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航空写真家、ルーク・オザワに聞く「ヒコーキから見える絶景写真」の撮り方

&GP / 2019年2月27日 19時0分

航空写真家、ルーク・オザワに聞く「ヒコーキから見える絶景写真」の撮り方

航空写真家、ルーク・オザワに聞く「ヒコーキから見える絶景写真」の撮り方

旅行や出張で飛行機に乗るとき、機窓から見える景色が楽しみという人も少なくないはず。離陸上昇中や着陸間際に見えるミニチュアのような街並み、上空から見える山々、果てしなく広がる雲海など、思わず息をのむような風景に出逢えることもあります。

「今日はデジイチも持ってるし、絶景をバッチリ撮るぞ!」とシャッターを切ったものの、PCで見ると「あれれ、印象が違うし、自分の姿も写り込んでる…」ということも。

今年のゴールデンウィークは10連休だけに、飛行機に乗る機会も多いはず! どうしたら飛行機の窓から風景をキレイに撮れるのかを、航空写真家のルーク・オザワさんに聞きました。

【ルーク・オザワ】
1959年2月生まれ。東京都出身。風景とヒコーキをシンクロさせた、情景的ヒコーキ写真の第一人者。ANAをはじめ、数多くのカレンダーを手がけるほか、テレビやラジオ、セミナーなどで活躍。写真集『JETLINER』シリーズ(イカロス出版刊)ほか、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社刊)など、著書多数。

カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+(シーピープラス)」のキヤノンブースで、『Rで捉えた情景的ヒコーキ写真』をテーマに、トークショーを開催予定。日時:2019年3月3日 16時20分〜16時50分

空港にずらりと並んだ飛行機、スカイツリーと東京のビル群、雪化粧の富士山やアルプスの山々…。日本国内、たった1時間のヒコーキ旅でも、機窓からは非日常的な景色を眺めることができます。そんな風景を切り取るべくカメラを向けてみるものの、思いどおりの1枚はなかなか撮れないもの。果たして、プロの航空写真家はどうやって撮影しているのか気になる方もいることでしょう。

機窓風景を撮るとき、特殊なカメラや道具を使っているんですか?

ルーク・オザワさん(以下、ルークさん) 今はキヤノンのミラーレス一眼「EOS R」を使っています。レンズは昼間であれば24-105mm/F4のズームレンズ、夜は50mm/F1.2の単焦点レンズですね。

24-105mm/F4のズームなら、広く写したいときも、ちょっと寄った画を撮りたいときも自在なので便利ですし、それ以上の望遠レンズだとサイズ的に取り回し難く機内で使うのは難しいですね。夜間は50mmを使いますが、これは絞りが開放F1.2と明るいレンズですし、シャッタスピードを稼げるので、夜の街でもしっかりと写せます。

ミラーレス一眼を使う理由は何ですか?

ルークさん 以前はデジタル一眼レフで撮っていましたが、やっぱりシャッター音が気になるでしょう(笑)。ミラーレス機はもともと静かですが、EOS Rはサイレントシャッター機能を搭載しているので、無音撮影が可能です。これなら周りのお客さんに気兼ねなく撮影できます。

"決定的瞬間"を撮るコツはどんなところにあるんですか?

ルークさん 寝ないことですね(笑)。風景については、この路線ならこの景色が見えるというのを知っていますが、異なる高度を飛行している機体とすれ違うのは運もありますし、一瞬の出来事です。飛行機が視界に入ってから、見えなくなるまで数秒ですね。

機窓写真が撮りやすい、撮りにくい飛行機というのはありますか?

ルークさん 例えば、ボーイング767などは、窓ガラスに薄く色がついている機体と無色の機体があります。もちろん、無色のほうが撮りやすいでしょう。また、ボーイング787は窓が大きくなったので視界はグッと広がりましたが、シェード(日よけ)が液晶式なので、シチュエーションによっては色がついてしまいます。一長一短でしょうか。

また、787は窓が大きくなった分、写り込み気になることがあります。時には機体反対側の窓が写っていたり、ということもあります。

窓ガラスの写り込みは、どうやって消しているんですか?

ルークさん 実はよしみカメラの「忍者レフ」(5184円)という撮影アイテムを使っています。レフ板というと、一般的には光を反射させるためのもので、銀と白が表裏になっているのが一般的です。この忍者レフは黒と白が表裏になっていて、中央にレンズを入れる穴が開いています。

窓に密着させれば機内の照明が漏れることもありませんし、黒い面をガラスに向けて撮れば写り込みを消すことができます。787は窓が大きいので、必需品ですね。

▲上が忍者レフなしで、下が使用した場合。忍者レフを使用しないと窓ガラスに自分の姿が写り込んでしまう。特に早朝や夜間は顕著なので、機窓写真を撮る際にはマストといえる

▲ガラスの写り込みを抑える忍者レフ。機窓撮影のほか、ガラス越しの夜景撮影や水族館やでも重宝する。直径約50cmの「忍者レフ」(5184円)のほか、直径約35cmの「忍者レフミニ」(4320円)、787の窓枠に対応した約55×40cmサイズの「忍者レフ787」(5184円)を用意

>> よしみカメラ

機窓からの写真が絵になるオススメの航路はありますか?

ルークさん 例えば、羽田=小松線は長距離線に比べて低いところを飛ぶので、地上の景色が見やすいですね。羽田=能登線は本州を横断するので、アルプスの山々を望むことができます。あと、羽田=伊丹線は富士山をじっくり見るにはオススメですね。

ボクは子どもの頃、初めて乗ったヒコーキから見た景色が忘れられず、航空写真家になりました。富士山はいまでも飽きることがありませんし、皆さんも起伏に富んだ山々、日の光をキラキラと反射する海など、美しい機窓風景の撮影を楽しんで欲しいですね。

▲HND-NTQ(羽田空港-能登空港)路線で見られる南アルプス

▲HND-ITM(羽田空港-伊丹空港)の路線で見られる富士山。離陸してまもないため高度が低くてきれいに見える

ISG-OKA(石垣島空港-那覇空港)間のフライトで見られる池間島と大神島

* * *

機窓からの写真は、うまい下手を問わなければ誰でも撮れるもの。

しかも空や雲だけではなく、ブロッケン現象や虹といった自然現象、富士山をはじめリアス式海岸、半島といった社会で学んだ地形、京都御所や大阪城、東京ディズニーランドといったランドマーク、すれ違うヒコーキなど、実に多彩。

ぜひ、旅行に行った際には撮ってみてください。

機窓からの写真だけでなく、ヒコーキ写真の撮り方を学ぶなら、ルーク・オザワさんの撮影テクニックが詰まった本も出ていますので興味のある人は。

光、空、風景で魅せる!ヒコーキ情景写真の決定版 ルーク・オサワの「ヒコーキ写真の撮り方」 (誠文堂新光社刊) 2376円

(写真/ルーク・オザワ 文/村田尚之)

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