【新型X1試乗】FFベースでもBMWらしさ濃密。プレミアムオーラ満点のルックスも◎
&GP / 2015年12月14日 18時0分
【新型X1試乗】FFベースでもBMWらしさ濃密。プレミアムオーラ満点のルックスも◎
BMWの新型「X1」に初めて接した人は「意外に立派!」と感じるかもしれません。
実際のボディサイズは、全長4455×全幅1820×全高1610mmと、マツダ「CX-5」の外殻にスッポリ入る大きさ。にもかかわらず、実寸以上に立派に見えるのは、そのフォルムのせいでしょう。
シャコタンならぬシャコ“タカ”ワゴン風だった初代モデルと比較すると、2世代目となる新型は、グッと本格SUVのカタチとなりました。具体的には、初代よりも長さが30mm短く、車高は35mm高い。コンパクトなフットプリントは維持しつつ、押し出しを強めたフェイスと併せ、ちょっぴりタフなルックスとなったのです。
日本仕様のラインナップは、大きく分けて3種類。1.5リッター直3ターボ(136馬力/22.4kg-m)と6速ATを組み合わせた「18i」、2リッター直4ターボ(192馬力/28.6kg-m)と8速ATを組み合わせた「20i」、そして、2リッターターボをチューンして231馬力/35.6kg-mまで引き上げた「25i」です。
18iはFF(フロントエンジン/フロントドライブ)の2輪駆動モデルで、20iと25iは、必要な時に後輪へも駆動力を伝えるオンデマンド式4WDとなります。
それぞれのモデルに、マットシルバーの前後アンダーガードなどを与えた「xLine」、車高を下げて(1600mm)前後バンパーほかをスポーティな形状にした「M Sport」が用意されます。オフロードテイストを強調した前者と、オンロード重視の後者というわけです。
なお、気になる価格は
・18i:385〜431万円
・20i:473〜511万円
・25i:569〜591万円
となっています。
■FFベースの恩恵で後席の居住性が格段にアップ
今回試乗したのは「sDrive 20i xLine」。“スパーリング・ストーム”と呼ばれる、黒に近いメタリックのダークブラウンにペイントされたクルマ。一見して「これはお高そう…」と感じます。
思い出すのは、兄貴分にあたる「X3」が日本に初めて輸入された時のこと。無塗装のバンパー、無愛想なスタイリング。「X5」級の豪華でスポーティなSUVを期待していたこともあり、「BMWのSUVで、これはちょっと違う…」と肩すかしを食った気分になったものです(その後、X3はドンドン良くなりましたが)。
その点、新しいX1は違いますね! 山頂の駐車場にズラリと並んだ新型SUVは、アメリカの奥様方ならきっと「オウ、ゴウジャス!」と喜ぶであろう、“プレミアム”なオーラに包まれていました。
ドアを開けて運転席に座っても、その印象は変わりません。品のいいウッドの加飾パネル。しっとりしたマットブラックの樹脂類。スタイリッシュなシフトレバーに“iDrive”のダイヤル。そして、8.8インチのワイド液晶…。
何はともあれ、ドライバーが見やすいように、使いやすいようにと配慮されたインパネ周辺は、いかにもBMWのそれです。これまでより36mm高くなったというフロントシートに座り、ドライビングポジションを調整しながら、余計な心配をしてしまいました。「X1が本格SUVのスタイリングになり、ここまで質感が上がると、X3の居場所がなくなってしまうのでは!?」と。
「何をいっているんだ!」と、X3オーナーの方々、はたまたクルマに詳しい諸兄は笑うかもしれません。「X3はBMW伝統のFR(フロントエンジン/リアドライブ)ベースだけれど、X1はFFベースではないか」と。
そのとおりです。初代X1は、ザックリいうと、3シリーズワゴンの車高を上げたモデルでしたが、今回のX1は「2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラー」の流れを汲むFFプラットフォームを活用しています。2670mmのホイールベースが暗示するように、MINI「クラブマン」とも親戚関係、といっていいかもしれません。
ボンネットを開ければ、なるほど、エンジンが横置きされています。カタログを見れば、エンジン縦置きの先代は最小回転半径が5.3mでしたが、前輪の切れ角を取りにくいFFベースの新型は、5.9mにとどまっています。
一方、スペース効率に優れる、エンジン横置きFFレイアウトの恩恵は、前席乗員の足元と、特にリアシートに表れています。前述したとおり、全長は短くなったにもかかわらず、後席の居住性はアップ。着座位置が64mm高められ、膝前の空間は最大66mm拡大しています。
実際、後席に座ってみると、自然な姿勢で座れ、足先をスッと前席の下に収められる。そのため、数値以上に広く感じられます。新型X1も機械的な4WD機構を備えるので、後席センターシートの足元はトンネル状に膨らんでいますが、FRベースのモデルほどはゴツく盛り上がっていません。4名なら余裕。5名での移動も現実的なスペースです。ちなみにX1のリアシートは、4:2:4の分割可倒式。最大130mmの前後スライドも可能です。
いざ走り始めると、車内が静かなことが印象的。こんなところも“プレミアム”です。2リッターターボは、「バイエルンのパワーソース!」と力んで踏み込んだ際には、少々パンチに欠ける感がありますが、通常のドライブでは十二分のアウトプットを発生。“天下の険”たる箱根の急坂も、難なくこなします。
ちょっと難癖を付けると、ステアリングのパワーアシストが強めのせいか、BMWならではの“ダイレクトな接地感”が少々希薄な気がしました。X1は速度感応式の“サーボトロニック”を採用しているので、今後、よりチューニングが詰められるかもしれません。以前、試乗した2シリーズ グランツアラーで見られた、かすかなトルクステア(駆動力がステアリングに干渉する現象)は、新型X1では感じられませんでした。
…といったことは、職業的な粗探しの範疇ですから、オーナーの方が普通にX1を運転していて、“エンジン横置き”“フロントドライブ”といった言葉を思い浮かべることはないでしょう。
濡れた路面で急にスロットルを開けると、一瞬、前輪が空転します。それが、数少ない“FFベースであることを意識する時”かもしれません。そんな時も、たちどころに駆動力が後輪に配られ、何事もなくX1は走り続けます。2リッターターボモデルは、ギヤボックスに電子制御式多板クラッチを組み込んだ4WDシステムを搭載しているのです。
兄貴分のX3は、仲の良いふたりがちょっとした冒険に出掛ける、そんなパーソナルなイメージを喚起させるSUVですが、X1はもっと仲間を集めて、多人数でワイワイ行く感じ。2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラーより、さらに活動的な家族を演出するのにもいいんじゃないでしょうか。“ぼっち”なことが多い私も、新型X1には大いに惹かれておりますが…。
<SPECIFICATIONS>
☆sDrive 20i xLine
ボディサイズ:L4455×W1820×H1610mm
車重:1660kg
駆動方式:4WD
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHC 16バルブターボ
最高出力:192馬力/5000回転
最大トルク:28.6kg-m/1250〜4600回転
トランスミッション:8速AT
価格:492万円
(文&写真/ダン・アオキ)
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