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Appleを魅了した「マルニ木工」の職人技とデザイン【CRAFTSMANSHIP】

&GP / 2019年3月28日 19時0分

Appleを魅了した「マルニ木工」の職人技とデザイン【CRAFTSMANSHIP】

Appleを魅了した「マルニ木工」の職人技とデザイン【CRAFTSMANSHIP】

【特集】CRAFTSMANSHIP

広島の老舗家具メーカー「マルニ木工」のイスが、国内外で脚光を浴びている。深澤直人氏と協業した「HIROSHIMA アームチェア」は、その美しい造形でアップルをも魅了した。

 

■深澤直人氏の無理難題に完璧に応える技術と研鑽

2017年、アップルの新社屋アップル・パークで行われた発表会で、新型iPhoneと並び注目を集めたのが、ビジターセンターに大量に置かれたイスだった。そのイスこそ、マルニ木工が展開するマルニコレクションの「HIROSHIMA アームチェア」。このイスはアップル・パークに数千脚が納入されたという。

▲無垢材を削り出して成型される「HIROSHIMA アームチェア」。当初は月産40脚だったが、今では800脚に増加。これは機械のプログラミングの精密化と、職人技術が向上したため。職人が手で触るだけで、数値通りに仕上がっているか分かるようになったという

マルニ木工は、戦前の1928年に創業した広島の老舗家具メーカー。曲木の技術を活かした家具からスタート。創業以来「工芸の工業化」を掲げ、手仕事と機械化のバランスを追求し、“猫足” と呼ばれる曲面を多用したクラシック家具で、バブル期に成長を遂げた。

その後、バブル崩壊により売り上げに伸び悩む中、デザインの重要性を見直し、同社の木工技術を高く評価するプロダクトデザイナー・深澤直人氏を開発パートナーに迎えて「マルニコレクション」を展開。百年経っても世界の定番として認められる家具作りを開始した。

「まず深澤さんからご提案いただいたのは、複雑な曲面で構成される難易度の高いイスでした」(橋爪さん)

深澤氏による図面と模型をもとに、マルニ木工の試作職人がハンドメイド。イスのカーブは削りで成型するが、手作りでは量産できないため3次元加工機を導入。

「製品を数値化し、機械を複雑にプログラミングすることで、製造の大半を機械化しました」(橋爪さん)。

▲インタビューに答えてくれたマルニ木工広報・PR 橋爪沙織さん

しかし最後の仕上げは、職人が手作業で磨いてなめらかにすることが絶対不可欠。深澤氏のミリ単位の要求にも、職人が試行錯誤を繰り返して応えたという。こうして「HIROSHIMA アームチェア」が完成、2008年に発表された。

このイスはミラノ・サローネに出展され、海外でも高い評価を得ることに。現在は国内外で多くの発注があり、マルニコレクションは同社の売り上げの35%を占めるまでに成長した。日本の家具は海外で通用しないという定説を覆す、日本の職人技なくしては作れない家具なのだ。

▲「HIROSHIMA アームチェア」は、海外のレストランや日本の和食店にも採用されている。シーンやインテリアを問わず調和する点が特徴だ

▲東日本橋にある「maruni tokyo」では、「HIROSHIMA アームチェア」を始めとするマルニコレクションなどが展示販売されている。実際に座って体感してみてほしい

maruni tokyo
住所:東京都中央区東日本橋3-6-13
営業時間:10:00 ~18:00
休日:水曜日

 

■アップル・パークに数千脚を納入!

MARUNI COLLECTION
「HIROSHIMA アームチェア」(板:9万7200円~、張座:11万5560円~)

深澤直人氏によるデザイン。ナチュラルな木肌を生かしたシンプルで精緻な構造で、あらゆるシーンで長く使用できる。板座と張座があり、それぞれビーチ・オーク・ウォルナット材で展開。W560×D530×H765×SH425mm(板座)

▼すべて曲面になっている!

