【BMW X4試乗】珠玉の直6ターボが快感!SUVの革を被った新世代のスポーツカー
&GP / 2018年11月24日 19時0分
【BMW X4試乗】珠玉の直6ターボが快感!SUVの革を被った新世代のスポーツカー
SUVは今、日本の自動車マーケットで売れ筋のジャンルだ。でもだからこそ、街を走るSUVが増えれば増えるほど、悩ましく思うSUVオーナーも少なくないのでは?世の中にSUVが増えるのに比例して、かつてあった“特別感”が薄まってしまうためである。
世界的にブレークし始めた2000年頃であれば、SUVはセダンやステーションワゴン、ミニバンなどとは明らかに異なる、自己主張できるクルマだった。しかし、2017年に日本で販売されたSUVは、5年前の2倍に相当する約45万台。ここまで増えてしまうと、SUVは特別な乗り物だ、なんて、誰も思わないだろう。
■X3と比べるとルックスもエンジンも特別仕立て
そのように感じているこだわり派におすすめしたいのが、クーペスタイルのSUV。リアシートの居住性をさほど犠牲にすることなく、ルーフをボディの中央付近からリアウインドウにかけて強く傾斜させたフォルムが特徴のSUVのことで、日本車でいえばトヨタ「C-HR」などがそれに相当する。
輸入車では、メルセデス・ベンツの「GLCクーペ」や「GLEクーペ」が該当し、リアウインドウが強く傾斜してはいないものの、レンジローバー「イヴォーク」も同様のコンセプトを採用する。ひと言でいえば、いずれも「背が低く、キャビンが小さく見えて、軽快でカッコいいSUV」である。
そんなクーペスタイルSUVの先駆者といえるブランドがBMW。正統派SUVの「X5」をベースに、軽快なデザインを融合させた初代「X6」が、大きなインパクトを伴ってデビューしたのが2008年。2014年にデビューしたのは、その弟分に当たる初代「X4」で、車体や設計は、同じく正統派SUVの「X3」をベースとする。X4はX6と比較してひと回りコンパクトなため、日本でも人気を呼んだ。
今回紹介するのは、そんなX4の2代目モデル。現行X3と同様に、プラットフォームなどのメカニズムが刷新されている。
日本上陸を果たした新型X4を前にしての率直な第一印象は「意外に変わっていないな」というものだった。でも実際のところ、新型のデザインには結構大きな変化が盛り込まれている。
例えばルーフラインは、先代と比べると後席部分の傾斜が緩やかになり、感覚的にはX3と先代X4の中間くらいの角度になった。これは、初代で大きなインパクトを与えて確固たるイメージを刷り込みつつ、新型では後席の居住性を高めて、より幅広い層へとセールスを拡大したいという意図がある…というのは、単なる推測に過ぎないが、あながち外れてもいないだろう。
実際、リアシートの居住性はかなり高まっていて、頭上空間のゆとりが増しているのに加え、ホイールベースが延長されたことで、ヒザ周りのスペースが先代比で30mmも拡大している。実際に座った時に感じる違いは歴然だ。
リア回りは、テールランプのサイズが上下に薄くなり、横長のデザインが強調されるとともに、ナンバープレートの取り付け位置がテールランプ間の中央からバンパー部分へと低くなったことで、ハイデッキの印象が強調されている。
ボディサイズは先代よりもひと回り大きくいて、全体のフォルムも「背を低くしたX3」と揶揄されがちだった先代と比べ、X4らしい個性あふれるものとなった。シルエットや前後のデザインだけでなく、彫りの深いプレスラインの入ったボディ側面も、X3とは全く異なるデザインだ。
日本仕様に限っての話にはなるが、例えばX3に用意されているベーシックな4気筒ガソリンターボエンジン(184馬力)や、ディーゼル(X3には4気筒と6気筒が用意される)がX4には設定されておらず、逆にX4に設定されている高出力版の4気筒ガソリンターボエンジン(252馬力)や、6気筒のガソリンターボエンジンはX3にはラインナップされていない。事実、エンジンのラインナップはお互いひとつも被っておらず、詳細を見比べてみると、X4はより高出力なラインナップになっていることが分かる。
またX4は、すべてのグレードに操縦性を高める“Mスポーツサスペンション”を装着するなど、X3と比べてサスペンションが硬めてあるのも見逃せない差別化ポイントである。見た目やエンジンはもちろんのこと、動的な性能においても、両車のキャラクターを分けているのだ。
■車高の高さを感じさせないスポーツカー顔負けのフットワーク
今回ドライブしたのは、そんなX4の中でも最高のパフォーマンスを誇るグレード「M40i」。搭載されるエンジンは、BMWの伝統ともいえる直列6気筒で、ターボチャージャーの装着により、360馬力を発生する強心臓だ。
実はもうひとつ、このグレードには特徴がある。それは、グレード名に「M」と記されていることからも推測できるとおり、BMWのモータースポーツ活動を担うとともに、高性能モデルを開発したり、特別モデルを生産したりしているBMWの子会社、BMW M社が、このモデルの開発を手掛けているのだ。
M40iは「Mパフォーマンス」と呼ばれるシリーズの一員で、BMWの標準モデルと、サーキットでの限界性能まで視野に入れて高度にチューニングされた「Mモデル」との間に存在するグレード。Mモデルがサーキットを本拠とするのに対し、Mパフォーマンスはワインディングロードなど“サーキット未満”の場所で駆けぬける歓びを味わえるよう設計されているのだ。
まずは峠道においてM40iを試乗したのだが、新しいX4は走行中の車体の動きがスポーツカーのそれに違い感覚であることに、まずは驚いた。車重が2トンを超える重量級だが、エンジンにはパワーがみなぎっていて、加速はかなり強力。急な上り坂でも、アクセルペダルをちょっと踏み込めば、勢いよく加速していく。また、エンジンの回転が上昇していく際のフィーリングと、その時に耳に聞こえてくる音が爽快で、心の底から気持ちよい気分になれる点は、さすがはBMWの直列6気筒エンジンである。
でもそれらは、確かにすごいことではあるが、あくまで想定内の範囲。新型X4で“想定以上”だったのは、ハンドリングフィールだ。X4はSUVのカテゴリーに属すクルマだから、当然、重心の位置が高い。にもかかわらず、コーナーを回っていく時の車体の挙動は、まるで背の低いスポーツカーのそれを思わせるものなのだ。グラリとロールしがちなS字コーナーの切り返しなどでも、重心の高さをドライバーに感じさせる動きは一切なく、BMW車らしいスーッときれいに曲がっていく感覚が作り込まれている。このセッティングは見事としかいいようがない。「キビキビと走れないからSUVには興味がない」と考えているクルマ好きの人にこそ、ぜひ乗って、味わって欲しいSUVである。
ただし、クルマ好きにとっては、困ることがひとつある。それはこのエンジンがあまりにも気持ち良過ぎて、回転を上げれば上げるほど爽快になれるため、ついついアクセルペダルを深く踏み込みがちになってしまうこと。すると当然、燃費は悪化するだろうし、あっという間に制限速度に達するから、強い自制心も求められる。これはX4に限った話ではないけれど、あまりに運転するのが楽しいクルマゆえ、ドライバーには強い精神力が必要になるのだ。
X4を始めとするクーペスタイルSUVは、確かにSUVではあるものの、フツーのSUVではない、もうひとつの選択肢である。その中で、気持ちのいいエンジンとスポーツカーに匹敵する運動性能を身に着けたX4のM40iは、いうなれば“SUVの革を被った新世代のスポーツカー”といえるだろう。
<SPECIFICATIONS>
☆M40i
ボディサイズ:L4760×W1940×H1620mm
車重:1870kg
駆動方式:4WD
エンジン:2997cc 直列6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力360馬力/5500回転
最大トルク:51.0kg-m/1520〜4800回転
価格:977万円
(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)
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