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【スズキ バーグマン400試乗】400ccエンジンの力強さが光るビッグスクーターの進化形

&GP / 2019年2月16日 19時0分

【スズキ バーグマン400試乗】400ccエンジンの力強さが光るビッグスクーターの進化形

【スズキ バーグマン400試乗】400ccエンジンの力強さが光るビッグスクーターの進化形

スズキの「バーグマン400 ABS」は、ある意味、21世紀ニッポンの“ビジネスパーソンズ・エクスプレス”かも…てなことをいうと、「エッ!? それってビッグスクーターじゃないの?」と、眉を曇らせる人がいるかもしれません。

もう10年ほど前のことになりましょうか。250cc、400ccクラスのスクーターが、日本の路上を席巻していた時代がありました。ブームが爛熟(らんじゅく)すると、ボディを大幅に改造し、爆音をとどろかせて走る輩も出現、良民の顰蹙(ひんしゅく)をかっていたものです。その上、多くのスクーターがリアシートに半ヘル(ハーフヘルメット)女子を乗せていて、うーん、ウラヤマシイ…。

■かつての印象を一変させるスポーティスタイル

バーグマン400は、ヤマハの「マジェスティ」、ホンダの「フォルツァ」と、いわゆるビッグスクーター御三家を成していたスズキ「スカイウェイブ」の後継に当たるモデル。バーグマンという名前は、もともとスカイウェイブの海外市場向けに使われていました。2014年、国内でも200ccモデルが「バーグマン200」として販売され、その3年後、今回の400ccがラインナップに加わりました。

スカイウェイブからバーグマンに名称が変更されたのに伴い、キャラクターもガラリと変わり、豪華でイバリが利くスタイルから、シンプルでスポーティな姿へ。もう「かつての“ビグスク”とは違う」ということですね。

今回の試乗車は、マットステラブルーメタリックのボディカラーで、まあ、なんとも地味な色合いです。ほかに用意される2色も、マットブラックとパールホワイトで、いかにもビジネスライク。バーグマン400の、光りもの皆無のすっきりしたボディは、かつての“ビグスク”乗りには物足りなく感じられるかもしれませんが、一方で、“大人のスクーター”に脱皮した証でもあります。ヘッドランプとテールランプはLED化され、ターンシグナルランプ(ウインカー)をボディにビルトイン。スポーティさを静かに主張します。

外観が大きく変わっただけでなく、バーグマン400は、アンダーボーンとなるパイプフレームから新たに開発されました。フロントタイヤは15インチに大径化され、41mm径のフロントフォークは、110mmのホイールトラベルを確保。リアタイヤは13インチで、リンク式のリアサスペンションは、7段階にスプリングのプリロードを調整できます。

ボディサイズは、スカイウェイブ400より35mm短く、60mmスリムに。シート高は、710mmから755mmへと少々高くなっていますが、足を下ろす辺りのフロアボードに大きな切り欠きが設けられ、足つき性に配慮されます。シート幅がやや狭くなったこともあり、身長165cm(短足)の自分でも、両足親指の付け根くらいまでは地面につけられる。ストップ&ゴーの多い街中でも不安はありません。

シート下のトランク容量は42L。ボディのスリム化によって、スカイウェイブ時代より減じてはいますが、それでも、125ccを中心とした“原二(第二種原動機付き自転車)”クラスの荷室の、2倍近い大きさ。

意外に入らないことが多い、バイザーを外したアライ「ツアークロス3」(57-58サイズ)というヘルメットも、横にすれば収納できました。フタ代わりのシートクッションにダンパーが付いているのも、ちょっと贅沢ですね。

■ハイスピードクルージングが得意

バーグマン400のエンジンは、基本的には旧型からキャリーオーバーされた399cc水冷4サイクル単気筒ですが、平成28年国内排出ガス規制に対応しただけでなく、中低回転域のトルクを太らせ、日常での使い勝手をアップさせています。31馬力の最高出力を従来よりも300回転低い6700回転で、3.7kgf-mに増大した最大トルクを同じく200回転低い4800回転で得るようになりました。

アイドリング時は、1500回転付近で粛々と回り、いざ本格的に動き始めると、エンジンのレスポンスは良好。スロットル操作に太めのトルクが力強くついてきます。“400ccのスクーター”を走らせていることを実感させます。街乗りでは、5000回転も回せば、十分に速い。

ハイスピードクルージングも得意で、長めのホイールベースとフロント15インチホイールの恩恵で、高い直進安定性が保たれます。穏やかな乗り心地。リラックスした姿勢とフロントスクリーンの防風性に守られて悠々と巡航できる。ただ、身も心も弛緩し過ぎると、思わぬ速度に達していてビックリすることも。注意!

今では趣味性の高い大排気量のスポーツスクーターと、実用性一途の原二モデルの間に挟まれて、かつての興隆がウソのようにラインナップを減らしたビッグスクーター。でもだからこそ、キャラクターを変じたバーグマン400 ABSは、通好みの“狙い目”モデルかもしれません。

シンプル&スポーティでいながら、フロント左右にちょっとした小物入れを設け、日常の利便性を向上。片方のボックスには、スマートフォンの充電もできる12V DCソケットが備わります。ハンドブレーキ(ブレーキロックレバー)は、上り坂の途中で停車した時や、路肩に停めて地図を確認したい時などに便利です。

一定の積載性を持ち、ストレスなく街中を走り、必要とあらば、高速道路を使っての長距離移動もためらわない。バーグマン400はまさに、“デキる大人の快速シューズ”といえるのではないでしょうか。

<SPECIFICATIONS>
☆バーグマン400 ABS
ボディサイズ:L2235×W765×H1350mm
車重:215kg
エンジン:399cc 単気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:31馬力/6300回転
最大トルク:3.7kgf-m/4800回転
価格:79万9200円

(文&写真/ダン・アオキ)

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