1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ファッション

グランドセイコーのムーブメントが刻み続ける腕時計の新時代【ニッポン発の傑作モノ】

&GP / 2018年10月29日 18時0分

グランドセイコーのムーブメントが刻み続ける腕時計の新時代【ニッポン発の傑作モノ】

グランドセイコーのムーブメントが刻み続ける腕時計の新時代【ニッポン発の傑作モノ】

日本が誇る最高級腕時計ブランドとして世界的に高い評価を獲得している「グランドセイコー」。今年は心臓部となるムーブメントにアニバーサリーイヤーを迎えたものが多く、記念モデルも相次いでリリースされた。

そこで、革新的な“GSムーブメント”の変遷を振り返りつつ、最新モデルに搭載された最高峰ムーブメント2種類の開発秘話や搭載モデルへのこだわりについて、同社の商品担当者の証言をもとに詳細を見ていこう。

■革新的な“GSムーブメント”の変遷

1960年

~初代グランドセイコー~
厳しい品質規格に準拠したスイスの腕時計と肩を並べる!
「世界で勝負する国産最高級の腕時計」として開発。クロノメーター準拠の高い精度を実現した。

 

1969年

~V.F.A ~
世界基準よりもさらに高い機械式腕時計の精度を追求!
V.F.Aは「Very Fine Adjusted」の略。細部まで緻密に調整することによって、月差±1分以内という高精度を実現した。

 

1988年

~95GS ~
クオーツウオッチとしてもさらなる高精度を実現!
生産を中止していたグランドセツで復活。年差±10秒の高性能ムーブメントを搭載していた。

 

1998年

~キャリバー9S ~
“機械式グランドセイコー”が新たなGS規格で復活! 
独自の高精度規格に準拠したを搭載。機械式の復活に相応しいクオリティを備えていた。

 

2003年
~強化耐磁モデル~
多様なデジタル機器の普及に伴う磁気対策を徹底!
PCや携帯電話が広まり、磁気への対処を強化。外装の改良でクォーツながら40000A/mの耐磁性能を実現した。

 

2006年

~9S67搭載モデル~
“ぜんまい”を改良することによりパワーリザーブを約3日間に!
ひとつの香箱で最長約72時間のパワーリザーブが可能に。ぜんまいを改良し、長さを伸ばして実現した。

 

2007年
~9R86搭載モデル~
正確性と信頼性を高度に兼ね備えるクロノグラフが完成!
ブランド初のクロノグラフ。スプリングドライブと垂直クラッチ式の動力伝達で信頼性を高めた。

 

2016年
~9R01搭載モデル~
3つの香箱の直列配置で最大8日間の連続駆動を可能に!
複雑機構などを担う専門工房初となるGS。スプリングドライブで、約192時間の
連続駆動を実現したブランド初のクロノグラフ。スプリングドライブと垂直クラッチ式の動力伝達で信頼性を高めた。

▼グランドセイコー商品担当者に聞いたふたつのムーブメント

 


マーケティング二部 江頭康平さん2008年、セイコーウオッチに入社後、営業職を担当。'11年よりグランドセイコーの企画に携わる。思い入れが強いのは、往年のスタイルを復活させた「44GS」の現代デザイン

 

 

■クオーツ9系ムーブメント25周年は別地域の時刻がひと目で分かるスポーツモデル

▲キャリバー9Fを初めて搭載したのが、1993年のグランドセイコー「9F8」シリーズ。精度のほか、針やカレンダーの動きまで緻密に作り込まれていた。なお、当時のムーブメントに施していたのは放射状の紋様

1993年に誕生以来、最高峰のクォーツムーブメントであり続ける「キャリバー9F」。今も基本構造が変わらないという、非常に完成度の高いムーブメントが生まれたきっかけは、クォーツ時計の針にあった。グランドセイコーの企画に関わる江頭康平さんは、当時の経緯を次のように説明する。

「70年代以降におけるクオーツ時計の爆発的な普及を経た80年代、セイコーらしい高品位な紳士向けモデルがないことが社内で課題になりました。そこで浮上したのが、グランドセイコーの存在。88年に一度はクォーツモデルを発売しましたが、細い針への評価が芳しくなかったことで、グランドセイコーの名に恥じない新ムーブメントの開発に着手したのです」

イメージしたのは、太くて長い針を備えた初代グランドセイコーの姿。このスタイルをクォーツでも実現すべく、トルクの強化からリューズを回した時の感触、メンテナンス性、全体の剛性など、あらゆる要素を一から見直すことに。そして、93年に“クォーツを超えたクォーツ”である「キャリバー9F」が、遂に世に送り出されたのだ。

25誕生周年を迎えた今年、その記念モデルがリリースされている。時計ファンを驚かせたのは、キャリバー9F初となるGMT機能を搭載したこと。時分秒針を含む4本の針を取り付ける軸が干渉しない“4軸独立ガイド構造”を新たに開発。スムーズな運針を追求した。

「25年間でキャリバー9Fへのニーズが変化し、オーセンティックなタイプだけでなく、スポーツモデルを求める声も増えました。今回の25周年モデルはそれに応え、可能性を広げるものです。もちろん精度やメンテナンス性などの“9Fらしさ”は変わりません。今後は新たな展開にも期待して欲しいですね」

■動いてはピシッと止まる!4本の針の動きが見応え充分

グランドセイコー
「SBGN001」(39万9600円)

キャリバー9Fの誕生25周年記念モデル。文字盤にはグランドセイコーでは初めてチャコールグレーとイエローを採用し、GMT表示の視認性を高めた。ケース径39mm。限定800本。

▼“GMT針”のスポーティ!

