修理し終えて歯車が回りだす瞬間が最高!「機械式腕時計」【夢中になれる趣味時間。】

&GP / 2019年2月27日 20時0分

写真

修理し終えて歯車が回りだす瞬間が最高!「機械式腕時計」【夢中になれる趣味時間。】

【特集】夢中になれる趣味時間。

精密機械の極致とも言える機械式腕時計は、コレクターズアイテムの王道だ。背景にあるヒストリーや技術に思いを馳せながら集めて眺めるのも楽しいものだが、さらに一歩踏み込んだ先には、分解、カスタムして自分だけの1本を作り上げる楽しさもあるという。

今回話を伺った布瀬川さんも、弄る楽しさに魅了されたそのひとり。機械式時計にハマったきっかけを聞いてみた。

■機械式腕時計は “楽しい玩具”

機械式腕時計にハマったきっかけは「今から約8年前、会社で昇進した際に自分へのご褒美としてロレックス『GMTマスターⅠ(16700)』を購入したことでした」と話す布瀬川さん。

「せっかくだからイイ時計でも買おうかなと雑誌を見ていたんです。その時に見つけたのが『GMTマスターⅠ』でした。青と赤の “ペプシカラー” と呼ばれるモデルで、そのカラーリングに惹かれたんです」

しかし、当時はモデルチェンジ後で、ベゼルは黒一色に変わっていた。必死に探し回り、ペプシカラーを見つけたという。

「価格は約40万円。結構頑張って買いました(笑)。このロレックスをきっかけにして、機械式腕時計の魅力を知り、買い集めるようになりました」

布瀬川昌範さん(40歳)。出版関連会社勤務。平日の深夜、家族が寝静まったあとに数時間、時計をいじるのが何よりも楽しみ。憧れの機械式はロレックス「オイスターパーペチュアル(114300)・ダークロジウム」

当初は、さまざまなブランドの歴史やエポックメイキングな技術革新などに興味を持ち、少しずつ買い揃えつつ、時計を “愛でる” ことで満足していた。しかし、次第に “手を加える” 方向へと楽しみ方が変化していく。

「最初はバンド交換やケース磨きといった、いわゆるメンテナンスでした。中古で手に入れた昔のモデルをキレイにクリーニングするだけで、見違えるようになるんです。バンドも『この革バンドをメタルバンドに交換すると好みになるんだけどなぁ』なんて想像してバンドを購入し、取り替える。想像通りだったりするとすごく楽しいんですよ」

しかし、そんなメンテナンスですら物足りなくなってくる。そして最終的にたどり着いたのが “裏蓋を開けること”=ムーブメントを分解し中身をカスタムすることだった。

▲分解作業は時間の取れる週末の楽しみ。常に着用する手袋は、さまざまな素材のモノを使った結果、使い捨てのビニール製に行き着いた

「時計を勉強しだすと、ムーブメントや機能に興味が湧いてきたんです。そんな時、ネットオークションで手に入れたのがセイコーの海外向け機械式ダイバーズウオッチ “ブラックボーイ”でした。このモデルについて調べていると、バンドだけでなく文字盤や針、風防、ベゼルなどカスタム用パーツが豊富にあるんです。そしてこれらを組み込むことで自分だけの時計に仕上げている人がたくさんいる。“腕時計をカスタマイズする文化”があって、それを楽しんでいる人たちがいると知った時は衝撃を受けましたね」

そして、ムーブメントだけを海外サイトから購入。手巻き機能とハック(秒針も止められる)機能が付いたオリジナルのブラックボーイを作り上げた。

「機械式腕時計って、“バネ” という古典的な動力源で完結しているところが魅力なんです。電力を使わずに用を足せるという、レガシー(遺産)的な技術が核になっているところに強く惹かれるんですよね」

最近は主に、海外サイトで販売されている変わったモデルや、ネットオークションで見つけた古い名品を入手してはメンテナンスやカスタムすることが楽しいという布瀬川さん。

「イジったあとにオークションに放出したりもするので数は減りました」と言うが、その機械式腕時計コレクションは、修理待ちを含めるといまだ60本以上。

▲約60本ある時計はすべて機械式。高級時計から中古で購入しレストアした時計まで、1本1本どれも思い入れがあるという。毎日、その日の気分やファッションに合わせて着ける時計を変えているため、取り出しやすいようにしてある。好みである青文字盤のモデルが多い

「動くものは必ず一度は使います。だって身に着けて使うモノですからね。たしかにズラッと並べて、ニヤニヤしたりすることもありますが(笑)。ロレックスを手に入れた時は、まさに “人生の相棒だ” と思ったものですが、今となっては機械式腕時計は、良い意味で “楽しい玩具” かなと。いい大人が常日頃から身にまとっていても周りの人から白い目で見られない。こんなに愛らしい玩具は他にありません。

今はもう発売されていない歴史的モデルの不動品を手に入れて、分解しキレイに磨いて修理し組み上げる。すると、テンプ(コマのような形の部品)や歯車が動き出す。その瞬間は得も言われぬ快感ですよ」

▲元々プラモデルなどの細かい作業は好きだったという。実は手を付けていないガンプラが箱のままで10個以上クローゼットに置いてある

▲部屋には時計以外に愛車のミニカーや、お気に入りのレゴブロックなども飾られている。自室は好きなものに囲まれているまさに趣味の部屋だ

▲棚には、ネットで少しずつ買い集めてきた、バンドをはじめとしたカスタム用パーツが種類別にボックスに入れて保管されている

 

