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デジタル&生活家電の達人が振り返る!2018年の傑作品と注目トピックス

&GP / 2018年12月24日 11時0分

デジタル&生活家電の達人が振り返る!2018年の傑作品と注目トピックス

デジタル&生活家電の達人が振り返る!2018年の傑作品と注目トピックス

1年を通して多彩な製品が登場したテジタル機器と生活家電。 特に今年はスマートスピーカーやAlの普及により、双方の親和性がより深まってきた年でもあった。そんな中で話題を集めた製品やサービスを、デジタル家電のプロ・西田宗千佳さんと生活家電のプロ・神原サリーさんによる対談で振り返ろう。

■スマート化&AIがあらゆる分野に進出し始める

西田宗千佳(以下西田):今年話題になったのはやはりスマートスピーカーですね。家庭への浸透度は疑問ですが派生サービスや関連機器が多く登場しました。それとスマートフォンが意外と豊作だったと思います。一見すると大きな変化はないようですが、カメラが劇的に進化していますね。構えてシャッ夕ーを押せば、誰でも失敗せずにきれいな写真を撮れる時代になってきたと思います。

神原サリー(以下神原):そんなに便利になっているんですか?

西田:AIが進化していて、シーンやユーザーの傾向を判別し、被写体に最適な感度とシャッタースピードを自動で設定してくれるんです。料理を撮るにしても、画像を判別してその料理に合った色合いに設定してくれるようになります。特に優秀だったのが、アップルの「iPhone XS」とGoogleの「Pixel 3」ですね。カメラの基本性能は大きく変わりないのですが、撮影した写真の出来が明らかに違います。

神原:写真がきれいに撮れると聞いていましたが、そんな仕組みになっていたんですね。

西田:「Pixel 3」は画像認識を使った検索機能も便利です。文字も認識して翻訳もできるので、もはや新しい情報ツールだと思います。スマートスピーカーも同様で、我々が見たもの、聞いている音をAIが判別して生活を便利にしてくれる時代がもう訪れています。

▼カメラ機能の進化でスマホの使い方が変わる

Alを採用したスマホが増加し、誰でも簡単に最適な設定で写真が撮れるようになった。「iPhone XS」や「Google Pixel 3」はその代表モデル。「Google Pixel 3」は画像認識を用いた検索機能も提案している。

▲「iPhone XS」

▲「Google Pixel 3」 画像提供:Google

 

■エントリーモデルの家電こそ音声対応にするべき

神原:私も春にスマートスピーカーを導入したんですが、個人的には音声でキッチンタイマーをセットできるのが便利だと思いました。そんな機能は使うと思ってなかったんですが(苦笑)。でも女性にこれを話すとけっこう好評なんです。

西田:確かに家事に役立つちょっとした機能が音声操作できるだけでも、十分に便利さを実感できますよね。

神原:先日アイリスオーヤマがスマートスピーカー対応のLED照明を発表したんですが、けっこう簡単に使えて柔軟に調光・調色できるんです。しかも低価格のLED電球でも対応しているんですよ。今まで日本メーカーのスマートスピーカー対応家電は、複雑な機能も操作できるけど、高価な上位モデルでしか使えないことが多かったので。その辺はシンプルな機能でいいから、エントリーモデルも対応させて欲しいですよね。

西田:シンプルに使えることが意外と重要なんですよね。Amazonが発表したAlexa対応の電子レンジも、基本機能はすごくシンプル。それで十分な製品もあるんですよね。

▼スマートスピーカーが生活のハブになる

スマートスピーカーが普及し始め、対応する家電も増加。まだ使いやすさの面では製品によって差があるが、この流れは家庭のあらゆる場所に広まりそう。今後は機能進化やアップデートによって、操作性がこなれてくることが期待される。

 

▼スマート家電はシンプル操作が鍵になる

スマート家電の利便性は、複雑な機能ではなく、電源のオン・オフや明るさ・温度調節など、基本機能でこそ実感できるという意見が目立つ。 アイリスオーヤマのLED照明のように手頃なモデルへの対応も普及のカギか。

▲アイリスオーヤマのLED照明

■簡単操作で美味しい料理が作れる調理家電が人気

神原:最近は調理家電も単機能でシンプルな製品がどんどん出てきてますよね。

西田:お父さんが週末に腕をふるいたくなる家電が増えてます。全く料理ができない僕の友人が、シャープの「ヘルシオホットクック」を買ったら急にカレー作りにハマり始めましたよ。

神原:私はそういう家電を “オレ家電” と呼んでます。昨年の製品になりますが、パナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク」もまさにそんな家電。ブラウンのブレンダーやシャークの掃除機も同じ感じで、男性ウケがいい家電なんです。モノから入って家事を手伝うようになるのも、今ドキの流れなんじゃないかと思います。

西田:アメリカでは安い肉を低温調理ツールで美味しく調理するのが流行しているんです。スマホで温度管理とかしながら。

神原:調理家電では炊飯器で面白い動きがありましたね。土鍋を利用したシロカの「かまどさん電気」が話題になりましたし、個人的には象印の「炎舞炊き」に驚きました。南部鉄器の内釜にこだわってきた象印が、新しい内釜を採用したのは意外でしたが、確かに美味しいんです。この「炎舞炊き」に最適化したブレンド米を提案しているのも新しい。

