【レンジローバーヴェラール試乗】“イマドキSUV”にちょうどいい2Lガソリンターボの本当の実力
&GP / 2019年1月29日 19時0分
【レンジローバーヴェラール試乗】“イマドキSUV”にちょうどいい2Lガソリンターボの本当の実力
スーパーチャージャーで武装した3リッターV6エンジン(380馬力/45.9kgf-m)や、力強さと省燃費をバランスさせた2リッターのクリーンディーゼル(180馬力/43.8kgf-m)も素晴らしいランドローバーの「レンジローバーヴェラール」
しかし「高級ブランドならではの先鋭的なデザイン性と、SUVとしての実用性を程良くバランスした最も使いやすいレンジローバー」というヴェラールのキャラクターを考えると、むしろ、2リッターの4気筒ガソリンターボの方が、このクルマには“らしい”のかもしれません。
■拡充を続けるレンジローバーの第4の刺客
ブームと呼ぶ段階はとっくに過ぎ去り、セダンやハッチバックと同様、ひとつの車型として定着したSUV。人気が高く、利幅も大きいということで、今や「いかに魅力的なSUVを世に送り出せるか」が、自動車メーカーの浮沈を左右するといっても過言ではありません。
次々と新型車がリリースされる中、老舗ブランドたるランドローバーも迎撃に余念がありません。そもそもSUV=スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルという言葉が誕生する以前から、4輪駆動車を手掛けてきたランドローバー。ガチのオフロード性能をポテンシャルとして持つ高級志向の「レンジローバー」シリーズ、より実用に振った「ディスカバリー」シリーズの2本柱でラインアップを構成します(2015年で生産終了したヘビーデューティモデル「ディフェンダー」の復帰も待たれます)。
念のために復習しておくと、ヴェラールは、ラグジュアリーな「レンジローバー」、スポーティな「レンジローバースポーツ」、パーソナルな「レンジローバーイヴォーク」に続く、第4のレンジローバー。SUV市場の広がりに取り残されまいと、レンジローバーブランドもドンドン拡大しているのです。
ポジション的には、レンジローバースポーツとイヴォークの間を埋めるモデルで、ボディサイズは全長4820mm、全幅1930mm、全高1685mm。ファミリーの中では幾分コンパクトだけど、その外殻にボルボ「XC60」がスッポリ収まる大きさで、それでいて、ミニマムな要素で構成されながらエクステリアが弛緩することなく、見事な緊張感を保っていることに感心します。
外観は、大きく分けて2種類。「スタンダード」と、よりアグレッシブなルックスの前後バンパーを備え、ボンネットにベント(エアアウトレット)を備えた「Rダイナミック」からチョイスできます。エンジンは、3リッターV6エンジン、2リッターのクリーンディーゼルに加え、チューニングレベルが異なる2種類の2リッターターボエンジンという計4種類を用意。組み合わされるトランスミッションは、いずれも8速ATとなります。
駆動方式はもちろん4WD。前後輪間に電子制御式の多板クラッチを配し、フロント対リア=100:0〜0:100の間で、駆動力をフレキシブルに分配します。必要ならば、コーナリング中に内輪側にブレーキをかけ、ねらい通りのラインでカーブを曲がらせる“トルクベクタリングバイブレーキ”機能も搭載。タイトカーブで引っかかりを感じる、4輪駆動車特有の“ブレーキング現象”などは、すでに過去の遺物です。
■ガソリンエンジンの楽しさを再認識させるP300
レンジローバーヴェラールは、数々の先進テクノロジーも頼もしい限りですが、一方で、インテリアの多彩さにも目を見張ります。シート素材は、スエードやレザーが上等なのは当然として、テキスタイルメーカーであるクヴァドラ社が開発したスエードクロスがまた素晴らしい! 薄くて、ソフトで、上品な光沢があります。さらに、オプションの“プレミアムテキスタイルパック”を選ぶと、インストルメントパネルやセンター/トンネルコンソールの周囲、ドアの内張りなどもトータルにコーディネイトされ、室内はなんともシックな雰囲気に。これならファッションに詳しく、センスある同乗者でも感嘆することでしょう。
その上で、“テレインレスポンス”を操作し、「砂利道や泥濘地、はたまた雪道や砂漠でも大丈夫!」と、意外なタフネスさを強調することもできます。レンジローバーに乗る醍醐味のひとつですね! 本当に未舗装路を行くはめになっても(!?)、エンジン、トランスミッション、デファレンシャル、そしてサスペンションまでを、走行しながらクルマが自動でセッティングしてくれます。運転者は大船…ではなく、レンジローバーに乗っているので安心です!
さて、今回試乗したのは、2リッター直4ターボのハイチューン版を搭載する「レンジローバーヴェラール Rダイナミック HSE 2.0 P300」。排気量は同じながら、ベーシックな「P250」に積まれるノーマルチューンと比較して、50馬力アップの最高出力300馬力/5500回転と、同じく3.6kgf-m太い最大トルク40.8kgf-m/1500〜2000回転を発生。1980kgのボディをスムーズに運びます。V6モデルよりも、多少エンジンを回す感じが「運転している!」意識を高めます。
ディーゼルターボの、低回転域から図太いトルクが湧き出る力強さも捨てがたいものがありますが、回転を上げるに従ってリニアに速度が上がっていくガソリンエンジン車のドライブも、また楽しい。今回、レンジローバーヴェラール P300をドライブし、そのことを再確認しました。
<SPECIFICATIONS>
☆Rダイナミック HSE 2.0 P300
ボディサイズ:L4820×W1930×H1685mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:300馬力/5500回転
最大トルク:40.8kg-m/1500〜2000回転
価格:1090万3000円
(文&写真/ダン・アオキ)
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