やんちゃだから愛おしい!加圧式ランタン、ペトロマックス「HK500」【アウトドア銘品図鑑】
&GP / 2018年11月17日 7時0分
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やんちゃだから愛おしい!加圧式ランタン、ペトロマックス「HK500」【アウトドア銘品図鑑】
近年は、スイッチひとつで簡単に扱える、コンパクトで大光量のLEDランタンがキャンパーに大人気です。なかには大容量バッテリーを持っていてスマホの充電ができるものもあります。
そんなトレンドと真反対とも言えるのがペトロマックスの灯油ランタン「HK500」(2万6000円/税別)です。見目麗しい本体はφ17×H40cm、重量は2.4kg。定番ガソリンランタンよりも背が高く、重量感もあるため迫力あり。しかも明るさは約400W。本体はニッケルやブラスで、点火するとその明るさと本体の輝きで存在感がさらに増します。
100年以上の歴史を持つ加圧式ランタンは、その美しさはもちろん、発光時の熱を利用する暖房用「ラジエター」や調理用のゴトク「クッキングトップ」が用意されており、秋・冬キャンプで愛用するファンが多いことでも知られています。
ただし、加圧式だからガソリンランタンと同じ手順かと思えばさにあらず。十分なプレヒートは不可欠ですし、消火は圧抜き。ススが出やすく、うっかりこれらを怠ると不完全燃焼を起こしてしまいます。マニアックな道具ではありますが、じつは説明書どおりに扱えばそうそう壊れることはないタフな道具でもあるんです。
■使い方
①点火の準備
灯油をタンクの7分目まで注ぎます。給油後は、矢印が描かれた青いグリップホイールの矢印を上向きにしておきます。
また、ニップル、セラミックノズル、ミキシングチューブ、ガスチャンバーは熱膨張などによって緩みやすいので、必ずチェック。「HK500は不完全燃焼して扱いづらい」と言われますが、これらを確認しておくことで不具合を予防できます。
グリップホイールを回すとニードルが飛び出ます。この部分がニップル。
マントルを取り付けている部分がセラミックノズルで、その元がミキシングチューブとガスチャンバーです。
②ポンピング
圧力計の脇にある小さくて丸い圧力調整スクリューは、右側いっぱいに回しておきます。
グリップホイールの矢印と、その左側にある予熱バーナーのレバーは上向きであることを確認。
ポンピング開始です。圧力計の赤いラインを越えない程度に圧力をかけましょう。
③マントルの空焼き
適正な圧力をかけたら予熱バーナーのレバーを押し下げ、ライターやマッチの炎を近づけて点火!
新品のマントルに炎が移り、燃えていることを確認したら、予熱レバーを元の位置に戻して全体が白い灰状になるまで待ちます。マントルが全体に白くなって、小さく丸くなったら空焼き終了です。
④予熱&点火
マントルの空焼きがすんだら、適正な圧力であることと、グリップホイールの矢印が上向きになっていることを確認。予熱バーナーのレバーを押し下げてライターやマッチで着火します。
そのまま90秒〜2分ほどジェネレーターを熱したら、グリップホイールの矢印を下向きに。マントルに炎が灯ったことを確認してから予熱バーナーのレバーも元に戻しましょう。
これで点火完了です。
点火直後はもちろん、ときおり圧力計を確認して、追加ポンピングを行い、圧力計の針が赤いライン付近にくるようにします。これはガソリンランタンと同じですね。
ガソリンランタンやガスランタンのように明るさの調整はできません。
なかなか手順が多くて大変そうに思えますが、グリップホイールの矢印が上向きだとニードルが出る=閉じると覚えておくと混乱を免れるのでは。
⑤消火
圧力調整スクリューを左方向に回して圧力を抜き、消火。その後、グリップホイールの矢印を上向きにします。本体が冷えたら、圧力調整スクリューを右方向に閉めておきます。
ガソリンランタンに慣れていると、グリップホイールを閉めて消火しそうになります。これでも消火はできますが、ジェネレーターの中に燃料が残ってしまい、次に使用するときに不完全燃焼を引き起こしてしまいます。必ず圧力調整スクリューを回して減圧して消火しましょう。
■現地での調整
点火後、「なんだか調子が悪いなー」なんてときは、グリップホイールを回転させてクリーニングニードルを出し入れさせます。一時的に炎が消えますが、グリップホイールをぐるっと一回転させるとまたすぐに着火します。これでニップルの穴の中の詰まりが解消してクリーンな燃焼となります。
不完全燃焼を起こしてマントルが黒くなってしまっても大丈夫。クリーニングニードルで調子が戻ったら、トップを取り外した状態でそのまま燃焼させておくとススが飛んで、またきれいな白いマントルになります。
クリーニングニードルを出し入れしても不完全燃焼が続くようなら、ニップルやクリーニングニードルを交換するか、ミキシングチューブを調整する必要があります。工具があれば自分で交換や調整ができるので、付属の専用スパナやモンキーレンチ、ドライバーを持っていきたいですね。
* * *
扱いには少々コツが必要ですが、たとえ不完全燃焼を引きおこしても「原因を推測して整備する」がいつのまにか楽しみとなります。
圧倒的な明るさと美しいデザインとともに、こうしたちょっと“やんちゃ”な感じが、間違いなく所有欲を満たしてくれる。それが「HK500」なんです。
(取材・文/大森弘恵)
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