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「It's a Sony」がいま再び面白い!【ニッポン発の傑作モノ】

&GP / 2018年10月23日 18時3分

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「It's a Sony」がいま再び面白い!【ニッポン発の傑作モノ】

日本を代表する家電ブランドで、エポックメイキングな製品を輩出し続けてきたソニー。そのプロダクトがいま再び注目を集めている。肩に乗せて聴く「ウェアラブルネックスピーカー」が爆売れし、自分だけに香る「アロマスティック」は発表と同時に大きな話題をさらった。それらの詳細や開発背景について、約20年にわたってソニーの取材を続けるジャーナリスト 、西田宗千佳さんに聞いてきた。

■1970年代後半から革新的製品が続々と誕生

ソニーをテーマにした数々の著作を上梓している西田さん。初めてソニー製品に触れたのは1980年代に遡る。
「兄のウォークマンに触れたのが最初のソニー体験。中学時代には、自分でハンディカムを買い、友人と一緒に何本か映画を作りました。この2機種が、ソニーを意識した原体験ですね」

大学時代からPC雑誌における取材記者の仕事を始めると、ジャーナリストの視点で、西田さんとソニーの新しい付き合いがスタートを切る。記者として誕生に立ち会った、初代プレイステーション(PS)とVAIOは、今も強烈な印象とともに記憶に刻まれるという。

「特にPSは、ハードの進化に掛かる3、4年の時間をスッ飛ばしてしまったことに、大変驚いたのを覚えています。数十万円もするPCでしか表現できなかったCGを、3〜4万円のハードで実現したのですから」

ハイスペックな体験を手の届きやすい価格帯の製品で楽しませる…。そんなモノづくりこそが “ソニーらしさのひとつ” だと西田さんは分析している。
「“上から下を見る”という感じですね。普及価格帯の製品に機能を付加する“下から上を見る”発想ではないんです」だからこそ、これまでのエポックな製品に対し、多くの人が憧れを抱き、購入意欲を強く刺激されてきたのだろう。

「VAIOに関しては、開発に悪戦苦闘しながらも“今までと違うモデルを、今までの技術で作ろう”という強い熱意が、開発陣にあふれていましたね。PSとはちょっと異なるソニーDNAを感じたように思います」

▼“音楽を楽しむ”常識を変えた!

1979年
ソニー
「ニーウォークマンTPS-L2」

モノラルカセットレコーダーの再生回路をステレオ化するなどして完成した、ウォークマンの元祖。デニムのような青いボディは、当時加速していたファッションのカジュアル化を意識したもの。

2018年
ソニー
「ウォークマン NW-ZX300G」(実勢価格:8万円前後)

“MQA”や“APE”といったファイルフォーマットに対応する最新ウォークマン。内蔵メモリの音楽はもちろん、DAC機能によってUSBケーブルで接続したPC側の音源も高音質で楽しめる。

▼“思い出を残す”常識を変えた!

1985年
ソニー
「ハンディカム CCD-M8」

当時としては世界最軽量の約1kgを下回った、カメラ一体型録画専用の初代ハンディカム。片方の手で簡単に操作できるなど、写真を撮るカメラのように扱えるのが画期的だった。

2018年
ソニー
「ハンディカムFDR-AX60」(実勢価格:11万4200円前後)

4K対応の最新ハンディカム。液晶パネルを視認しにくい環境下での撮影をサポートするビューファインダーを搭載。目当ての被写体にズームして再生できる便利な機能も備える。

▼PCを持ち運ぶ”常識を変えた!

1997年
ソニー
「VAIO NOTE 505 PCG-505」

薄型ボディで可搬性に優れる名機“505”。紫に彩られたマグネシウム製ボディは、鮮烈なインパクトを与えた。屋外に持ち運び、カフェなどで“ドヤ顔”で使うPCの元祖と言えよう。

2018年
VAIO
「VAIO S11|RED EDITION」(21万2544円~)

第8世代のIntel Core i7プロセッサーを搭載するほか、独自のチューニング “VAIO TruePerformance”を適用。メモリー転送速度もアップしている、特別バージョンだ。数量限定品。

 

■“関係性”をより継続する製品づくりにシフト

ハンディカム、ウォークマン、VAIOといった製品で育った世代は“イケイケなハード”を今でもソニーに期待しがちだろう。しかし、2000年代以降、家電がデジタル化してビジネス構造が余儀なくパラダイム・シフトされた現代で、それを求めるのは難しいという。

「アップルやグーグルのように、ユーザーと1度築いた関係性をその後も継続させていく企業が躍進する時代になりました。そのため、ハード単体を売って終わり…といった過去のビジネススタイルは通用しません。そのことが、斬新でエポックなプロダクトを生みにくくしているのです」

特にスマホの普及以降、その傾向は顕著だ。そんな時代に呼応するかのように、ソニーも方向を変換。買った後もユーザーとの縁が切れずに続く“関係性の連続構築”を重視した製品開発にシフトしていると西田さんは話す。

その代表的な成功例が、デジタルカメラだ。「RX100シリーズ」は、近しい操作感やサイズ感を守りながら進化を重ねることで、既存ユーザーをいつまでも引きつけている。αシリーズは、ユーザーに買い増してもらえるようなレンズ交換やアクセサリーを拡充。さらにPS4はソフトのダウンロードに加え、ゲーム仲間の輪を広げる役割も担う。こうした志向の製品が生まれた背景には、2012年、ソニーの社長に就任した平井一夫氏(現会長)の存在が大きいと西田氏は読む。

「平井氏は、本社で家電の開発に携わってきた“本流”の人ではありません。その分『ハードだけを売ればいい時代』ではないことを承知されていました。平井氏の社長就任当時、厳しい時代を経験したソニーの会社全体としても、家電分野の中心にいた人では時代に即した製品や価値観を提示できないと認識していたのではないでしょうか」

