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[Gear Maniax #121] 小さな箱型の“モンスター”はやっぱり只者じゃなかった!

&GP / 2019年3月16日 21時0分

[Gear Maniax #121] 小さな箱型の“モンスター”はやっぱり只者じゃなかった!

[Gear Maniax #121] 小さな箱型の“モンスター”はやっぱり只者じゃなかった!

今回ご紹介するライトはNITCOREのタイニーモンスターシリーズの最新モデルのひとつ「TM10K」です。

箱型のそれは、CREE社のXHP35 HD LEDを6灯搭載し、最大10000ルーメンという光を発することができるモンスターモデルです。その明るさも驚きですが、ユニークなボディデザインとコンパクトさにも注目です。

全長は110mm ヘッドサイズ41mmと手の平に収まる程度のサイズとなります。ただし重さは結構ありまして、メーカー公称値は充電池込みで246.5 g。小さなサイズながらずっしりとした重量感は、このライトが只者ではないことを静かに物語っています。

正面から見た姿は、まるでミサイルポッドのよう。各LEDは浅めのスムースリフレクターに収まっています。LEDが収まるリフレクターは2灯ずつに分かれており、計6灯を搭載。LEDのサイズからすると、リフレクターは小さく浅いものです。つまり、照射距離は稼げそうにありません。よって近距離をワイドに照らすことを目的としたものであると想像できます。

 

ボディは完全な箱型。潔いほどの箱です。ボディ側面にはTM10Kと10,000LUMENS!!のレーザープリント 。正直ダサいですね(笑)。何もボディに書かなくたっていいじゃない、と思います。自慢したいのは分かりますが、あまりカッコいいとは思いません。

反対側には大型のクリップ。クリップはねじ止めされています。ボディ重量に見合ったしっかりとしたものでベルトに挿したりして携帯することができます。

テール部にはモメンタリー(一時点灯)のテールスイッチと充電ポートを備えます。テールスイッチは押している時だけ点灯するもので、このスイッチを押すとターボモードが作動。スイッチボタンはボディよりも少しだけ凹んでおり、ライトを倒立させてもスイッチが干渉することはありません。押し感はいかにも電子式スイッチと思われる感じの触感。反応速度は悪くありませんが、好みは分かれるかもしれません。スイッチ中央には青いパイロットランプがあり、暗所でもその存在をアピールします。

充電ポートはUSB Type-C。上下方向の間違いがない形状。最短で約30分で満充電に近い状態まで充電が可能。とにかく充電が早いなぁという印象ですが、明るく光るライトだけに電力の消耗も激しい。急速充電機能はマストな機能かも知れません。また、充電中はモニターで充電状況を確認できます。非常に視認性が良く、分かりやすい。

電源はビルトインタイプのリチウムイオン充電池。充電池の取り出しはできません。搭載充電池はINR21700というサイズで、一般的なIMR18650充電池の約二倍 4800mAhの容量を誇ります。NITECOREの公式サイトでは、充電池の選定や、なぜビルトインタイプなのか、など開発の経緯やプロトタイプのことまで詳しく書かれています。英語での紹介ですが興味のある人はぜひ。おもしろいと思いますよ。

タイニーモンスターシリーズには概ねモニターディスプレイが装備されています。TM10Kにもモニターが付いていますが、従来品よりも視認性が良く、先にご紹介したTUP同様の仕様です。スイッチをONするとモード、電池電圧、電池残量、持続予定時間、本体温度を順に表示し、すべてを表示すると消灯します。メインスイッチをOFFにすると消灯時の電圧が表示されます。

ちなみに消灯時にモードボタンを押しても現在の電圧が表示されます。使う前に電池残量が確認できるのはうれしいですね。

ロックアウトは点灯または消灯状態からメインスイッチの長押しで行えます。ロックアウトするときは、モニターにLOCKING...と表示されたのち、1回短くLEDが点滅しロックアウト1が作動。そのまま長押しし続けるともう一度短くLEDが点滅し、ロックアウト2になります。ロックアウト1はハーフロックの状態です。テールのターボスイッチは使用が可能です。ロックアウト2は完全に動作不能となります。ロックアウト解除は、メインスイッチを素早くダブルタップ&長押しとなります。

常時点灯を司るスイッチは、ボディ上面にあります。ユーザーから向かって近い側がメインスイッチ、ヘッド側がモード切替スイッチとなります。それぞれのスイッチボタンにマークのようなものがありません。このようなフラッシュライトに初めて触れるという人が果たして使うかどうかは疑問ですが、ちょっと不親切かも。しかし、スイッチボタン自体はボディとツライチなのに、その位置が視認しなくても指先の触感だけでよく分かるようエンボス加工が施されています。暗所でもスイッチの位置が視認しなくても分かることは重要です。だって、ライトを使う状況って暗いところですからね。

