【BMW 3シリーズ試乗】7代目は日本重視のラインナップ!これぞスポーツセダンの大本命
&GP / 2019年3月23日 19時0分
【BMW 3シリーズ試乗】7代目は日本重視のラインナップ!これぞスポーツセダンの大本命
2018年末にドイツ本国でフルモデルチェンジを実施した、BMWのスポーツセダン「3シリーズ」が日本に上陸。3月9日より販売がスタートしました。
1975年に登場した初代から数えて7代目となる新型ですが、ひと目でBMWと分かる端正なたたずまいはもちろん、走る、曲がる、止まるに関するメカニズムも大幅に進化を遂げています。
クルマ好きや、1990年頃に20代だった人にとって、3シリーズといえば特別な存在。日本でも爆発的にヒットし、街中でその姿を多く見掛けたことから、“六本木カローラ”なんて揶揄された時代もありましたが、それはきっと、憧れの裏返しだったのではないでしょうか。
新型3シリーズは従来どおり、多彩なバリエーションが展開される予定ですが、真っ先に日本での販売がスタートしたのは、2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する「320i SE」(2019年の中頃に発売予定)、「320iスタンダード」、「320i Mスポーツ」、「330i Mスポーツ」の4グレード。今回は、現時点における頂上グレード、330i Mスポーツの印象をご紹介しましょう。
■日本重視の姿勢を裏づける専用開発の320i
欧州デビューからわずか半年ほどで日本に上陸した新型3シリーズ。これは、BMWが日本のマーケットを重視している、ひとつの証といえます。実際、3シリーズの場合、日本は総販売台数の3%を占める重要なマーケットであり、開発についても、日本サイドの要望や意見が反映されているそうです。
それを裏づけるのが、320iが設定されていること。3シリーズといえば、BMWの代名詞的な存在であり、憧れの対象でもあった“サンニーマル”こと320iを想起する人も多いと思います。新型にももちろん、320iはラインナップされているのですが、実は欧州での初期生産モデルに320iはラインナップされていません。そして日本仕様の320iには、日本の道路事情に合わせて専用チューニングを施した日本向けのエンジンが搭載されているのです。こうした点からも、BMWが日本市場をいかに重視しているのかがうかがえます。
一方、新しい3シリーズの進化と真価を把握するには、今回ドライブした最新機能てんこ盛りの上位モデル、330i Mスポーツが適任といえるでしょう。
まずボディは、全長4715mm、全幅1825mm、全高1430mmという寸法で、先代比で全長が70mm、全幅が25mm拡大されています。ライバルであるメルセデス・ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」も同等のサイズですから、妥当なところではありますが、日本で大ヒットを記録した2代目のE30型、3代目のE36型は5ナンバーサイズでしたから、3シリーズもずいぶん立派になったなぁ、と感じるのも事実です。
とはいえ、そのエクステリアデザインは、なかなかの二枚目。フロントバンパーからフロントフェンダーへとつながるラインは美しい曲線を描いていますし、張り出したリアフェンダーもスポーツセダンらしい力強さを感じさせます。ディテールにおいても、BMWの象徴というべきフロントの“キドニーグリル”がワンピースタイプとなり、ヘッドライド下端に切り欠きを入れることで、よりアグレッシブな印象に仕上がっています。
330iに搭載されるエンジンは、排気量2リッターの直列4気筒。ツインスクロールターボやバルブトロニック無段階可変バルブ制御システム、VANOS可変カムシャフト制御システムなどを組み合わせることで、最高出力258馬力、最大トルク40.8kgf-mを発生します。駆動方式はFR(フロントエンジン/リアドライブ)で、トランスミッションは8速ATが採用されています。ちなみに先述した320iは、同じく排気量2リッターの直列4気筒ターボを搭載していますが、こちらのスペックは、最高出力184馬力、最大トルク30.6kgf-mとなっています。
■安全性や操作性アップを目論みハイテクデバイスを積極導入
最近のBMWといえば、数々の先進デバイスも見どころ。もはや基本的な安全装備は、全くスキなしといった状態です。
例えば、運転支援システムには、レーダーに加えてモービルアイ社製の高性能3眼カメラを採用。このカメラは、長距離、中距離、周辺監視とそれぞれ視野角が異なっていて、長距離の危険予測、正確なレーンキーピング、そして、周辺の危険予測をより正確、かつ高性能に行えるようになっています。
また、昨今はAIを活用したアシスト機能が注目を集めていますが、新型3シリーズでもBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを搭載。いわゆる音声会話で各種操作が可能となっています。
その起動キーワードは「OK、BMW(オーケー、ビーエムダブリュー)」ですが、変更も可能で「サンサンマル」や「タロウ」でも、システムを作動させることができます。ちなみに、エアコンやナビゲーションの設定を試してみましたが、温度を指示せず「暑い」「寒い」といったあいまいな表現でもエアコン操作が可能ですし、ナビにおいても、具体的な住所を告げなくても各種操作が可能で、目的地の候補を表示してくれます。もちろんAIですから、ドライバーの好みなどを学習し、操作においてそれらが反映されますが、今回の試乗車は新車に近い状態だったにも関わらず、ドライバーの要求にしっかりと応えてくれました。
もうひとつ注目すべき点は、いかにもBMWらしいと感じさせる先進機能が搭載されたこと。従来も、駐車をサポートするパーキング・アシスタント機能が採用されていましたが、新型3シリーズには新たに、リバース・アシスト機能が備わりました。