すべてに丸みをもたせたデザインで、包み込まれるような座り心地に。特にアームから背を一体化させたカーブは芸術的で、肘の収まりもいい。アームと背はフィンガージョイントで接続。

▼木目は左右対称に配置

アームや脚などの木材は、木目が左右対称になるように選別。背は4つ、座は6つの木材で構成されるが、これも木目をできるだけ統一し、一体感のあるデザインに仕上げている。

▼木目合わせをしている

脚の正面に、木材の柾目が向くように配置することで、すっきりとした印象に。このほかイスの正面はすべて柾目。板目が見えないため、意識せずとも “美しい” と感じる一工夫だ。

【マルニ木工の職人技とデザインを世界に向けて発信するMARUNI COLLECTION】

深澤直人氏をアートディレクターに迎え、2008年よりスタートを切った「MARUNI COLLECTION」。魅力的なラインナップの中から、今回は8作を厳選して紹介する。

■リビングやラウンジでくつろげるゆったりと深い掛け心地が魅力

MARUNI COLLECTION
「HIROSHIMA ラウンジチェア」(16万5000円~)

深澤直人氏デザインによるHIROSHIMA。アームチェアより一回り大きく、ゆったりと深く座れる点が特徴。座面のファブリックも取り外し可能で、メンテナンス性も高い。W678×D640×H684×SH375mm

 

■無垢材とスチールが絶妙にマッチ!弾力性のある座り心地も◎

MARUNI COLLECTION
「T&O T3バースツールHigh」(8万6400円~)

ジャスパー・モリソン氏がデザインを手がけるT&O。このイスは無垢材を3次元に削り出した座面と背もたれで構成。弾力性のあるスチ ールで繋げることで快適な座り心地を実現。 W470×D478×H1055×SH780mm

 

■マルニ木工が得意とする削り出し加工の技術が光る

MARUNI COLLECTION
「Fugu アームチェア」(15万1200円~)

ジャスパー・モリソン氏によるFuguは、クッションや張地なしで、最高に座り心地のよい木製イスを目指してデザイン。削り出しによる、おおらかな丸みを帯びたフォルムがそれを実現する。W604×D642×H704×SH391mm

 

■ごく自然にインテリアと調和!揃えたくなるシンプルソファ

MARUNI COLLECTION
「Bruno シングルシートソファ」(21万6000円~)

ジャスパー・モリソン氏デザインのBruno。木製フレームとファブリックが調和したシンプルなデザインが好印象。もちろん座り心地も快適そのもの。2、2.5、3人掛けも展開。W830×D850×H780×SH420mm

 

■カラダがすっぽり包みこまれる心地よいアームチェア

MARUNI COLLECTION
「Roundish アームチェア(板座)」(10万6920円~)

深澤直人氏デザインによる「Roundish」の2018年の新作。一枚の帯状の薄い板を巻いて繋げたようなフォルムが特徴。座るとカラダ全体が包みこまれ、ずっと座っていたくなる。W589×D577×H867×SH430mm

 

■綿密に考えられた構造と高い木工技術による超軽量チェア

MARUNI COLLECTION
「Lightwood チェア(メッシュシート)」(4万9680円~)

ジャスパー・モリソン氏によるLightwoodは、構造がデザインにもなっている点が特徴。高い木工技術で約2.5kgに仕上げた木製チェアは、エレガントなラインと軽やかさを楽しめる。W468×D461×H762×SH430mm

 

■背と座の外形の曲率を統一し美しく快適に座れるソファ

MARUNI COLLECTION
「Roundish アームソファ」(23万5440円~)

深澤直人氏によるRoundishのソファ。背もたれと座面の外形を同じ曲率で設計。そのためどんな体勢でもカラダが収まり、長時間座っていても疲れにくい。2人、3人掛けも展開。W881× D789×H763×SH420mm

 

■無垢材を彫刻のように削り出しフィット感の高い美しい造形に

MARUNI COLLECTION
「HIROSHIMA スツールHigh」(6万9120円)

深澤直人氏によるHIROSHIMAのスツール。無垢材を削り出し、背と座の繋がりを意識したカーブを実現。フィット感がよく、後ろ姿も美しい。細いスチール脚と木材も調和。W458×D421×H902×SH782mm

 

>> 【特集】CRAFTMANSHIP

本記事の内容はGoodsPress4月48-51-57ページに掲載されています

(取材・文/津田昌宏 写真/宮前一喜)

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