【Aクラス試乗】「ハイ、メルセデス!」だけじゃない!!走りも安全性も見どころ満載
&GP / 2019年2月17日 19時0分
【Aクラス試乗】「ハイ、メルセデス!」だけじゃない!!走りも安全性も見どころ満載
「ハイ、メルセデス! ヒップホップのプレイリストかけて」というテレビCMでもお馴染みの、メルセデス・ベンツ新型「Aクラス」。
そのCMを見て、アメリカのテレビドラマ『ナイトライダー』の劇中、主人公のマイケルと人工知能“KITT”を搭載した「ナイト2000」との会話を思い出したという方も、少なくないでしょう。「おいKITT、ターボブーストで飛び越えろ!」とは、さすがに物理的にも法的にも無理そうですが、クルマと会話する日が来るなんて、ナイトライダー世代の筆者としては胸が熱くなります。
2018年秋に日本上陸を果たしたAクラスは、すでにオーナーへのデリバリーもスタート。筆者もついに、話題の新型メルセデスとお話する機会に恵まれました。ということで「おいKITT、海までドライブだ…」ではなく、「ハイ、メルセデス! カーナビを葉山にセットして」とばかりに、半日ドライブに出掛けてみました。
■やっぱり気になる“MBUX”の完成度
メルセデス・ベンツのエントリーモデルであるAクラスも、今回の最新モデルで4世代目。初代は、燃料電池やバッテリーの搭載によって電気自動車への発展性を持たせたモデルとしてデビューするなど、当時としては進歩的なクルマでした。
初代の正常進化版だった2代目を経て、3代目への進化に際しては、熾烈な競争が続くプレミアムコンパクトクラスを意識し、やや保守的な方向へと舵を切ったAクラスですが、最新の4代目はかつてない“電脳”っぷりで、ライバルたちを引き離しにかかりました。筆者がナイトライダー世代というのもありますが、クルマの機能を音声でコントロールできるというのは、単純に楽しいですし、何より便利です。
「ハイ、メルセデス! ちょっと暑いんだけど…」といった具合に話しかけるだけで、「24℃にします」と、エアコンの温度設定も可能な“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)”を搭載した新型Aクラス。メルセデス・ベンツとしては初となる、この対話型インフォテインメントシステムは、ナビゲーションの目的地設定のほか、電話での通話や音楽の選択、さらには、エアコンや照明の設定などに対応しています。
カーナビなどを中心に、音声認識機能を搭載したクルマは今では少なくありませんが、それらは文言が決まっていて、ユーザーは規定のコマンドキーワード通りに発声する必要がありました。「そんなコマンドを覚えるくらいなら、画面やスイッチで操作するよ…」というのが、筆者の本音でしたが、MBUXのボイスコントロールはコマンドを覚えたりマニュアルを読んだりすることなく、初めて直感的に「使える!」システムに仕上がっていました。
このように、ユーザーの発声に対して柔軟な対応が可能となったのは、車載コンピュータとクラウドの双方を使うことで、ユーザーの要求を正確に理解、反応することが可能となったから。ちなみに「お寿司が食べたい」という程度のキーワードでも、近場にあるお寿司屋さんのリストを表示してくれますし、ちょっとした隠しコマンドも用意されているなど、iPhoneユーザーにとっては“素直なSiri”といえば想像しやすいかもしれません。
しかもボイスコントロールは、実はMBUXの機能の一部に過ぎません。人工知能による学習機能により、よく通るルートを検知すれば、いつもの目的地をオススメとして表示したり、決まった時刻にラジオの放送局を変える人には、その時刻になると選局の変更を提案したりといった“予測”もしてくれるのです。この辺りは、ユーザーの使い方が影響しますから、半日のドライブ程度では実感することはできませんでしたが、クルマが使い方に合わせて育ってゆく様子は、オーナーの楽しみになるかもしれませんね。
■日本仕様はまず1グレードのみ、「A180」からスタート
なかなか多芸なMBUXを搭載するAクラスですが、ここからはその概要についてチェックしていきましょう。
ドイツ本国では、1.33リッターと2リッターというふたつのガソリンエンジンを軸に、計6種類の出力違いが用意されているほか、ディーゼルエンジンも設定されているAクラス。そのうち、日本向けとしてまず設定されたのは、排気量1331ccの直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する「A180」で、最高出力は136馬力、最大トルクは20.4kgf-mを発生します。
