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【マツダ CX-5/CX-8試乗】新ガソリンターボの走りは人気のディーゼルを超えた?

&GP / 2019年2月3日 19時0分

【マツダ CX-5/CX-8試乗】新ガソリンターボの走りは人気のディーゼルを超えた?

【マツダ CX-5/CX-8試乗】新ガソリンターボの走りは人気のディーゼルを超えた?

ここ数年のマツダのクルマ作りにおける大きな特徴といえば、積極的な商品改良が挙げられるかと思います。かつて、日本車の多くは、4年から6年でフルモデルチェンジを行い、その間に1度や2度のマイナーチェンジを行うというのが一般的でした。しかし欧米では、毎年改良を行い、“イヤーモデル”として販売するメーカーも少なくありません。

マツダの場合、イヤーモデル制を採用してはいませんが、ほぼ1年に1度のペースで商品改良を実施。走行性能に関する技術や最新の安全装備を、出し惜しみすることなくアップデートするというスタイルを採っています。

そんなマツダが、2018年秋に商品改良を施したのが、人気のクロスオーバーSUV「CX-5」と、3列シートSUVの「CX-8」。各種装備のバージョンアップに加え、新たなバリエーションとして2.5リッターのガソリンターボエンジン“SKYACTIV-G 2.5T”の搭載モデルを設定しました。そのメカニズム詳細についてはこちらのレポートを参照いただくとして、今回はやはり気になる、その走りの変化についてレポートしたいと思います。

■パワフルさと爽快さを兼備したガソリンターボ

2年ほど前、CX-5がフルモデルチェンジを受けた際の試乗会では、クルマとしての完成度の高さはもちろん、エンジンの違いやグレードごとのキャラクター分けの巧みさに感心させられ、思わずヒザを打ったものでした。マツダ車が開発コンセプトとして掲げる“走る歓び”において、新しいCX-5はどのグレードを選んでも、残念な思いをすることはなさそうだと感じたのです。

そんなCX-5に新設定されたSKYACTIV-G 2.5Tのスペックは、最高出力230馬力、最大トルク42.8kgf-mで、2.5リッター自然吸気ガソリンエンジンに比べ、約40馬力のパワーアップを実現。最大トルクも、定評ある2.2リッターのディーゼルターボと同等の力強さを確保しています。

気になるのはその走りですが、結論からいえば、ガソリンターボ車らしい爽快さや伸びやかさを感じられるのはもちろん、「ここぞ!」というシーンにおいては、パンチの効いた加速を楽しめるようになりました。

実は、試乗に先立ってスペックシートをチェックした時「ディーゼル車と共食いになるのでは?」という心配もありました。でもそれは、走り出して数百メートルで杞憂であったことに気づきました。アイドリング状態プラスαの領域からトルクがグッと立ち上がるディーゼルに対し、ガソリンターボ車はアクセルペダルを踏む右足の動きにリニアに呼応する印象。具体的には、2000回転弱から5000回転辺りにかけて、極めてスムーズに吹け上がり、伸びやかな加速感を味わえます。

ディーゼルターボも“燃焼の粒が細かい”といいますか、ディーゼルエンジンとしては滑らかな感触ですが、SKYACTIV-G 2.5Tはガソリンエンジンらしく、より精緻なフィーリングでありながら、淀みなくあふれ出るパワーが印象的です。また、スポーツカーのようではないものの、3000回転以上の領域では、ガソリンターボらしい胸のすく加速を堪能できますし、いわゆる、ターボラグのようなパワーの落ち込みや段差を感じることもないので、扱いやすさも高く評価できます。

クルマとしての扱いやすさという点において、昨今のマツダ車は、ハンドル操作に応じて駆動トルクを制御することで接地荷重を最適化し、スムーズで効率的な車両挙動を実現する独自の電子デバイス“GVC(G-ベクタリング コントロール)”が大きな効果を見せています。実は今回の改良では、このGVCも進化。ハンドルを戻す際の操作に応じて外輪のブレーキをわずかに作動させ、直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで、さらに安定性を向上させる“GVCプラス”が全グレードに採用されました。

GVCプラスの制御は実に緻密かつ自然で、その動作を運転中に感じることはできません。しかし、1.6トンという重量級かつ背の高いSUVであるにも関わらず、コーナーでの切り返しや交差点での右左折時などに、重さを感じるクルマの動き、すなわち、ワンテンポ遅れてやってくるゆらり、ぐらりといった不快な動きや、ハンドル操作とクルマの動きのちょっとしたズレといった違和感が全くありません。特に、ガソリンターボ車でワインディングをややハイペースで駆け抜けるシーンでは、クルマがひと回り軽く、小さく感じられるほど、ドライバーの意図に沿った走りを披露してくれます。ターボ過給による十分過ぎるパワーと相まって、走りの爽快さ、スポーティさにおいては、CX-5シリーズの頂点に立ったといっても過言ではないでしょう。

■装備類をグレードアップしたCX-5の特別仕様車

今回の商品改良では、ガソリンターボエンジンの追加と同時に、コネクティビティシステムである“マツダコネクト”がApple CarPlayやAndroid Autoに対応したほか、エアコン操作パネルなどのデザインが変更されています。

