1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

4万円は適正価格!バルミューダ代表・寺尾玄氏が語る「BALMUDA The Light」の魅力とは?

&GP / 2018年11月1日 22時0分

写真

4万円は適正価格!バルミューダ代表・寺尾玄氏が語る「BALMUDA The Light」の魅力とは?

10月26日に発売開始したバルミューダの子ども用デスクライト「BALMUDA The Light」。一般的なデスクライトが1万円以下で買えるのに対し、3万7000円(税別)という決して安くはない価格でありながら、予約数は好調だと聞きます。

また、同社としても“子ども向け”と謳う製品を出すのは初めてのこと。バルミューダとしても新たな試みである「BALMUDA The Light」について、同社代表の寺尾 玄氏にお話を聞いてみました。

■BALMUDA The Light開発のきっかけは「親心」

バルミューダが照明器具を発売するのは、今回が初めてではありません。実は、2008年にも「Airline」というLEDデスクライトを発売しているのです。

▲BALMUDA The Light

とはいえ、「Airline」と「BALMUDA The Light」について、寺尾氏は“関係ない”と言い切ります。

▲バルミューダ代表の寺尾 玄氏

「2010年に扇風機『The GreenFan』を出すまでは、単純に“自分が欲しいもの”をただ作るというスタンスでした。あくまでも自分の思いを完遂したいという趣味の商品。しかし、家電を作り始めてからは自分が欲しいという気持ちはあくまでも開発のきっかけであり、根底には“人の役に立ちたい”という気持ちがあります。たまたま過去にも照明器具を出していたというだけですね」

今回の「BALMUDA The Light」を作ったのは、“子どもの目を守りたい”という2児の父でもある寺尾氏自身の“親心”からスタートしています。開発がスタートしたのは2014年。発売までに4年の歳月を経た大きな理由は、「企画」にあったそうです。

▲2017年時点で、裸眼視力が1.0未満の小学生は32.5%にも上る

「BALMUDA The Lightを開発する過程で、まったく別のことに取り掛かっていました。まだその取り組みを諦めたわけではないので詳細は言えませんが、結果としてシンプルな形に戻したんです。いつも途中はいろいろなことを空想しますが、最終的にはシンプルなものに着地しています」

必要な機能に特化するバルミューダ製品とは異なり、最近ではIoT化やAI、ロボティクスなどの分野に家電メーカーが注力しています。しかし、バルミューダも技術開発は進めており、すでに2012年の段階で加湿器とヒーターはiPhoneアプリを使った操作に対応しています。

「技術を入れることは簡単ですが、それが本当に必要なのかが疑問です。人生をリアルに考えたときに、我々はそんなに複雑なことがしたいわけではありません。家電が外から操作できるのは人生のなかで考えるとどうでもいいことなのではないかと個人的には思うんです。しかし、技術開発は進めているので、投入するタイミングは考えどころですね」

▲今年9月に行われた新製品発表会での寺尾社長

■山田医療照明がなければ完成しなかった照明

「BALMUDA The Light」に採用された「フォワードビームテクノロジー」は、離れた場所から手元を広く照らす光拡散技術。この技術により、自分の頭の影で手元が暗くなりがちな子どもが、より快適な環境で勉強したり、絵を描いたりできます。

▲聞き手の反対側に置くことで、子どもの目線の先に影ができない

この技術の開発に協力したのが、手術灯の国内シェアNo.1メーカーの山田医療照明です。医療現場では正確で精密な光の照射が必要とされることに着目した寺尾氏が、山田医療照明に話を聞きにいったのがきっかけだそうです。

▲実際に山田医療照明が作っている手術灯のサンプル。1セット数百万円するらしい

「これまでもモーターの製作など規模は違えど、他社と共同してモノづくりをしてきています。しかし、今回これだけ山田医療照明の名前を出しているのは、やっぱりこの企業がなければ「BALMUDA The Light」はいまでも完成していなかったからなんです。手術灯の話を聞いて、光を反射させるリフレクターの技術や、より太陽光に近い色を見せる医療用LEDを初めて知りました。これは山田医療照明への感謝も含めて、声を大にして伝えないといけないと思ったんです」

「BALMUDA The Light」では、自然界の光に近い波長で本来の色を再現する「太陽光LED」を採用しています。この明かりは色の再現性が高いだけでなく、白色LEDに比べてブルーライトのピーク波長が約半分になることも、“子どもの目を守る”ことにひと役買っています。

▲太陽光にもブルーライトは含まれるが、白色LEDライトのブルーライトのピーク波長は非常に高い

「多くの人が白色LEDの下で不自然な色を見ていることを知りません。視覚は人間の五感のなかで、もっとも遠くから認知できる感覚でもあり、支配力も高いんです。おそらくゴッホが現代の白色LEDの下で暮らしていたら、あんなに鮮やかな絵は描けなかったでしょう。日々の暮らしで見聞きするものがクリエイターのアウトプットを変えていくと思っています」

■寺尾氏の考えるクリエイティブとは?

今回の製品を紹介するにあたり、寺尾氏はこれまで以上に「クリエイティブ」というキーワードを出しています。子どもの頃からモノづくりが日常となっている寺尾氏自身にとっては「生きていくために必要なもの」だそうですが、このデスクライトが子どもにもたらすクリエイティブとは一体何なのか、訪ねてみました。
「クリエイティブは世界最強のチカラです。その使い手になることでいろんなことができる。つまり、子どもたちの人生の可能性が広がります。だからこそ、モノ本来の鮮やかな色を見てほしいんです。今回の照明も1週間も使えば、これまでの白色LEDには戻れなくなるはず。一度その良さを知ってしまうことで、これまでの“一般”が“不満”に変わるんです」

この現象はこれまでにバルミューダが出してきた「BALMUDA The Toaster」でも私達が感じてきたもの。さらに、子どものうちからクリエイティブに触れることの重要性を寺尾氏はこう話します。

「大人になってからクリエイティビティを育むのは難しいですが、柔らかい心を持った子どもであれば、その幅に変化をもたらすことができると思います。さらに、他人をクリエイティブにすることができたら、それこそが最高のクリエイティブですよね。メーカーの立場でそこまでのことができるとは思っていないですが、少しでも実現したいと望みを託したのがBALMUDA The Lightなんです」

■適正価格としての4万円のデスクライト

とはいえ、子ども用のデスクライトで税込4万円近い価格というのは「高い」と感じる人もいるでしょう。正直、私自身もそう思っていました。そのあたりについて、寺尾氏はどのように考えているのでしょうか。

「一番安い価格で提供することが、長期的に考えたときに利益につながると弊社は考えているので、価格は適正に設定しています。とはいえ、この価格が高いと感じるのもわかります。そこで考えていただきたいのが、バルミューダはモノではなく“体験”を提供しているということ。今回のデスクライトが提供するのは、目を守るということも含め、“6年間が良くなる”という体験です。これは子どもの6年間なので、それが未来にも影響するものですよね。自分だったら払うなと思い、企画段階でこの値段を設定して、設計やデザインを進めました」

次なる照明器具の発売を決めているとしながらも、「直近でやるべきことはやり尽くしたので、当面子ども用のデスクライトをアップデートする予定はない」と語る寺尾氏。いままま見たことがないものを見たい。そんな想いを抱く寺尾氏が新たに世に送りだした「BALMUDA The Light」は、子ども達の未来を明るく照らす新世代の家電になるのかもしれませんね。

>> BALMUDA「BALMUDA The Light」

 

(取材・文/今西絢美

いまにしあやみ/エディター、ライター

いまにしあやみ/エディター、ライター

編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください