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【スズキ GSX-R125試乗】弾ける加速がクセになる!原二でも侮れないGSXシリーズの末弟

&GP / 2019年1月28日 19時0分

【スズキ GSX-R125試乗】弾ける加速がクセになる!原二でも侮れないGSXシリーズの末弟

【スズキ GSX-R125試乗】弾ける加速がクセになる!原二でも侮れないGSXシリーズの末弟

スズキの「GSX-R125 ABS」にまたがって走りながら、思わず笑っちゃいました。木の幹に残るセミの抜け殻、というか、競馬の騎手が行う“モンキー乗り”の姿勢、というか、小柄なフルカウルマシンに体を丸めて乗っている自分の姿が「外からどう見えるか」を想像して、我ながらおかしくなったからです。

GSX-R125は、スズキの誇るスポーツバイク、GSXシリーズの末弟。実車を前にすると、その完成度の高さに驚かされます。タイヤサイズが、前:90/80R17、後:130/70R17と細身なことを除けば、125ccクラスとは思えない立派なSS(スーパースポーツ)スタイル。GSXシリーズらしい単眼フェイスに、作りのいいカウル類。ヘッドランプやテールランプなどにはLEDがおごられ、凝った造形のタンク(カバー)が印象的です。また、トップブリッジはキレイに肉抜きされ、セパレートハンドルはなんとブリッジの下から生えている!

そのため、乗車するライダーは、グッと上半身を折り曲げる前傾姿勢を強いられます。兄貴分である「GSX250R」よりも、ライディングポジションははるかにレーシーです!!

■気持ちに余裕を持てるライディングポジション

GSX-R125のエンジンは、124ccの水冷4ストローク単気筒(15馬力/1.1kgf-m)。日本では、いわゆる“原二(第二種原動機付き自転車)”に属します。高速道路を走ることはできませんが、一般道を法定速度60km/hで走れ、2段階右折は不要。そして、ふたり乗りができます。

生産国はインドネシア。かの国ではバイク人気が過熱していて、クォーターこと250ccのフルカウルモデルが、バイク乗りにとって“憧れのマシン”なんだとか。何しろ、日本の約14倍、556万台もの2輪市場ですからね。“ニーハン”の弟モデルたる125ccモデルの開発にも、気合いが入ろうというものです。

GSX-R125は、エンジンにボディ剛性の一部を担わせる“ダイヤモンドフレーム構造”を採用しています。装備重量は134kg。いかにも軽い。その上、足つきがいい。カタログ上のシート高は785mmと、意外にも150ccのネイキットモデル「ジクサー」と同数値。ジクサーの試乗時には、足つきにかすかな不安を感じましたが、GSX-R125では、スリムなボディと絞られたシート幅の恩恵か、身長165cm(短足)の自分でも、両足親指のつけ根付近まで地面につけられ、気持ちに余裕が生じます。やはりバイクは、実際に接してみないと分からないものですね。

試乗車を借りるに当たって、スズキのスタッフの方に「R125、どうですか?」といささか漠然とした質問を投げかけると、「昔の50ccみたいですね」との返答が。なるほど、2ストローク時代の原チャリは、速かったですからねぇ。

「GSX-R125は、21世紀のスズキ『ギャグ』ですか?」と心の中で思ったけれど…あ、ギャグというのは、バブル期に発売された50ccのレーサーレプリカ“風”の、一種の冗談バイクです。いや、口にしないでよかった。アレは4ストロークでした…じゃなくて(それもあるけど)、今回のGSX-R125 ABSは、ジョークのかけらもない(!?)正統派スポーツモデルだったため。なんなら、子どもの遊びに大人が本気で殴り込んできたような、ホンダ「NSR50」に例えるべきだったかも……て、かえって分かりにくいですね。

■左に右にと曲がるたび、面白いように車体を操れる

コンパクトな本格派、GSX-R125の124cc水冷単気筒ユニットは、DOHC4バルブのヘッドメカニズムを持ち、ボア×ストローク=62.0×41.2mmのショートストロークタイプ。最高出力15馬力は1万回転で、最大トルク1.1kgf-mは8000回転で発生します。ちなみに、248ccを積むGSX250Rは、並列2気筒ながらロングストローク型で、24馬力の最高出力を8000回転で、2.2kgf-mの最大トルクを6500回転で得ています。エンジンの素性からも、GSX-R125のスポーツキャラがいかに濃いかが分かりますね。

薄くて硬いスポーツシートに座って走り始めると、GSX-R125のシングルシリンダーは、7000回転くらいまではいささか意気地がありません。「力がなくてイライラする」というほどではありませんが、まあ、排気量並み。

ところが、1万3000回転まで用意されるフル液晶ディスプレイの回転数表示が右半分に入るやいなや、「待ってました!」とばかりに、GSX-R125は弾けるようにカッ飛んで行きます!! 1万1500回転付近でシフトアップインジケーターが点灯しますが、ツインカムユニットはさらに回ろうとします。6スピードのギヤボックスを駆使し、回転をあまり落とさないよう意識して走らせると、GSX-R125はその見た目通り、走りもベイビー・スーパースポーツそのもの。ちょっとバカにできない速さです。

さらに、細かなカーブが続く峠に持っていくと、レーシーなフルカウルマシンは、左に右にと曲がるたび、スパン、スパンと面白いようにボディが倒れます。そのたびに、地面がグググッと近づいてきて、「(ヒザに)“バンクセンサー”を付けて来た方が良かったかも!?」と本気で後悔するほど、アグレッシブな走りを見せます。

車重が軽いこともあり、ストッピングパワーにも不満はありません。フロントには、2ピストンのブレーキキャリパーがおごられます。当初、窮屈に感じられたライディングポジションも、いつの間にかすっかり馴染み、バイクとの一体感がむしろうれしいほど。赤信号のたびに腰を伸ばしてきた道中の苦労は、単気筒の排気音とともにフッ飛んでいきました。

「トリトンブルーメタリック」、「タイタンブラック」、「ブリリアンホワイト」の3色がラインナップされるGSX-R125 ABS。価格は38万6640円。クオリティの高さを考えると、リーズナブルなんじゃないでしょうか。購入後の維持費も、ある程度予測がつきます。ちなみにカタログ燃費は、44.7km/L(WMTCモード)となっています。

ちなみに、原二バイクの例に漏れず、GSX-R125も、オーナーの人は自動車の任意保険に付属する“ファミリーバイク特約”を活用し、趣味の1台として購入されるケースが多いそうです。それほど場所を取らず、クルマの脇に停めておけますからね。また、このバイクを使ったワンメイクレース開催のウワサもささやかれる中、コストを抑えたサーキット専用マシンにしても面白そう。GSXの名に恥じず、きっと乗り手の期待に応えてくれることでしょう!

<SPECIFICATIONS>
☆GSX-R125 ABS
ボディサイズ:L2000×W700×H1070mm
車重:134kg
エンジン:124cc 単気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:15馬力/1万回転
最大トルク:1.1kgf-m/8000回転
価格:38万6640円

(文&写真/ダン・アオキ)

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