これは、車両が直前に前進してきた50mのルートを記憶。同じルートをバックで正確に戻る仕組みとなっています。日本の場合、山間部の狭い道でのすれ違いだけでなく、都市部においても、路上に駐車車両のある細い道や駐車場などにおいて、全幅1800mmを超えるクルマだと車両の取り回しに苦労するシーンが少なからずありますから、ありがたいと感じるユーザーも少なくないと思います。やみくもに車両サイズを拡大するだけでなく、その対策やサポートまでしっかり行う辺りは、BMWの良心といえるのではないでしょうか。
■適切なドライビングポジションがピタリと決まる
330iの運転席に収まって真っ先に感じたのは、あれこれ調整しなくても、ドライビングポジションがピタリと決まるということ。シートやハンドルを、手や足がごく自然なポジションになる位置や角度に設定すれば、自ずと適切で違和感のないドライビングポジションと視界を得られます。この辺りは、スポーツセダンらしさを感じられる部分かもしれません。
ドライバーの眼前にある計器類は、ライブコクピットと呼ばれる12.3インチのフルデジタルメーターとなり、左側に位置する速度計、右側のエンジン回転計の間に、ナビマップの一部などを表示できるようになりました。このライブコクピットでユニークなのは、メーター間の表示スペースを確保すべく、エンジンの回転計を反時計回りの表示にしたこと。些細なことではありますが、この配置により、コクピット中央のディスプレイでナビ画面を確認する回数が減り、ドライビング時の視線移動が、とても少なくなっています。
また、先述したBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの採用にも、ドライバーの視線移動を減らす意図があるのはご想像のとおり。新型3シリーズでは、エアコンやカーナビ、オーディオの操作を、センターディスプレイ回りのスイッチでも操作可能ではありますが、例えば、エアコンの温度調整を行う物理スイッチのサイズは、従来モデルよりも小さくなっています。
この辺りは「運転操作に集中するために、視線を移して物理スイッチを操作するのではなく、音声で操作する方が安全でしょ」という、BMWからの新しい提案だと感じました。
■引き締まった脚と強固なボディによる軽快なフットワーク
さて、前置きが少々長くなりましたが、新型3シリーズの走りについてレポートしましょう。新型はその走りにおいても、スポーツセダンというキャラクターにふさわしい、思わずニヤリとするような進化を感じられます。
例えば、先代モデルでも十分と感じていたボディ剛性ですが、フロント回りはさらにガッチリ感がアップしており、荒れた高速道路の舗装や段差などを通過しても、ステアリングやフロア回りにザラザラとした雑味のある振動や騒音が伝わることはありません。試乗した330i Mスポーツは、スポーツサスペンションに19インチホイール+ランフラットタイヤと、一般的には、乗り心地の面で厳しいと思われる仕様でしたが、硬めではあるものの、市街地から高速道路まで不快さを感じることなく、フラットな乗り心地が印象的でした。
また、シーンをワインディングに移しても、そのパフォーマンスは十分以上。コーナリング中に遭遇する路面のうねりは、車重を活かしてドッシリいなしていきますが、コーナーの切り返しなどはひと回り軽いクルマのように、ノーズがスッと向きを変えていくイメージです。重厚でもあり軽快でもある、この巧みな足さばきは、数々の電子デバイスによる緻密な制御はもちろんですが、頑丈で重量配分に優れるボディと、よく動く足回りがあってこそ。こうしたサジ加減の巧みさは、さすがはBMWといったところでしょう。
それでも、かつて3シリーズに憧れた世代には「やはりBMWといえば6気筒でしょう」という人も多いでしょうが、4気筒ターボエンジンは、258馬力というパワーに全く不満はありませんし、パンチも十分。サウンドも、4気筒としてはかなり魅力的です。加えて、トルクコンバーター式の8速ATは、デュアルクラッチ式のトランスミッションもかくや、というシャープでスムーズな変速を実現。それらによって具現される爽快な走りこそ、新型の美点といえるでしょう。
そしてもうひとつ、走りについて注目して欲しい点があります。それは、移動をサポートするメカニズム、つまり先進運転支援システムの、目を見張る進化です。例えば、前走車を追尾するゴー・ストップ機能付きアクティブ・クルーズ・コントロールや、車線の中央をキープして走行するステアリング&レーン・コントロール・アシストは、3眼カメラやレーダーを駆使した最新システムにアップデートされており、ステアリング操作や加減速に不自然さを感じることはありません。また、同モードで走行中、ドライバーが不自然なステアリング操作をしようとすると、明らかな反力があり安全運転をサポートしてくれます。その時の動きはまさに、「操作はお任せください」と、クルマが手助けしてくれているかのようです。また操作についても、インターフェースが非常に分かりやすく、積極的に使ってみようと思わせるハードルの低さを感じます。ともあれ、BMWインテリジェント・パーソナル・アシストを含め、BMWはここまで進化しているのか! という驚きを感じることができました。
一大ブームとなった2代目のデビューから早35年。3代目3シリーズの生産終了から19年。最初はボディサイズを見て「ずいぶんと立派に…」なんて思いましたが、新型3シリーズに実際に触れてみると、それ以上に頭脳や筋肉、ルックスが進化していることを実感しました。今ではすっかり、輸入車も特別な存在ではなくなりましたが、新型3シリーズは私たちに再び憧れを抱かせる、ちょっと特別な存在へと成長を遂げたようです。
<SPECIFICATIONS>
☆330i Mスポーツ
ボディサイズ:L4715×W1825×1430mm
車重:1905kg
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:258馬力/5000回転
最大トルク:40.8kgf-m/1550~4000回転
価格:632万円
(文&写真/村田尚之)
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