新4WDは加速しながらグイグイ曲がる!トヨタ「RAV4」は走りもすごいぞ
&GP / 2019年4月20日 19時0分
新4WDは加速しながらグイグイ曲がる!トヨタ「RAV4」は走りもすごいぞ
ゴツい顔と多面体が特徴的で、一度見たらしばらく忘れられないトヨタの新型「RAV4」。
初代は1994年のデビューで、今回で5代目となるが、4代目は日本では販売されなかったので“祝! 復活RAV4”ということになる。
新型は例によって、新世代プラットフォーム“TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)”を用いて開発された。TNGAは大小に分けられ、RAV4はミドルサルーンの「カムリ」と同様、大きい方の“Kプラットフォーム”で開発された。このため3代目までのRAV4と比べ、新型はひと回り大きい。
■売れる要素しか見当たらない新型RAV4
新型RAV4のスタイリングは、近頃のトヨタ車に多く見られる、攻めた大胆路線。スタイリングのモチーフは、八角形の塊を90度ズラして組み合わせた“クロスオクタゴン”だそう。いかつい顔だが、クロームパーツに頼っていないので“オラオラ感”はない。標準仕様に加え、より押し出し感の強い専用のフロントマスク&ボディカラーを採用した「アドベンチャー」というグレードを選ぶこともできる。
新型には2種類のパワートレーンが用意される。ひとつはトヨタ車でお馴染みのハイブリッド。カムリにも用いられる2.5リッター直4エンジンとハイブリッドシステムの組み合わせだが、システム全体が発揮できる最高出力は、カムリの211馬力を上回る222馬力(FF仕様は218馬力)に達する。
もうひとつは、2リッター直4エンジンとCVTの組み合わせ。最高出力171馬力、最大トルク21.1kgf-mと、2リッターの自然吸気エンジンとしては高スペックを誇るが、ハイブリッド仕様ほど力強くはない。
また、自然吸気エンジンに組み合わされるCVTは、発進用ギヤを別に組み込んだ新世代のもの。スムーズに発進できるほか、全体的としてワイドレンジにできるため省燃費にもつながる。
■4種類の駆動方式をラインナップ
そして新型RAV4には、4種類の駆動方式がある。まずハイブリッドにも非ハイブリッドにも、FFが設定される。4WDは、ハイブリッド仕様には後輪をモーター駆動する、プロペラシャフトを持たない専用タイプ“E-Four”を設定。非ハイブリッドのモデルには、上位グレード用として“ダイナミックトルクベクタリング4WD”が、下位グレード用として“ダイナミックコントロール4WD”が設定される。
下位グレード用のダイナミックコントロール4WDは従来からあるシステムで、通常走行時にはFF、前輪のスリップを検知したら4WDとなるオンデマンドタイプだ。
上位グレード用のダイナミックトルクベクタリング4WDは、新開発されたもの。オンデマンドタイプなのは変わらないが、ステアリングを切ると後輪のトルク配分が左右独立して制御され、外輪に対してより多くの駆動トルクを配分することで、クルマを曲がりやすくする。
どちらのシステムにも、内輪のみにブレーキをかけてコーナリングをアシストする機能が備わるが、ダイナミックトルクベクタリング4WDは、それに輪をかけて曲がりやすくするということだ。
正式発表前に、実は北海道の雪上路で新型RAV4を試乗する機会があった。ダイナミックトルクベクタリング4WDを搭載する仕様は、加速しながらでもグイグイ曲がる。もしもタイムを計測すれば、ダイナミックコントロール4WD仕様よりも速くコーナーを駆け抜けられるはずだ。
しかし開発者によれば、ダイナミックトルクベクタリング4WD採用の目的は、コーナーを速く走らせることではなく、路面状況にかかわらず、ドライバーに「気持ちよく曲がるクルマだな」と感じてもらうことだそうだ。今回、オンロードでその実力を確かめてみたが、「まぁ、いわれてみればそうか」という程度には効果を感じた。きっと一度のコーナリングで感心するためのものではなく、乗り続けるうちに気に入ってもらうことが開発陣の理想なのだろう。
そして、ややマニアックな話になるが、重要な機能なので我慢してお読みいただきたいのだが、ダイナミックトルクベクタリング4WDには、前後の車軸に“ドグクラッチ”が付いており、4WD走行が不要の際にはクラッチを切ることができる“ディスコネクト機能”が付く。通常のオンデマンド4WDは、FF走行時にも4WD走行時のみに必要な駆動系(プロペラシャフトなど)を引き連れて回してしまっており、その分、燃費を無駄にしているのだが、これはクラッチを切ることで、FF走行に必要な駆動系以外を停止させることができ、燃費を改善できるというものだ。
E-Fourと名づけられたハイブリッド用の4WDシステムは、RAV4への採用に際し、後輪駆動用のモーター容量を拡大している。
さらに、前後トルク配分を100:0~20:80と、状況によってはかなりリア寄りになり得るタイプとすることで、滑りやすい低μ路での坂道発進など、これまでE-Fourが苦手としてきた場面を克服。従来のE-Fourよりも、曲がりやすくなっている。
■車内が広くて荷室も広大。収納も充実
ボディのサイズアップの甲斐あって、新型RAV4は広い。特にリアシートの室内幅、足元が広々しているのが印象的だ。これなら大人5名がゆったり座ることができる。
加えて、ラゲッジスペースも広い。いやもう“だだっ広い”。最大幅1355mm(最小幅は1000mm)、奥行き1015mm、容量580Lを誇る。凹凸が少なく、リアタイヤ部の張り出しも小さいから、あきれるほど荷物が入るだろう。左右幅が広く、複数個のキャディバッグを真横に収められるから、ゴルファー向けの荷室ともいえる。
しかも新型RAV4は、ただ広いだけでなく、センターパネルの下や、運転席、助手席の前にオープントレイが設けられ、ドアポケットも大きい。センターコンソールボックスも容量が大きい。やりたい放題(!?)のエクステリアデザイナーに負けないよう、インテリアデザイナーも見た目優先のデザインにしたかっただろうが、自分たちが手掛けているのはファミリー向けSUVであって、高級感や豪華さ、オシャレなデザインを備えたレンジローバーではないということをよく理解した上で、あちこちにストレージを設けたのだろう。
新型RAV4には、全車速追従機能付きの“ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)”のみならず、ACC作動時に車線中央を維持すべくステアリング操作を支援してくれる“LTA(レーン・トレーシング・アシスト)”も備わり、とても便利(ACCを作動させていない時には車線逸脱抑制、警告機能が作動する)。
また、「カローラ」と「クラウン」で話題となったコネクティッド機能も充実している。車載通信機の“DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)”が備わっており、事故発生時にボタンを押すだけで位置情報がオペレーターに連絡されるほか、エアバッグが展開した場合は自動でオペレーターにつながるので助けを呼ぶことができるし、乗員が反応しなければオペレーターがドクターヘリを含む緊急車両を手配してくれる。しかも専用カーナビを装着すれば、オペレーターに目的地設定を依頼することもできる。現時点では、AIに話しかけるより確実だ。
新型RAV4は、見ても乗っても売れる要素しか見当たらない。
<SPECIFICATIONS>
☆アドベンチャー
ボディサイズ:L4610×W1865×H1690mm
車重:1630kg
駆動方式:4WD(ダイナミックトルクベクタリング4WD)
エンジン:1986cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)
最高出力:171馬力/6600回転
最大トルク:21.1kgf-m/4800回転
価格:313万7400円
<SPECIFICATIONS>
☆G
ボディサイズ:L4600×W1855×H1685mm
車重:1590kg
駆動方式:4WD(ダイナミックコントロール4WD)
エンジン:1986cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)
最高出力:171馬力/6600回転
最大トルク:21.1kgf-m/4800回転
価格:320万2200円
<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドG
ボディサイズ:L4600×W1855×H1685mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD(E-Four)
エンジン:2487cc 直列4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:178馬力/5700回転
エンジン最大トルク:22.5kgf-m/3600〜5200回転
モーター最高出力:120馬力
モーター最大トルク:20.6kgf-m
価格:381万7800円
(文/塩見 智 写真/ダン・アオキ、トヨタ自動車)
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