西田:低温調理器も安い食材を美味しく作るのに向いています。調理に詳しい人ならその方法を知ってるでしょうが、それを家電で手軽にできるというのが、新しい動きなんだと思います。

神原:シャープはが始めた「ヘルシオデリ」というサービスも似ているかもしれないですね。その調理家電に最適な食材まで提供してくれれば、本当に楽に美味しい料理が食べられますから。ツインバードのコーヒーメーカーも同じ発想ですね。

西田:そういったサービスまで関連づけていくのは、デジタル家電がソフトウェアで差別化していくところと通じてますね。

▼オトコの料理に欠かせない “オレ家電”

従来の何でもこなせる家電ではなく、単機能ながらこだわりの用途に向いた家電が徐々に増加。特に男性に人気で、神原さんは “オレ家電” と呼んでいる。昨年発売のパナソニック「ロティサリーグリル&スモーク」もそのひとつで、これらをきっかけに家事に参加する人も増えている様子だ。

▲パナソニック「ロティサリーグリル&スモーク」

 

▼独自路線にこだわる調理家電が台頭

従来からある製品ジャンルの中で、独自機能で味にこだわる家電が登場。シロカの「かまどさん電気」は、土鍋を使った電気炊飯器ということで注目を集めた。名店の味を再現したツインバードのコーヒーメーカーも話題になった。

▲シロカの「かまどさん電気」

 

■これからのキーワードは「使いこなさない」家電?

神原:家事関連では、掃除機のシャーク上陸が大きな話題になりましたね。機構的にも男性ウケしそうです。ロボット掃除機では低価格の「ルンバe5」が売れているようです。

西田:ロボット掃除機は細かく考えるとコスパがよくないと思うんですよね。バッテリー寿命だったり手入れの手間を考えると。でもあの価格帯ならいいかなと納得できます。

神原:この辺も機械を使いこなせない人に向けて、こなれた音声対応にしていくといいですね。

西田:僕は最近家電などを「つかいこなす」と謳わないようにしようと言ってるんです。複雑な機能まで使うのは大変だけど、1個か2個便利なだけで十分役立つはずです。でも何が便利かは人によって違う。それを引き出すのが、スマートスピーカーでの音声操作だったり、AIであるべきだと思います。

神原:確かに来年はそういう方向性を期待したいですね。

▼海外勢の勢いが目を引く掃除機市場

ここ数年でロボット掃除機やスティッククリーナーに人気が集まる中、今年話題を集めたのが海外メーカー製品。日本に初めて上陸したシャークや低価格帯モデルを投入したルンバの勢いが目立った。

▲「ルンバe5」

▲今年日本に上陸して話題を読んだシャーク

 

▼購入後のサービスが家電の使い方を変える

シャープは自動調理鍋「ヘルシオホットクック」などで利用できる料理キット宅配サービス「へルシオデリ」をスタート。今後は家電をより活用してもらうために、購入後のソフト的なサービスも重要になってきそうだ。

▲シャープ「ヘルシオホットクック」

 

<西田さんが選ぶ2018年の傑作品>

グーグル
「Google Pixel 3」

AIを使ったカメラが優秀で、実際に撮影してみると明らかに違いのある写真が簡単に撮れます。画像認識による検索機能も便利です

 

ソニー
「WH-1000XM3」

音質やノイズキャンセリング機能が図抜けていい。頭へのフィット感もよく移動中も便利です。急速充電で長く使えるところもいいですね

 

アップル
「iPad Pro」

完全にノートPCの代わりに使える性能で、仕事で活躍しています。Apple Pencilの使い勝手やセキュリティー機能も高く評価しています。

 

<神原さんが選ぶ2018年の傑作品>

象印
「炎舞炊き NW-KA10」

内釜を刷新したのは驚きでしたが、かまどの炎の揺らぎまで再現したIHによる新炊飯方式で、本当に美味しいご飯が炊けます

 

ダイキン
「risora Sシリーズ」

スリムなデザインや他にないカラーが気に入っています。別売りの通信アダプターは内部に取り付け可能。機能も見た目もスマートです

 

ツインバード
「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」

カフェ・バッハの味を再現するというアプローチに感心しました。ドリップの工程が見えるので、美味しさが五感に響く感じがします

 

ITジャーナリスト・西田宗千佳さん
フリージャーナリストとしてPC。デジタルAV、家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」を対象に国内外で幅広く取材。主に、各種機器や業界取材記事と個人向け解説記事を担当する。

 

家電+ライフスタイルプロデューサー・神原サリーさん
新聞社勤務、 フリーライターを経て、顧客視点アドバイザ一&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に 幅広い媒体での執筆や商品企画等を手がけている。

 

 

本記事の内容はGoodsPress1.2月合併30-33ページに掲載されています

 

(取材・文/高橋智 写真/田口陽介)

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