ボディサイズは、全長4420mm、全幅1800mm、全高1420mmですが、エクステリアパーツやスポーティなインテリアをパッケージオプションとした「AMGライン」装着車は、全長が4440mmとなります。
気になる価格は、ベーシックな「A180」が328万円。“パークトロニック”などの機能装備やメモリー付きフルパワーシートなど、各種快適装備が標準装備となる「A180スタイル」(レッドのクルマ)が、369万円という設定です。
このA180スタイルに用意される専用パッケージオプションのAMGライン(シルバーのクルマ)は、18インチホイールやスポーツタイプの“レザーDINAMICAシート”、マルチLEDヘッドライトなど、内外装から機能パーツまで、なかなか多彩なアイテムを用意。それでいて、オプション価格は25万5000円ですから、結構なバーゲンプライスといえるでしょう。
このほかAクラスには、パッケージオプションとして、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)/アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し検知機能付)/PRE-SAFE/PRE-SAFEプラス(被害軽減ブレーキ付き後方衝突警告システム)/PRE-SAFEサウンド/緊急回避補助システム/渋滞時緊急ブレーキ機能/アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)/アクティブレーンキーピングアシスト/アクティブステアリングアシストがセットになった「レーダーセーフティパッケージ」(24万5000円)を設定。
さらに、ナビゲーション/メルセデスmeコネクト(ナビゲーションサービス)/メルセデスmeコネクト(USBオンデマンド地図更新・オンライン地図更新)/VICS-FM多重放送/テレビ機能(12セグ・ワンセグ自動切換)/トラフィックサインアシストがセットになった「ナビゲーションパッケージ」(18万4000円)も用意されています。
A180スタイルに上記ふたつのパッケージを足すと410万円強に、さらに、AMGラインまで装着すると440万円弱と、なかなかの価格になりますが、それでも「Cクラス」の最もベーシックなグレードには届きませんし、「GLA」や「CLAシューティングブレーク」のエントリーグレードと同等と思えば、結構手頃な設定ではないかと思います。実際、本国でオプション類を一切装着していないA180を購入すると、邦貨換算で360万円をオーバーしますから、日本仕様の価格設定は、かなり攻めたものであるのは間違いないでしょう。
中でもレーダーセーフティパッケージは、メルセデスの先進性を堪能したい方には必須の装備といえるかもしれません。というのも、これらを装着すると、メルセデス・ベンツが誇る最新の“インテリジェントドライブ”、つまり、最新の「Sクラス」と同等の安全運転支援システムが搭載されるのです。
例えば、ドライバーが高速道路を走行中、ウインカーを点滅させた場合、行き先の車線に車両がいないことを確認して自動で車線を変更する“アクティブレーンチェンジアシスト”機能や、走行中にドライバーが気を失うといった緊急事態に際し、車線を維持しつつ減速・停止する“アクティブエマージェンシーストップアシスト”など、最先端の運転支援システムがフルに装備されることを考えれば、なかなか魅力的なパッケージオプションだと思うのです。
実際、高速道路で“アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック”と“アクティブステアリングアシスト”を使用してみましたが、前走車との距離の保ち方や加減速、ステアリングのアシストも人間の操作さながら。加減速のサジ加減、制御も絶妙で、確かにこれなら運転時の疲労を軽減してくれそうです。また、アクティブレーンチェンジアシスト使用時の挙動も、極めて自然なものでした。
もちろん「ハイ、メルセデス! 隣の車線に移って」といった具合に、走行や安全に関わる設定は、誤作動を防ぐべくボイスコントロールでの指示はできませんが、エンターテインメントから運転支援まで、新型Aクラスは陰に日向にドライバーをサポートしてくれる機能が満載されているのです。
■入門モデルとは呼ばせない、軽快だけどクセのない乗り味
MBUXを始め、電脳や電制方面ではクラスをリードしているAクラスですが、メルセデスというとどうしても、走りに対する期待値も上がってしまいます。コンパクト設計の1.33リッター直4ターボエンジンの最高出力は136馬力、車重は1360kgですから、爆発的な加速力こそ望めませんが、組み合わされる7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の出来栄えや、エンジンとの相性もよく、低速走行から高速巡航まで、滑らかな加速を実現しています。
交差点での赤信号からのスタート、高速道路での本線への進入や追い越し加速など、アクセルペダルをグッと踏み込むようなシーンでも、ギヤチェンジは極めてスムーズ。その際、エンジン音の高まりこそ感じますが、不快と感じる音質ではありませんし、音量も程良く抑えられています。また、ステアリングを切った時の車体の反応や、操舵時の感触も極めて自然で、アクセルのオン/オフでフィーリングが変化することもありません。
エンジンやギヤボックスの完成度の高さに対して、ちょっとだけ気になったのが足回りのセッティング。Aクラスの場合、一般的には1名から2名乗車という使い方がメインになるかと思いますが、今回のテストドライブは筆者を含めて3名で乗車。フル荷重状態ではありませんが、ちょっとキツめのコーナーでの切り返しや、高速道路で大き目の段差を通過する時など、フルストロークとまではいかないまでも、サスペンションの容量不足を感じることもありました。操縦性に影響が生じるほどではありませんが、プレミアムコンパクトが群雄割拠するドイツ勢ですから、今後、乗り心地でももう一歩頑張って欲しい! というところでしょうか。
また、意外だったのは、16インチタイヤ(ピレリ「P7」)を履くスタイルよりも、18インチタイヤ(ハンコック「ヴェンタス S1 evo2」)を装着するAMGラインの方が、騒音や乗り心地が良好で、ハンドリングも自然な感触だったこと。低速域と高速域におけるタイヤノイズの音量変化の小ささ、目地段差を通過した際などの振動の収まり方、また、ステアリングに伝わる路面状況の正確さなど、好みの範疇ではありますが、18インチ車の方が一歩リードしていた印象です。とはいえ「Aクラスの魅力は電脳っぷりにアリ!」という人にとっては、気にならないポイントかもしれませんし、今後、エンジンや足回りの仕様を含め、バリエーションも拡大するでしょうから、お気に入りのモデルが導入されるのを待つという手もあるかもしれません。
さて、充実した安全装備や運転支援システムを採用する新型Aクラスは、機能面・性能面ともクラスをリードする存在であるのは間違いありません。また、ナビゲーションやエンターテインメントシステムの煩雑な操作に辟易していた筆者にとって、MBUXはまさに、救いの一手となりそうです。
クルマとの対話といえば、ステアリングやアクセルペダル、ブレーキペダルを介して行うもの、と思っていましたが、新型Aクラスには「時代は変わっているのよ。クルマとのつき合い方はそれだけじゃないでしょ!」と諭された気になりました。KITTのように理屈っぽかったり、すねたりといった機能こそ搭載されていませんが、優等生なのにフレンドリーさも併せ持つ新型Aクラスは、「クルマとのつき合い方が変わるかもしれないなぁ…」なんて気持ちにさせてくれる1台でした。
<SPECIFICATIONS>
☆A180スタイル(レッド)
ボディサイズ:L4420×W1800×H1420mm
車重:1360kg
駆動方式:FF
エンジン:1331cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:136馬力/5500回転
最大トルク:20.4kgf-m/1460~4000回転
価格:369万円
<SPECIFICATIONS>
☆A180スタイル AMGライン装着車(シルバー)
ボディサイズ:L4440×W1800×H1420mm
車重:1400kg
駆動方式:FF
エンジン:1331cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:136馬力/5500回転
最大トルク:20.4kgf-m/1460~4000回転
価格:394万5000円(※AMGラインのオプション価格含む)
(文&写真/村田尚之)
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