また、特別仕様車「エクスクルーシブ・モード」が設定されたのも、注目すべき点といえるでしょう。今回、テストドライブに連れ出したのはこの特別仕様車ですが、シート生地には滑らかな感触のナッパレザーが用いられるほか、フロントシートには不快な熱気を吸い出すシートベンチレーション機能を搭載。加飾パネルには本杢(ほんもく)を採用しているほか、室内照明を白色LEDとするなど、インテリアのグレードアップが図られています。さらにメーターも、中央(スピードメーター部)に7インチTFTメーターを採用するなど、CX-8の最上級グレードと同等の装備が与えられています。

ちなみに、ガソリンターボエンジンが用意されるのは、上位グレードである「Lパッケージ」とエクスクルーシブ・モードですが、いずれも装備は充実し、設えも上質。CX-5といえば、スポーティで品のいいSUVというイメージをお持ちの方も多いことでしょうが、SKYACTIV-G 2.5Tの搭載と特別仕様車の設定により、今回、そのキャラクターがより色濃くなったのは間違いありません。

■CX-5より200kg以上重いCX-8との相性は?

CX-5の商品改良とほぼ時を同じくし、3列シートSUVのCX-8にもSKYACTIV-G 2.5T搭載グレードが設定されました。エンジンスペックはCX-5と同じですが、ボディが大きい分、ひとクラス重たくなるCX-8との相性が気になる人も多いことでしょう。

CX-8の場合、SKYACTIV-G 2.5Tが設定されるのは4WDのみで、その最上位グレード「25T Lパッケージ」の車両重量は、1880kg〜となります。同等装備のCX-5「25T エクスクルーシブ・モード(4WD)」は1680kgなので、ざっと200kgは重いことになります。

両車の違いを最も感じられるのは、発進時や加速時。CX-5の場合、アクセルペダルを大きく踏み込むと背中にしっかり加速Gを感じますが、CX-8ではスッと自然にクルマが前へ出ていく印象です。大型サルーンのようになめらかな加速感で、気づくと速度が乗っているタイプ、といえば、CX-8×SKYACTIV-G 2.5Tの走りの様子をご理解いただけることでしょう。CX-8は今回の改良でリアゲートや荷室フロア周辺を改良し、静粛性が向上していることも、サルーンのような加速フィールにつながっているのかもしれません。

また、これまでCX-8のエンジンはディーゼルターボのみの設定で、その走りは活発というよりも、どちらかといえば、しっとり重厚な感触でした。しかしガソリンターボモデルは、CX-8らしいしっとり重厚な乗り心地はそのままに、なめらかで自然な加速感と、程よく穏やかな乗り心地をプラスしています。

なめらか、とか、おだやかというと「遅いのでは?」と勘ぐってしまいそうですが、そこはご安心を。ストップ&ゴーが続く都市部でも流れを十分にリードできますし、高速道路での追い越し加速や上り坂においても、ストレスを感じることはありませんでした。むしろ、スムーズで息の長い加速には、アッパーミドルクラスのSUVらしい風格すら感じたほどです。

一方で、CX-8ガソリンターボ車の走りをディーゼル仕様と比べてみると、ハンドリングとコーナリング時の身のこなしに変化が感じられました。スペックシート上では、双方の重量差は20kgしかありませんが、軽量なガソリンターボ車の方が、ハンドル操作に対してスムーズにフロントノーズの向きが変わり、つづら折りのカーブでもクルマの動きがやや軽快に感じられたのです。

これはCX-5と同様、GVCがGVCプラスに進化したこともひとつの要因と思われますが、このサイズのSUVが思いのほか軽やかなフットワークを披露してくれるのは、面白くもあります。CX-8らしい落ち着いたキャラクターや乗り心地を犠牲にすることなく、ちょっとスポーティ、というサジ加減は、ミニバンに匹敵する優れた実用性でCX-8を選んだものの、たまには走りも楽しみたいという方には、なかなか絶妙なものかもしれません。

新しいSKYACTIV-G 2.5Tの採用で、CX-5はそのキャラクターに磨きをかけ、CX-8は秘めたる一面を披露した、というのが、今回の商品改良に対する率直な感想です。フルモデルチェンジのように劇的な変化ではありませんが、常により良いクルマを提供したいという姿勢にはエンジニアの熱意を感じますし、そうした真面目なクルマ作りの姿勢も、今ではマツダの個性になっているといえるのではないでしょうか。

<SPECIFICATIONS>
☆CX-5 25T エクスクルーシブ・モード(4WD)
ボディサイズ:L4545×W1840×H1690mm
車両重量:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:230馬力/4250回転
最大トルク:42.8kgf-m/2000回転
価格:387万7200円

<SPECIFICATIONS>
☆CX-8 25T Lパッケージ(6人乗り)
ボディサイズ:L4900×W1840×H1730mm
車両重量:1880kg
駆動方式:4WD
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:230馬力/4250回転
最大トルク:42.8kgf-m/2000回転
価格:424万4400円

(文&写真/村田尚之)

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