 

■時計と共に増えていった愛用道具たち

▲①キズミ…細かい傷や汚れなどの確認用ル ーペ ②ケースホルダー…裏蓋を開ける時に本体を固定 ③ブロアー…分解修理時にホコリを飛ばす ④オープナー…スクリューバックのケースの裏蓋を開ける際に使用 ⑤ピンセット…つかみやすくするために先端は研いである ⑥剣抜き…三針を抜くために使用 ⑦バネ棒外し…革バンドやメタルブレスレ ットを外す時に使う。欠けても先端を交換できる明工舎製作所製 ⑧ピン抜き台…メタルブレスレットを固定しピンを打ち抜く ⑨ ムーブメントホルダー…分解修理時にムーブメントを固定 ⑩コジアケ…裏蓋を開けたりベゼルを外したりする際に使用 ⑪グラスヒッター…プラ風防をつかんで取り外す ⑫ 裏蓋閉め器…裏蓋を閉めたりプラ風防やベゼルのはめ込みに使用 ⑬サンエーパール…プラ風防の傷を消すための研磨剤

 

▲ロレックス用のオープナー(裏蓋開け)。ロレックスは裏蓋の形状が特殊なため、専用の器具を使わないと開けないようになっている。「GMTマスターⅠ」の裏蓋を開けたくなり、思い切って購入

▲分解や修理作業時の必要に迫られ少しずつ買い足していった道具たちは、いまやかなりの量に。実は100円ショップで買ったモノも多いという

 

■これぞまさに趣味のコックピット!

時計の分解や修理を行う自室の机は、まさに趣味のためのコックピットだ。常に手の届くところに必要なモノを置き、趣味に没頭できるようになっている。振り向けば、時計がずらりと並ぶ棚が目に入る配置になっている。

①バンドや裏蓋に付いた汚れなどを落とすために導入した超音波洗浄機。中古品をまるで新品のように仕上げるためには、細かい部分の洗浄も重要だという。

②作業時に必要となる道具類を収納しているプラスチックケース。形状に合わせてキレイに収納している。これを机に出すと趣味の時間が始まる。

③集中して作業していると、気付けば数時間は座りっぱなしということもしばしば。そこで腰に負担が掛からないように、奮発してちょっといいイスを購入。

■布施川さんのお気に入りの6本

①ストーヴァ
「アンテア」

ドイツ製の手巻き&スモールセコンドというクラシカルなモデル。青い針とアラビアインデックスの文字盤デザインが洗練されていて、今なお古さを感じさせない。

②シチズン
「ホーマー」

かつて国鉄職員に支給されていた手巻き時計で、通称 “国鉄ホ ーマー”。この時計の裏 蓋には「昭43東鉄」と刻印されている。時計マニアだけでなく、鉄道マニアにも有名なモデルだ。

③ロレックス
「GMTマスターⅠ」

最初に購入した機械式時計。着用する頻度は減ってしまったが、今でも「ここぞ!」という時には着けて気持ちを高ぶらせている。通称 “ペプシカラー ” と呼ばれる青赤ベゼル。

④タグ・ホイヤー
「オータヴィア」

1960年代に発売され人気となったレーシングクロノグラフの復刻版。こちらは十数年前に復刻したモデルで、現在も新たな復刻版が発売中。青白黒の配色に惹かれて入手。

⑤セイコー
「SKX007」

通称 “ブラックボーイ” と呼ばれるセイコーの海外向けダイバーズ。「時計をカスタムする」楽しみに目覚めさせてくれた1本で、これはムーブメントを手巻き&ハック機能付きに換装済み。

⑥セイコー
「ロードマチック」

最盛期には驚異的な生産量を誇ったセイコーの56系ムーブメントを搭載。オークションなどで比較的入手しやすく、機械式時計の分解や修理に興味を持つきっかけとなった1本。

■まずはひとつ手にしてみよう!初めての機械式時計オススメモデル

手にするとずしりとした重さがある機械式腕時計は、デジタル製品では感じられない所有感を与えてくれる存在だ。まずは1本手にしてみて、内部に詰まった精密な機構を肌で感じることで、その魅力や奥深さが分かるはずだ。

▼スリムベゼルなメカニカルダイバーズ

セイコー
「プロスペックス SBDC065」(12万9600円)

1968年に発売されたセイコーのヒストリカルダイバーズウオッチを現代的にリメイク。端正なブルーの文字盤が美しい。手巻き付き自動巻きムーブメント。200m防水。ケース径44mm。

▼ドイツデザインの歴史が息づくインデックス

ストーヴァ
「アンテア バウハウス 100周年記念モデル」(19万4400円)

ドイツ時計を代表するブランド、STOVAの最新モデル。定番シリーズ「ANTEA」を1930年代の “バウハウス・スタイル” と呼ばれるデザインでアレンジしている。ケース径39mm

▲シースルーバックになっていて、ムーブメントの動きを確認できる。30点の限定生産であることが分かるシリアルナンバーが刻印されている

▼ムーブメントの鼓動を着けながら眺められるシチズン

CITIZEN
「コレクション NP1010-51E」(4万7520円)

文字盤からもムーブメントを見られる、通称 “オープンハート” を採用した機械式。裏蓋も全面がシースルーバックになっていて、機械式の機構を堪能できる。ケース径39.6mm。

 

>> 夢中になれる趣味時間。

本記事の内容はGoodsPress3月62-65ページに掲載されています

(取材・文/岡山拓也 写真/田口陽介)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング