長く使い続けたい!愛すべき弁当箱「メスティン」【アウトドア銘品図鑑】
&GP / 2019年2月23日 11時0分
長く使い続けたい!愛すべき弁当箱「メスティン」【アウトドア銘品図鑑】
メスティン(messtin)とは「mess=軍隊での食事」と「tin=ブリキ製の容器」というふたつの言葉から成り立っていて、本来は兵士の食器を意味します。似たような言葉でメスキットがありますが、こちらは食器のセット。いずれも「特定の会社が作った製品」とは言えない一般名詞なんですね。
でも、日本でメスティンといえば、やはりコレ。トランギアの「メスティン」(1600円/税別)でしょう。
ご本家・スウェーデンのWebサイトではMatdosa=容器として紹介されていて、ハンドルあり・なしのモデルが用意されています。つまり食器。トランギアにはストームクッカーというすばらしいアルコールバーナーとクッカーのセットがラインナップされているので、当然といえば当然です。
トランギアの「メスティン」は食器ですが、ハンドル以外はアルミ製なので軽く火にかけても大丈夫。それに、ふたがしっかり閉まります。そのため日本では炊飯など、いつしか調理メインで使っているユーザーが爆増しているんです!
■容量
「メスティン」はシンプルな四角いボックス形状なので、バックパックへの収納がとにかく楽。深さもたっぷりあるので、いろいろなモノを詰めて持ち運びたくなるデザインです。
サイズはW17.0×H6.2×D9.5cm、容量750ml。米を炊くなら最大1.8合となります。写真は2合が入った米の容器。2合だと余ってしまうので、1合ずつ小分けにしておくほうがいいようです。
トランギアのアルコールバーナーはもちろん入ります。空き缶で作った自作バーナーやシングルバーナーをいれても余裕あり。
かつて販売されていたプリムスのバーナーとランタンのセット「IP-MBL」は、メスティンの高さにぴったりです。ちなみに、小型ガスカートリッジ「PG-110」はφ9.0×H7.0cm。微妙に高さが合わないのが残念…。
ウィルドのフォールドアカップとスポークはシンデレラフィット。メスティンの幅、丸みに沿う形なのは気持ちがいい!
ふたに米をいれると、約1合。ごはんの国に生まれた日本人にはうれしい仕様です。
ちなみに、トランギアにはひと回り大きな「ラージ メスティン」(2500円/税別)もあります。こちらはW20.7×H7.0×D13.5cmで、メスティンとスタッキング収納が可能。米3.5合まで炊けるので、ファミリーやグループ向きです。
■調理
「メスティン」はたっぷり容量の弁当箱ですが、人々を魅了する調理道具としての実力は? 炊飯ほか「メスティン」で料理をしてみましょう。
米を研ぎ、米の1.2倍の水に浸けておきます。「メスティン」はふきこぼれると言われていますが、1合でとろ火だったためでしょうか、ほとんどふきこぼれはありませんでした。米の量、火加減とのバランスによってふきこぼれる量が異なるので、不安なら1.3倍からはじめて、自分のバーナーにあった水量を探ってみては。
火にかけます。沸騰させるまでは強火で大丈夫です。今回はアルコールバーナーで炊きました。
ふたはしっかり閉まりますが、炊飯時は湯の粘度が高まり、わずかにふたを持ち上げて隙間からふきこぼれます。このふきこぼれが落ち着き、いい香りがしたら炊飯終了。火から下ろし、10分ほど蒸らします。
ツヤツヤごはんが炊けました。この日は風があったため、アルコールバーナーだと風上側の火から離れた端っこが少し硬めになっていました。大きめの風防を忘れたのが悔やまれます。
アルコールバーナーだけでなく、当然ですがガスバーナーでも炊飯できます。「メスティン」は底が細長いので、炎が広がるタイプのバーナーならムラなく炊き上がりました。
炎が集中するタイプの分離型バーナーは、バーナーパッドやロースターを組み合わせて。炊飯のような弱火にかける場合でも端のほうまで熱が届きやすい印象です。ただし、直結型のシングルバーナーや鉄鍋非対応のツーバーナーは輻射熱の影響が不安なのでメーカーに確認を。
メスティンは比較的高さがあるので、専用のSSメッシュトレイや手持ちの網(写真は金網で自作したトレイ兼ザル)を使えば蒸し料理ができます。
食材を蒸した後、ふたでバーニャカウダソースをあたためてディップ★ ほかにも蒸しパン、茶碗蒸しなどいろいろ作れそう。
メッシュトレイを使えばスモークもできなくはありませんが、空だき厳禁。アルミ皿にスモークウッドを載せるなど工夫が必要です。
焦げ付きが怖くて、長時間、火にかけられませんでしたが、ふたがきちんと閉まるのでひっくり返すことができました。サッと火をかけてドリア風に。水分が多いものは無理ですが、ひっくり返せるのは“メスティンで調理”の優位な点です。
■手入れ
新品の「メスティン」はバリがあると言われているので、目の細かなサンドペーパーでバリを取り除きます。また、アルミ製なので、最初に使う前に大きな鍋に米のとぎ汁と「メスティン」をいれて10分ほど沸騰。こうすることで皮膜ができ、変色やにおいがつかず気持ちよく利用できます。
日常の手入れは、やわらかなスポンジで。ハンドルが取れるので、隅々まで洗えます。焚き火で調理するときは、ハンドルを取っておくと安心かも。
万が一、焦げ付かせてしまった場合は天日干しで気長に汚れを剥がします。多少黒ずみますが、酢をいれた水を沸騰させるという方法も。なお、ステンレス鍋で重宝する重曹ですが、「メスティン」のようなアルミ鍋では黒ずむ原因となるので注意してください。
トランギア製品は今もスウェーデンで作られています。それを証明する刻印が誇らしげ(現行製品はハンドル取り付け部に刻印があります)。
アルミ製なのでステンレス製品よりも傷つきやすいんですが、それも味わい。食器として、また調理器具として長く、大切に使いたい道具です。
>> トランギア
(取材・文/大森弘恵)
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