▲シックな文字盤は「GS9F」のパターンを型打ちした特別仕様。インデックスの造形も緻密だ

▼裏蓋の造形まで緻密

▲裏蓋には獅子の紋章とシリアルナンバーが入る

▼文字盤の仕上げが細かい!

▲端に蓄光材を塗布して視認性を高めたGMT針がスポーテ ィな印象を強調する

 

■機械式9S系ムーブメント 20週年モデルはどこから見ても惚れ惚れするマスターピース

▲1998年に独自の“新GS規格”に準拠した「キャリバー9S」が誕生。機械式の復活モデル第1弾となるオーセンティックな「9S5」シリーズに搭載された

1960年に最高峰の国産時計を目指して誕生したグランドセイコー。70年代のクォーツ時計の普及に押され、一時は生産中止の憂き目にあった。そこからの復活の象徴となった機械式ムーブメントが「キャリバー9」である。

復活への道のりは「逆風の中を突き進む状態だった」(江頭さん)とか。開発に着手したのは誕生から2年ほど遡った96年。まさにクォーツ時計全盛の時代に逆行するような行為だったが、機械式時計の愛好家から復活を望む声も聞こえていた。

「当時は高級モデルの製造は長年のブランクがあった状態。その上、グランドセイコーに求められる精度要件は非常に高く、設計は困難を極めました。それでもOBの技術者への聞き込みを重ねて、開発を進めました」

この頃、並行して計画されていたのが、独自規格の制定だ。「機械式グランドセイコーを復活させるなら、世界基準とも言える“クロノメーター”を再び越えたい…。そんな思いから、より高い精度基準を設けた『新GS規格』を制定したのです」

高い精度や持続時間などの多岐に渡るハードルをクリアしたキャリバー9Sは、98年に機械式グランドセイコーの復活第1弾「9S5」シリーズに搭載された。今年はそれからちょうど20年。グランドセイコーらしい美しい外装や装飾が目を引く記念モデルには「キャリバー9S」が搭載されている。

「初期のキャリバー9Sと比べると、約50時間だったパワーリザーブは約72時間に伸び、GMT機能も加わっています。実使用時の精度もより安定しています。多機能化も進めていますが、キャリバー9Sが何より重視するのは高い精度を保つこと。このグランドセイコーの哲学を守りつつ、さらなる改良を重ねていきたいですね」

 

■文字盤のデザインはもちろんケースの仕上がりの良さは圧巻!

グランドセイコー
「SBGM235」(59万4000円)

原点回帰の意味合いをも込めて、初代GSに通じるたデザインを採用。緻密な装飾がクラシックなケースに映える。デイト表示とGMT機能を搭載。機械式(キャリバー9S66)。ケース径39.5mm

▼細かい“G”と“S”を刻印

▲文字盤にはグランドセイコーの“G”と“S”、第二精工舎の“S”マークを刻印

▼飽きのこない回転錘の動き!

▲裏蓋はスケルトン仕様で、美しい装飾を施したムーブメントの精緻な動きを覗ける

▼丁寧な仕上げのケースサイドが美しい!

▲ケース表面は手作業による研磨で滑らかに仕上げている

■ズレない! 止まらない!

「世界に誇れる最高級の腕時計」を目指して進化し続けてきたグランドセイコー。そのムーブメントは、かつて存在した機械式ムーブメントの精度を競うスイス天文台コンクールで何度も上位に選ばれるなどして、評価を高めてきた。一方、クォーツのほか、ぜんまいの解ける力をクオーツで制御する第3の駆動方式“スプリングドライブ”の採用で、ラインナップを拡充。

一度は生産中止となった機械式も、独自の厳格な精度基準を満たす「キャリバー9S」とともに1998年に復活を遂げた。今年はさらなる高精度を示す「V.F.A」モデルの復活が海外でも話題を集めている。デザイン面でも“純東洋的”と評価する声が多い。世界が認める日本のものづくり。グランドセイコーはその代表的な製品とも言えるだろう。

 

■多様化が加速する -グランドセイコーの最新モデル-

グランドセイコー
「SBGV245」(32万4000円)

シャープな造形とハイスペックが目を引くスポーツモデル。20気圧防水や16000A/mの耐磁性能、ねじロック式りゅうずなど、タフで実用性の高さが魅力だ。クォーツ式(キャリバー9F82)。ケース径40mm

 

グランドセイコー
「SBGJ233」(151万2000円)

複雑な表情を見せるジルコニア・セラミックスとブライトチタンを素材に使用したGMTモデル。力強いデザインで、丈夫さと軽快な装着感を両立した。機械式(キャリバー9S86)。ケース径46.4mm

 

グランドセイコー
「SBGA373」(58万3200円)

GSデザインの礎となった1967年発表の「44GS」。そのスタイルを踏襲した最新モデルだ。シンプルながら随所に高度な仕上げ技術が施され、洗練された雰囲気を漂わす。スプリングドライブ(キャリバー9R65)。ケース径40mm

 

>> [特集]ニッポン発の傑作モノ

 

本記事の内容はGoodsPress11月号52-56ページに掲載されています

(取材・文/高橋智 写真/湯浅立志<Y2>)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください