【トヨタ プリウス プロト試乗】最大の進化点はズバリ走り!燃費はついに40km/L超え
&GP / 2015年11月18日 17時0分
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【トヨタ プリウス プロト試乗】最大の進化点はズバリ走り!燃費はついに40km/L超え
一番の進化ポイントは“走り”である…。
4世代目となるトヨタ「プリウス」の発売を前に、富士スピードウェイでプロトタイプをドライブするチャンスに恵まれました。
発売前のクルマを広いクローズドスペースで試すのは、よくあるハナシ。敷地内をトコトコ走って、撮影をして…と考えていたら、なんと、プログラムの中に“ショートサーキット走行”という項目があるじゃないですか!
折しも小雨が降ってきて、路面はいい具合にセミウエット。ほどほどの速度でニューモデルの挙動を確認できる、絶好の機会です!
■次期モデルでは“普通のクルマ化戦略”を一気に推進
テスト車は3種類。間もなく旧型となる現行プリウス。ニュープリウスの15インチ仕様。そして、新型で17インチタイヤを履いたクルマが用意されていました。
ショートサーキットというシチューエーションから予想されたとおり、実際に走ってみると、新型の17インチモデルがヨカッタですねェ。市販後は、現行モデルでいう“ツーリング”グレードになるのでしょう。
例えば、ブレーキを残しながら“コーナー”に入っていったり、スロットルを抜きながら後輪を滑らせたりしても、ニュープリウスは、意外なほど素直にドライバーの意思に従ってくれます。あえてオーバースピード気味にコーナーへ突っ込んでいっても、穏やかに“VSC(乱れた挙動を正す電子デバイス)”が働いて、破綻する素振りを見せません。
ステアリングホイールを握って運転しながらも、どこか動きが“他人事”といったイメージのある現行モデルとは、一線を画する仕上がりです。
正直、ニュープリウスにも「ステアリングのダイレクト感がもう少しあるといいのになぁ」という感想を抱きましたが、現行モデルまでの、ステアリングとタイヤの(心理的な)距離が遠い“隔靴掻痒感”はすっかり薄まりました。
いわゆるホットハッチのように、ドライバーの心を積極的にかき立てるところはありませんが、それは、プリウスはエコであり、目指す方向が異なるからであって、いってもしょうがないこと、無い物ねだりに過ぎません。
サーキットとその構内という限られた条件下での試乗ではありましたが、ニュープリウスの走り、なかなか期待できそうです。
ここで新型プリウスについて、押さえておくべきポイントをいくつかご紹介しておきましょう。
まずは「好き」「嫌い」の議論が巻き起こっているエクステリアデザイン。特徴的なカタチのヘッドランプ&リアのコンビネーションランプが目をひきますが、新型プリウスの性格を決定づけているのは、そのフォルムです。
ニューモデルは、これまでと同じ2700mmのホイールベースに、低く、幅広いボディを載せます。真横から見ると分かりやすいのですが、下げられたノーズ、天地が薄いサイドウウインドウのグラフィック、後方へと駆け上がるショルダーライン…。「これでもかッ!」とばかりに“スポーティ”さを強調しています。
特に、控えめなスポイラーにつながるリアのルーフエンドと、リアランプにつながるキャラクターラインが交錯する辺りは、スタリッシュなクーペで用いられるデザイン処理そのもの。カッコいい! 最新プリウスのデザインを、トヨタは“先進的でエモーショナル”と謳っております。
一方、プリウスならでは先進性は、三角形のフォルムを持つキャビンの頂点を170mm前方に出すことで表されました。ロングノーズ&ショートデッキを採る古典的スポーツカーのフォルムとは対照的に、実用車のカタチは、進化するにつれキャビンが前進していったのです。居住空間をできるだけ広く取るために。
新型プリウスもこの大きな流れの中にあって、かつ空力的にも洗練されました。かつては0.3に近ければ「すごい!」といわれた空気抵抗係数=Cd値が、ニュープリウスの場合、0.24。驚異的です。
インテリアで印象的だったのは、パネル類に使われる合成皮革の質感の高さ。新型プリウスのインパネまわりを広い面積で覆い、上品にまとめます。“クールグレー”“ブラック”と2種類がカタログに載ります。外野の人間の無責任さでいうと、「汚れやすい?」などと躊躇せず、ぜひ前者を選んでいただきたいですね。
新型プリウスの“走り”への期待は、冒頭に記したとおりです。もし最寄りの販売店にプリウスが展示されるようになったら、まずはシートに座ってみて下さい。おしりや背中をしっかり包み込む形状に、トヨタの本気が感じられるはずです。
今回から“TNGA”と呼ばれる新しいプラットフォームが用いられるようになりました。シャーシ面では、リアサスペンションがトーションビームからダブルウィッシュボーンに変更されたことが大きい。
試乗会場でカットモデルを拝見すると、ロアアームをできるだけ長く取っているのが印象的でした。タイヤが路面に当たる角度の変化を、できるだけ抑えるためですね。
意外な利点も聞けました。トーションビーム形式を捨てたことで、車体後部を横断するビーム(ねじれることで半独立性を実現する)がなくなりました。その場所に樹脂製の燃料タンクを“延ばす”ことで、従来より薄いカタチにでき、結果的に低重心化に貢献できたそうです。
もう一点、オタクネタ(!?)を。リアのショックアブソーバーは、普通は上からネジを締めて装着します。新型プリウスは、下からネジを締める方法にしました。ショックアブソーバーの取り付け部とラゲッジスペースとを完全に分離することで、路面からの振動やノイズが車内に侵入するのを防ぐためです。
もし新型プリウスを運転していて「今度のクルマは静かになったなぁ」と感じることがあったなら、頭上に向けてネジを締めている工員の方々の苦労に、思いを馳せてください。
21世紀になんとか間に合った初代プリウス。トライアングルシルエットを採用し、燃費をさらに向上させた2世代目。エンジンを1.8リッターに拡大しハイブリッド車を広く普及させた3世代目。
そして最新型は、1.8リッター直4エンジンからの動力を、動力分配装置で発電機とタイヤ(直接的にはリダクションギヤ)に分けるハイブリッドシステムをさらにリファイン。40km/リッターという驚異的な燃費を狙っています。
とはいえ、ニュープリウスは「“ハイブリッド=燃費スペシャル”のイメージを打ち消し、むしろ“普通のクルマ”として扱って欲しい…」。トヨタの開発陣は、そう考えているようです。
駆動用のバッテリーパックを小型化して後席の下に移すことで、現行比56リッター増の502リッターというラゲッジスペース容量を確保したこと。左右の後輪の間に電動モーターを配することで、雪国待望の4WDモデルをラインナップしたこと。これらも、プリウスの“普通のクルマ化戦略”(!?)の一環といえるでしょう。
人目を引く斬新なデザインをまといつつ、これからは“一般車”の土俵で競争しようとしているニュープリウス。公道でフツーにドライブする日が楽しみです!
<SPECIFICATIONS>
☆プリウス プロトタイプ
ボディサイズ:L4540×W1760×H1470mm
駆動方式:FF
エンジン:1794cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:動力分割機構
エンジン最高出力:98馬力/5200回転
エンジン最大トルク:14.5kg-m/3600回転
モーター最高出力:72馬力
モーター最大トルク:16.6kg-m
(文&写真/ダン・アオキ)
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