アウトドア=ロープワークという呪縛を解いた「フィギュア9」【アウトドア銘品図鑑】
&GP / 2019年3月23日 11時0分
![アウトドア=ロープワークという呪縛を解いた「フィギュア9」【アウトドア銘品図鑑】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_218415_0-small.jpg)
アウトドア=ロープワークという呪縛を解いた「フィギュア9」【アウトドア銘品図鑑】
NITE-IZE(ナイトアイズ)は、30年前にコロラドの大学生がおこしたブランドです。当時は今以上に熱烈なマグライトファンがおり、ナイトアイズはマグライトを装着できるヘッドバンドというありそうでなかったアイデア商品を発売。初回オーダーが4万2000個という大ヒットとなり、一躍脚光を浴びることになりました。
以降、両側が開く「エスビナー」、色々な形に変化して道具をまとめたり支えたりする「ギアータイ」など、アイデア光るプロダクトを発表し続けています。「フィギュア9」もそのひとつ。
2006年秋に本国でデビューした「フィギュア9」は大いに話題となり、翌年のアメリカ『BACKPACKER』誌のEDITORS’ CHOICEに選出されています。日本にも早々に上陸しており、現在、日本ではL(1000円/税別)とS(500円/税別)、さらに一回り小さなテントラインキット(4個・ライン付き1900円/税別)、そしてカラビナー付き(S800円、L1250円/各税別)が手に入ります。
■特徴
▼アルミ製なので踏んで壊すことがない!
「フィギュア9」は、スタンダードもカラビナーもどちらもアルミ製。一番重いカラビナーLでも54g、Sサイズの「フィギュア9」ならわずか3gと非常に軽量ですが、プラスチック製品とは違ってブーツで踏んでもそうそう壊れることはありません。
また、よく見ると、本体に数字とロープの通し方が描かれています。「フィギュア9」を手にする人=ロープワークが苦手。そして、ロープワークが苦手な人は、ロープを通す順番をなかなか覚えられない人が多いわけですから、これはとっても重要な機能と言えます。
▼ギザギザがロープをつかんで離さない
数字の9を思わせるデザインの「フィギュア9」。その軸の背中にはギザギザがあります。これがキモ。角度がついていて、ここに引っかかったロープはつかんで離しません。対応するロープの太さは、Sでφ2〜5mm、Lはφ3〜9mm。幅があるので、キャンプ用のロープには大抵対応します。
▼耐荷重はSで22.5kg、Lは67.5kg!
ロープの長さ調節をするアイテムと言えば、自在金具があります。テントやタープに装備されている自在金具はとっても軽量で扱いやすい優れものですが、耐荷重は不明。ロープとの相性もありますが、濡れや風の力によって徐々にゆるんでしまいます。
一方、「フィギュア9」は耐荷重が公表されており、Sで22.5kg、Lは67.5kg! 自在金具がわりに使うことはもちろん、タフなロープと組み合わせれば重い道具だってきっちりまとめて持ち運べます。
■使い方
▼片側に輪を作る
片側にペグを通す、木にタープをかけるなんてときに便利な使い方です。
ロープで輪を作って「フィギュア9」の穴(数字の「1」がそばに書かれています)に通し、軸部分にロープの輪を引っかけます。
ロープをペグなどに通したら、「フィギュア9」の「2」と書かれた足部分に引っかけます。
最後に「3」にめがけてロープを回すと、ギザギザがロープをキャッチして放しません。
▼ロープ全体で輪を作る
薪を束ねる、雨に濡れたテントをまとめて縛る、荷台のフックを使って荷物をロープで固定するようなときに重宝します。
「フィギュア9」の穴にロープを通し、軸を一周させてからロープをクロスさせます。たったこれだけですが、ロープの反対側を引っ張るときっちり止まります。巻き結び(クローブ・ヒッチ)と同じ要領ですね。
反対側は「2」の足に引っかけてから「3」へ。ここらへんは片側に輪を作る方法と同じです。
▼カラビナー付きの使い方
グロメットなどにロープを通すときは、カラビナー付きが便利。とくに高い位置や狭い場所にあるDカンを使う際に威力を発揮します。
カラビナー付きには、足部分に「1」「2」と書かれているので、これに沿ってロープを引っかけるだけ。簡単です。
■発展系の「カムジャム ロープタイトナー」と併用できる
「フィギュア9」で十分使いやすいのですが、しばらく使っていないと「どうやってロープをかけるんだっけ?」とあやふやになることもあるでしょう。「カムジャム ロープタイトナー」(650円/税別 アルミニウム製は1700円/税別)は歯車でロープを保持し、より簡単にロープのテンションをかけられる発展系のギアです。
ロゴが描かれている面に向かって、裏側からロープを通します。対応するロープの直径はφ2〜5mm。
本体右下にある出っ張りを押せば、歯車が右にずれて隙間が生まれるので、ここにロープを挟むだけ。
ロゴのある面のロープを引っ張ればロープはスルスルと伸びてテンションがかかりますが、反対側のロープを引っ張ってもゆるむことはありません。
ロープの両端で「フィギュア9」と「カムジャム」を用いるという贅沢な使い方もできます。
* * *
気をつけたいのは「フィギュア9」も「カムジャム」も“NOT FOR CLIMING”であること。アルミ製のカムジャムは耐荷重127kgですが、それでも身体が動くことで一時的に大きな力がかかるハンモックで使用するには不向きです。
けれどもテントやタープの自在金具よりもゆるみにくく、タフ。お守り代わりにいくつか持っておき、自在金具を壊したときや、ロープが濡れてすべりやすくなったときに交換できるようにすれば、自在結び(トートライン・ヒッチ)を知らなくても大丈夫。
とくにうれしいのは、ポールではなく木を利用してタープをかける時。
ロープワークに不慣れな人は、いちいちロープを自在金具から抜いて木の幹に回し、もう一度自在金具をセットする必要があります。これが面倒くさい。巻き結び(クローブ・ヒッチ)やトラッカーズ・ヒッチを使えばいいんですが、悪天候時だと焦ってモタモタ。それに雑に結ぶと、風や雨でたるんでひどい目にあってしまいますし、結ぶのもほどくのも時間がかかります。「フィギュア9」なら、いつもの自在金具を取り付けたまま木に回し、素早くきっちりテンションをかけられます。
また、ロープワークの手順を覚えていても、不器用さんはなぜかグスグス。「フィギュア9」なら引っ張るだけでよく、グスグスになりようがありません。力の弱い人も安心なので、クルマやボートに荷物を固定するなんてときにも重宝しますね。
>> シームーン
(取材・文/大森弘恵)
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