逆手に持つとターボボタンだけが押せるタクティカルスタイルになるのですが、形が四角いだけにイマイチ気分が上がりません。自分は古い人間なのかな? とか反省しちゃいます。ボディの角はスムースに加工されているので握った感触は悪くありません。サイズ的には逆手で握るのも、順手で握るのも良好かと思います。こういうスタイルのライトってこれから増えるかもしれませんね。

続いて照射画像です。さぁ、いよいよ1万ルーメンの照射です!

この日も雨でした…。私は可能な限り、肉眼で見える照射の様子に近い画を取りたいと思っていますが、どうにも1万ルーメンってのはつかみどころのないものだと実感しました。なぜなら、普段目にする明るさではないからです。

先にご紹介した通り、拡散&ワイド光なのですが、光の暴力とはこういうことなのかな? と実感しました。ボディの熱々具合は半端なく、まだ少し肌寒いこの季節には良いカイロ替わりになりました。光を熱として感じることは、LEDライトとしては良いことではないですが、このライトに限って言えば「力」を視覚以外で実感できる演出のひとつかも知れません。

デフォルトでは、3ルーメン、100ルーメン、300ルーメン、1000ルーメンで常時点灯のモードが切り替わります。たとえ1000ルーメンであったとしても、それをXHP35 6灯で照射しますので、ボディはあまり熱を持つことなく効率的に連続照射が可能です。このサイズのライトでそれが実現できることが素晴らしい。

Low側の2モードもかなり使えます。3ルーメンは手元、足元であれば全然問題なく使えます。ウルトラLowの3ルーメンの時は中央の2灯のみが点灯します。正直、3ルーメンとは思えない明るさ。リフレクターとの相性が良いのか、とても使える3ルーメンだと思います。また、100ルーメンでは10時間以上の連続点灯が可能。多灯の利点を上手く活かしたモード設定です。ターボモードの1万ルーメンに目が行きがちですが、Low側の実用的な設定もぜひ体感してほしいと思います。

小さな丘を丸々照らすことができるって、もうなんなんでしょうね? 丘に到達するまでに距離も数十メートルあるんですが、そこに至るまでもムラなく照らせる能力は他ではちょっと見かけないものだと思います。

爆光のモメンタリーと実用的なコンスタントを両方実現したのは単純にLEDの力だけではありません。どれだけ熱による悪影響を機器に与えないか、という点がよく考えられています。

「TM10K」には板状のサーキットボードが充電池の隣に配列されていますが、サーキットボードと充電池の間にはアルミ製の分厚いヒートシンクがあり、精密部品に対する熱による攻撃を最小限に抑えています。また、LEDが搭載されるヒートシンクには4mmもの厚さの銅製のものを採用。熱伝導に優れた素材を使用し、いかに効率的に熱を逃がせるか工夫が随所に施されています。ボディが重たいのは、このような理由もあるようです。

付属品は、ナイロンポーチとストラップ、充電用のケーブル。また、ストラップをテールのランヤードホールに通すのに便利な細い紐もあります。しっかりとしたクリップが付属しますので、ナイロンポーチを使うかは好みが分かれますが、お仕事などで必須な人はご活用ください。

Flashaholic…。そんな造語があるんですね。閃光中毒、ライトマニア、ルーメン馬鹿、なんでもいいですが、このキャッチコピーだけ見たら「ドリカム」をってペットネームを付けますよ、私なら。

そんな訳で「TM10K」は凄いライトでした。ただ、値段が高い。ルーメンパーコストで考えると妥当なのかもしれませんが、まさに中毒者向けのアイテム。しかも、携帯性や実用性を考慮している点が、よりマニア度を高めているようにも思えます。単純にルーメンが凄いだけのライトであれば、もっと大きなものがありますし、そちらの方が所有したときの満足度は高いかもしれない。しかし、あえて言うならば、このサイズにでそれを実現したという点は、マニアを自負する人であれば、ぜひ注目していただきたい。それがいかに凄いことであるかということを。(アカリセンター価格:3万4560円)

>> 連載[Gear Maniax]

 

(文・写真/HATTA)

HATTAと申します。通販サイト・アカリセンターで取り扱っている世界中の懐中電灯やギア物を紹介しています。ブログも絶賛更新中!
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