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【スズキ スペーシアギア試乗】ジムニーじゃハード過ぎる人に!遊び心満載の使える軽ワゴン

&GP / 2019年3月2日 19時0分

【スズキ スペーシアギア試乗】ジムニーじゃハード過ぎる人に!遊び心満載の使える軽ワゴン

【スズキ スペーシアギア試乗】ジムニーじゃハード過ぎる人に!遊び心満載の使える軽ワゴン

ブームと書くのは、もはやいかがなものか? と思うほど、すっかりポピュラーな存在となったSUV。一方、車体寸法に限りのある中で最大限、空間効率を追求した、軽自動車のトールワゴンも市場では人気を呼んでいます。

そんな状況下、スズキから軽トールワゴン「スペーシア」をSUVテイストに仕立てた、「スペーシアギア」がデビューしました。スペーシアシリーズには、高級ミニバン的なルックスと充実装備を備えた「スペーシアカスタム」もラインナップされていますから、これでキャラクターの異なる3つのバリエーションがそろったことになります。

さらに、スズキといえば、本格クロスカントリー4WDの「ジムニー」、クロスオーバーSUVの「ハスラー」といった具合に、アウトドア志向のモデルも複数展開しています。新しいスペーシアギアは、そんな個性派ぞろいの兄弟たちと、どんなところが異なるのでしょうか?

■コンパクトカーをしのぐ最新メカを搭載

2018年12月、丸型ヘッドライトに、ガンメタリック塗装のフロントグリルやバンパーモールなど、遊び心あふれるスタイルを採用した軽トールワゴン、スペーシアギアが発売されました。ベースモデルはネーミングからもお分かりのとおり、2017年末にフルモデルチェンジを実施、2代目となったスペーシアです。

そもそも、近年の軽トールワゴンブームの火つけ役となったのは、スズキ「ワゴンR」の大ヒットですが、現在、スズキで最も売れているのは、ワゴンRよりも背の高いスペーシアなのだとか。また、他社を見回してみても、売れ筋となっているのは、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」など、スペース効率を最大限に追求したスーパーハイトワゴンのようです。ならば、スペーシアをベースに、スズキが得意とするSUVのエッセンスをふりかけて新たなバリエーションを…となるのは、当然の流れかもしれませんね。

スペーシアギアのラインナップは、マイルドハイブリッド仕様(最高出力52馬力)の「ハイブリッドXZ」と、同ターボ仕様(最高出力64馬力)の「ハイブリッドXZターボ」という2グレード展開。パワーユニットは、前者が排気量658ccの直列3気筒DOHCエンジン+モーターで、後者は直列3気筒DOHCターボエンジン+モーターという組み合わせです。トランスミッションは2グレードともCVTのみの設定ですが、駆動方式はともに、FFと4WDが用意されます。

スペーシアギアには、単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせた、歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキ“デュアルセンサーブレーキサポート”のほか、誤発進抑制機能や車線逸脱警報、ふらつき警報なども全グレードに備わります。さらにオプションですが、ヘッドアップディスプレイや全方位モニターなども設定されています。近年、これらの運転支援・安全装備は、車種を問わず標準化されつつありますが、スペーシアギアはさらに、モーターによるクリープ走行を可能としたマイルドハイブリッドシステムなど、エントリークラスのコンパクトカーをしのぐ最新メカを備えています。

■車内はアウトドア志向の巧みな演出

個性的なスタイルと充実装備が特徴のスペーシアギアですが、クルマ好きとしてはやはり、その走りが気になります。ということで、イエローとブラックのコントラストが鮮やかな、ハイブリッドXZターボで公道へと歩みを進めましょう。

運転席に収まって真っ先に感じるのは、トールワゴンならではの車内の広さと、アウトドア志向を感じさせる演出の巧みさです。例えば、ハニカム柄のシート生地やオレンジ色のステッチはその一例ですが、そうした見た目だけでなく、全席に撥水加工が施されるなど、機能面でも本物志向です。

また、シートの背面やラゲッジスペースフロアは、ドロ汚れなどを拭き取りやすい防汚仕様とするなど、アウトドアレジャーでの使い勝手を考慮。リアシートはスライド&リクライニングが可能ですし、ルーフには空気を循環させる“スリムサーキュレーター”を搭載するなど、快適性にもこだわりが感じられます。

このほか、インパネアッパーボックスのリッドをツールボックス風デザインにしたり、キャンプや車中泊をサポートする数々のオプションギアを用意したりと、「このクルマでキャンプやバーベキューへと出掛けてみようかな…」と思わせる、遊び心あふれる仕掛けにあふれています。

一方、全長3395mm、全幅1475mm、全高1800mmというボディは、スペーシアやスペーシアカスタムに準じた数値。全高はルーフレールが備わるスペーシアと同じですし、150mmという最低地上高もシリーズ共通です。つまりメカニズム的には、シリーズ間に大きな違いはないのですが、試乗したハイブリッドXZターボの走りは、なかなか痛快で好印象。街乗りはもちろん、高速道路でも不満を感じることがありませんし、ハンドリングや乗り心地についても、しっかり骨太な印象です。

さらに、ステアリングに備わる“パワーモードスイッチ”を押せば、モーターアシストがトルクアップされるため、坂道を上る際や高速道路本線への合流でも、力強い加速を味わえます。

■遊び道具をガンガン積んで快適に移動できる

と、ここまで書けばお分かりのとおり、スペーシアギアの走りはオンロードを意識したセッティング。つまり、購入に当たって最も気になるであろう同門のライバル、ハスラーとは明らかにキャラクターが異なります。好みもあるとは思いますが、ハスラーはサスペンションのストロークを生かしたしなやかな乗り味が身上。また“ヒルディセントコントロール”や“グリップコントロール”といった、雪道やラフロードを意識したデバイスも用意されるなど、その生い立ちは車体こそ小さくても、立派なクロスオーバーSUVです。一方のスペーシアギアは、自転車やキャンプ用品といった遊び道具をガンガン積んで、快適に移動するためのツール、といった感じでしょうか。

実は、スペーシアギアに乗っての第一印象は「足回りや装備をもっとSUV風に仕立ててもいいのでは?」というものでした。しかし、乗れば乗るほど「コレでいい」、いや「コレがいい」と感じるようになりました。普段は街乗りやお仕事のパートナーとして使える優れたユーティリティ、そして、キャンプ場などのレジャーシーンにも違和感なく溶け込むルックスの両立、というのは、スペーシアギアならではの個性ですし、“アウトドアレジャー”と“ラフロード”利用率に応じて、ジムニー、ハスラー、スペーシアギアと複数の選択肢が用意されているのは、ユーザーにとってありがたいはず。もちろん、なんとも悩ましい選択ではありますが、皆さんのライフスタイルにフィットするモデルに出合えれば、きっとレジャーがさらに楽しくなることでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドXZターボ
ボディサイズ:L3395×W1475×H1800mm
車重:890kg
駆動方式:FF
エンジン:658cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:64馬力/6000回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
エンジン最大トルク:10.0kgf-m/3000回転
モーター最大トルク:5.1kg-m/100回転
価格:169万5600円

(文&写真/村田尚之)

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