くなっており、ベストバイモデルといっても過言ありません。

特にカメラのアップデートは、使うシーンが限られていた「ポートレート」モードに息を吹き込み、より親しみやすいものへと変えてくれました。電話よりもチャットやカメラを使ったコミュニケーションの方が重要なんて言われる昨今。新iPhoneを試す価値は大いにありますよ。

なお、今回は十分に検証できませんでしたが、動画撮影についてのアップデートも気になるところ。こちらについては、またの機会に結果をレポートしたいと思います。

>> Apple「iPhone」

 

(取材・文/井上 晃

いのうえあきら/ライター

いのうえあきら/ライター

スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。

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