そうした平井氏の就任を機に、ソニーは舵取りを大きく変えていっている。

 

▼ユーザーが慣れ親しんだ外観や操作性は大幅に変えない

ソニー
「サイバーショット DSC-RX100 Ⅵ」(実勢価格:14万4700円前後)

RX100シリーズの最新モデル。お馴染みのルックスや分かりやすい操作性はそのままに、シリ ーズ初として高角から望遠まで対応する24-200mmレンズを搭載した。旧モデルに比べてオートフォーカスの機能にも磨きが掛かり、人の瞳を素早く検出。一度捉えたら追従して逃さない。

▼オンラインによる多様な“つながり”を構築

SIE
「PlayStation 4 Pro」(実勢価格:4万5000円前後)

高画質映像でゲームをプレイ可能な、4K対応のハイエンドマシン。1TBのHDDを標準搭載し、オンラインマルチゲームのほか、体験版や追加コンテンツを存分に満喫できる。NETFLIXなどの4Kストリーミングサービスも利用可能。PS VRを含めて楽しめるコンテンツは実に多彩だ

■個人向け家電の可能性をソニーは諦めない

デジタル時代に適した体制が整いつつある中、製品にも新しい動きが見えている。「ここ数年のソニーは、ウェアラブルをはじめとする製品の新規事業に注力してきました。これは創業者時代に見られた“大きな賭け”ではなく“小さな賭け”と言えるものです」

この“小さな賭け”ができるのは、現在における平井会長ー吉田憲一郎社長の体制だからこそと、西田さんは断言する。「これまで平井会長に何度かインタビューしてきました。その中で『アーティストが10人いて、全部成功するプロデューサーはいない』というひと言が、今も忘れられられません」

平井会長も吉田社長も「当たるも八卦、当たらぬも八卦」を知るからこそ“小さな賭け”を続けていると西田さんは見る。「マーケティング調査で出てくるものではなく、開発者の情熱から突然生まれる発想の中にも、時々当たるものがあります。“何が当たるか分からないけど、やってみる。赤字になりそうならすぐにやめよう”という方針は、最近におけるソニーのひとつの変化だと思います」

さまざまなプロダクトのジャンルが飽和状態に陥り気味なコンシューマー製品の世界。BtoBのビジネスに主軸を置こうとする家電メーカーが増える中、小さくても個人向けの家電で“賭け”を許すソニーのような企業は国内では珍しい。

「個人向けの商品を諦めていないからこそ、肩乗せスピーカーやアロマスティックのような商品が出てきているのでしょう。ただしソニーのファンは、もっとエッジの立った製品を期待しているとは思いますが(笑)」

■ITジャーナリスト西田宗千佳が注目する最新ソニープロダクト

 

▼「周囲のノイズ量に合わせて “レベル”を自動調整します」

ソニー
「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット WH-1000XM3」(実勢価格:4万3200円前後)

“高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1” を搭載し、従来機種以上に周囲の音をしっかりとシャットダウン。音楽をより快適に鑑賞できる。最大で約30時間使用可能(NCをONにした場合)。

音楽を鑑賞中に周囲の音や人の声が聞ける“外音取り込み”や、ノイズキ ャンセリング(NC)量を自動調整する機能は、よくできています。音質以外も重視するソニーらしい製品ですね

 

▼「肩に乗せるだけで 感動の音体験を味わえます」

ソニー
「ウェアラブルネックスピーカーSRS-WS1」(実勢価格:2万7000円前後)

長時間使用しても快適な装着感を実現。独自のスリット構造で音が回り込むように響く。スロープ形状のディフューザーが音の方向性をしっかり整えることで生まれる、音に包まれるような感覚と臨場感が心地いい。

スリットに沿って音を前後に広げていくので、心地いい臨場感をもたらしてくれます。競合商品よりも明らかに品質や音質が良く、ヒットが長らく続いているのも納得です

 

▼「頻繁に使うボタンを1画面に集約できます」

ソニー
「学習マルチリモコンHUIS-100RC」(実勢価格:2万8000円前後)

家電のリモコンを1台に集約できる学習リモコン。よく使うボタンのみを、省電力性に優れた電子ペーパーの画面で操作可能だ。専用クレードル「HUIS-200CR」(別売り:7400円前後)をプラスすれば、Bluetoothでの操作にも対応する。

家中のリモコンを1台にまとめられるだけでなく、使用頻度の高いボタンだけを1画面に収める機能は実に便利。最適なボタン配置を自動で提案してくれる点もスゴいです

 

▼「自分だけに香る アロマを楽しめます」

ソニー
「パーソナルアロマディフューザーAROMASTIC Starter kit for Relax OE-AS01SK2」(実勢価格:7300円前後)

手のひらサイズのコンパクトな携帯型アロマディフューザー。付属する専用カートリッジの香りは、日本の森をイメージしたリラックスに最適な5種類。好きな時間やロケーションで、目当ての香りを楽しめる。

ソニーとアロマの組み合わせは意外に思われるかもしれません。しかし、手のひらサイズの設計や、自分だけにしか香らないというテクノロジーに、現在のソニーらしさを感じます

 

フリージャーナリスト・西田 宗千佳さん
1971年、福井県生まれ。フリージャーナリスト。PC、デジタルAV、家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」を専門に各媒体で取材・解説記事を執筆。著書も多数。テレビ番組の監修も手掛ける。

 

>> [特集]ニッポン発の傑作モノ

 

本記事の内容はGoodsPress11月号42-44ページに掲載されています

(文/大石七里 写真/中筋純 星 武志(estrellas) 撮影協力/ソニー)

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