【今年の1台=マツダ ロードスター比較試乗】ヒラヒラ軽快なロードスターか、ドッシリした印象のトヨタ86か?
&GP / 2015年12月7日 17時0分
【今年の1台=マツダ ロードスター比較試乗】ヒラヒラ軽快なロードスターか、ドッシリした印象のトヨタ86か?
年間を通じて最も優れたクルマを選出する「2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー」。栄えある2015年のイヤーカーに選ばれたのは、マツダ「ロードスター」でした。
2015年は、ロードスターが4世代目へと生まれ変わったほか、ホンダから新たに「S660」がデビュー。そして東京モーターショーでは、コンパクトFRスポーツのコンセプトカー、トヨタ「S-FR」が公開されるなど、ライトウエイトスポーツカーが大いに注目を集めた年でした。各モデルが気になって仕方がない、という人も多いのでは?
こうした、ライトウエイトスポーツカーが注目を集める源流となったのは、2012年にデビューしたトヨタ「86」といっても過言ではありません。今の潮流はまさに「スポーツカーを文化にしたい!」と公言してきたトヨタの思惑通り。
ここでは、ロードスターの日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、ロードスターと86を比較試乗。2台の印象の違いをレポートします。
■あれ、86ってこんなにマッチョだった!?
ブンブン振り回せて、あれほど「走りが軽快だ!」と感じていた86ですが、ロードスターに乗った後だと、まるでアメリカンマッスルカーのように感じました。いや、それはさすがにいい過ぎだとしても、86ってこんなにマッチョでしたっけ?
パワーの出方、トラクションのかかり方、4輪の踏ん張り具合、ステアリングへの反力…。それらをまとめた印象が、ロードスターよりも明らかに「ドッシリ」しているのです。
人間の感覚なんて、大抵は相対的なものですが(絶対音感を持つ人がうらやましい)、ロードスターと比べるとここまで印象が変わるものかと…。もちろん、2012年に発売されてから3年が経ち、コツコツとセッティングを煮詰めて、グランツーリスモ寄りのキャラクターに落ち着いたのかもしれません。何より86は、日本も北米も欧州も、2リッターの水平対向エンジンをはじめとするシャーシの仕様を、基本、1種類でカバーしていることも印象の変化に関係していそうです。
率直にいえば、ライトウエイトスポーツとしての軽快感、ヒラヒラしたフィーリングでは、圧倒的にロードスターが勝っています。
とはいえ…。
軽快感が絶対正義かといえば、そうでもないですよね。ロードスターでもヒラヒラ感を追求した「S」グレードに対して、今風の走行性能を与えた=結果として走りに落ち着きが出た「Sスペシャルパッケージ」を用意しています(ついにはパフォーマンスを追求した「RS」というグレードまで追加されました)。当然、ライトウエイトスポーツとしてのフィーリングも、グレードごとにキャラクターが異なる、ということになります。ここは分水嶺。そういうキャラクターの違いをベースに、ロードスターと86を5つのポイントに分けて比較しました。
1)500ccという排気量の差は無視できません
「ロードスター」
・直列4気筒 1496cc
・最高出力:131馬力(96kW)/7000回転
・最大トルク:15.3kg-m(150N・m)/4800回転
「86」
・水平対向4気筒 1998cc
・最高出力:200馬力(147kW)/7000回転
・最大トルク:20.9kg-m(205N・m)/6400〜6600回転
スペックからも想像できるとおり、加速の力強さは86の方が上です。500ccという排気量の差は超えられない壁ですね。実は、だからこそロードスターの良さも再確認できました。回転の吹け上がりの軽さ、息の長い加速Gは「クルマは排気量だけでは語れない」ということを教えてくれます。
2)一発の速さは重心の低さを感じさせる86
86のエンジンは、シリンダーが横を向いている水平対向で、しかも低い位置に積まれています。重心が低くて、ステアリングへの反応はダイレクト。四輪が路面に接地している安定感があります。ロードスター(の特にSグレード)は、ステアリング操作に伴い、ボディがリニアにロールしたり、ピッチングしたりします。どのタイヤに荷重がかかっているのか、目で見て、体で感じやすい動きをしてくれます。なので、とても扱いやすいのです。仮にミニサーキットを走ったとして、コンスタントに同じタイムでラップを刻めそうなのはロードスター。ここ一発のベストタイムを出せるのは86だと思いました。
3)大きく感じる86、小さく感じるロードスター
「ロードスター」=全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm
「86」=全長4240mm×全幅1775mm×全高1320mm
大きく感じるというよりも、実際に86は、ロードスターと比べて300mm以上長いのですね。ただし、4シーターでありながら、ロードスター比わずか30cm増にとどめているのは、素晴らしいように思います。ボディサイズそのものよりも、室内の広さでは圧倒的に86の方が空間の広がりを感じます。一方のロードスターは、見事なまでにタイト。実にライトウエイトスポーツカーらしい! そのタイトさ、嫌いじゃありませんよ。
4)小型のスーツケース2個か、タイヤ4本か
ライトウエイトスポーツカーに、室内やラゲッジスペースの広さ、ユーティリティを求めるのは、少し酷なような、そして、ナンセンスなような気もします。ですが、ユーティリティをも重視した86は、まさにリスペクトに値します。いざという時のためにリアシートが備わり、しかも、リアシートを倒せば、4本のタイヤを積めるだけのスペースを確保することもできます。タイヤとジャッキと十字レンチを積んで、そのままサーキットへ向かうことも可能なんですねぇ。よく考えられています。その点ロードスターは、潔さがむしろ魅力。トランクは手荷物サイズのスーツケース2個を収めることができます。空港まで行って、そのままフライト。とてもおしゃれな割り切り方なんですね。
5)キャラクターが違うから比べるのはナンセンス?
ひと言でライトウエイトスポーツカーといっても、これだけハッキリとキャラクターが違うと、比べることがナンセンスにも思えてきます。でもですね、価格帯を見ると、86が248万8909円〜317万3237円、ロードスターが249万4800円〜319万6800円と、ガチンコ勝負になっています。クルマを購入する際、車両の価格帯と用意できる予算は、自ずと比較するライバル車を絞り込むことになります。そういう意味で、ロードスターと86は紛れもない好敵手。このバトルは、たとえ巌流島で待ち合わせていても、決着がつかない感じがします。
(文&写真/ブンタ)
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