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航空写真家ルーク・オザワに聞く フルサイズミラーレス一眼「EOS R」の利点と撮り方のコツ

&GP / 2019年4月30日 20時0分

航空写真家ルーク・オザワに聞く フルサイズミラーレス一眼「EOS R」の利点と撮り方のコツ

航空写真家ルーク・オザワに聞く フルサイズミラーレス一眼「EOS R」の利点と撮り方のコツ

近年、鉄道写真や風景写真とならんで注目を集める"ヒコーキ写真"。機窓から見える富士山や空港の展望デッキから見える景色を気軽に撮って楽しんでいるという方も増えているのではないでしょうか。

しかし、趣味として取り組むならスマホではなく、デジタル一眼でしっかり残したいもの。そこで航空写真家のルーク・オザワさんに、"美しい""カッコいい"という瞬間を切り取るコツを聞きました。

これまで、機窓写真や情景的ヒコーキ写真について教えてもらいましたが、今回はルークさんが愛用するフルサイズミラーレス一眼ならではのメリットと一歩踏み込んだ使い方について紹介します。

●ルーク・オザワ
1959年2月生まれ。東京都出身。風景とヒコーキをシンクロさせた、情景的ヒコーキ写真の第一人者。ANAをはじめ、数多くのカレンダーを手がけるほか、テレビやラジオ、セミナーなどで活躍。写真集『JETLINER』シリーズ(イカロス出版刊)ほか、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社刊)など、著書多数。

ヒコーキ写真は、SNSに投稿するだけでなく、写真を公募するコンテストも盛り上がりを見せています。写真のコンテストに応募したいという人であれば、情景を写し込んだとびきりの1枚に挑戦してみたいという人も多いことでしょう。

前回、前々回は機窓オススメ路線や空港展望デッキの話を聞きました。今回は、それまでのデジタル一眼レフから、使う頻度が格段に高くなったというミラーレス一眼「EOS R」の長所、そして美しい1枚を撮るためのコツについて教えてもらいます。

ーまずは、ミラーレスのEOS Rを使ってみて、従来のデジタル一眼レフより優れている点や驚いたことなどはありますか?

すごいな、と驚いたのはEVF(電子ビューファインダー)。朝晩でも肉眼だと眩しくて直接見ることはできなかった「光環」が、EVFだとしっかり見えたのはびっくりしたかな。

光環は太陽の光が屈折して、太陽の周りに環ができる現象なのだけど、一眼レフだとファインダー内は見えたままの景色だから気づかないこともあります。これは、EVFで露出を補正して、絞り込んだ状態を見ることができるからこそですね。眩しくても、サングラスをしていれば、似たような現象の「彩雲」は見やすいのだけど、光環は気づかないこともあるし、これはミラーレスのEVFあってこそだなと思ったし、感動しましたね。

※注 撮影は朝日や夕陽、薄曇など、輝度の低いシーンで行うこと。快晴の日中、直接太陽を見たり、カメラを向けるのは危険なので行わないこと。

ーなるほど、一眼レフだと見えなかった現象もキャッチできるようになったんですね。ほかにも、そういったEVFのメリットはあるんでしょうか?

もうひとつ驚いたのは夜間の撮影かな。やはり、以前のカメラでは暗くて見えなかった被写体が、まるで暗視カメラのようにはっきり見えるようになったことですね。具体的にはEV-6という暗さでもオートフォーカスが利く。どれくらいの明るさかというと、星空よりも暗いくらいなのだけど、AFだけでなくEVFのファインダー内にもその様子がしっかり反映されるから、明るさの確認はもちろん、構図もさらにこだわれるようになりましたね。

夜間はもちろん、以前は日中もシャッターを切って露出が適正なのか試すことがあったけれど、EOS Rだとファインダーをのぞいたまま確認できるのは便利だと思います。これはデジタルカメラ自体の進化とEVFの採用、その2つが揃ってのことですね。

ー実際にこうした機能的な進化が役に立つシーンって多いんですしょうか?

機体だけを写すのではなく、四季折々の風景や変わりゆく空や光を切り取る情景的ヒコーキ写真の場合、朝や夕方だけでなく、夜に狙いたくなるシーンも少なくありません。
 
夕陽に照らされる空港や飛行機は郷愁が漂うアンバーやゴールドの世界です。また、夕焼けの空のグラデーションもキレイですし、夜が訪れる直前の薄暮の時間は一面が藍色に染まります。そういうシーンを撮影するのは簡単ではありませんが、EOS Rは高感度にも強く、EVFなので撮りやすくなりましたね。

以前は、空の色を強調するために、ホワイトバランスを調整したり、大きめに絞って機体のエッジを強調したりというのも撮って確認が必要でしたが、EVFならファインダーを見ながら、望む色合いや明るさに調整ができます。

もちろん、バッテリーの消耗が激しい、電源オン・オフのレスポンスが一眼レフより遅いといったデメリットもあります。とはいえ、こうした部分は解消されてゆくででしょうから、これからデジカメで本格的に撮影に取り組みたいなら、最新のミラーレスを選ぶべきでしょうね。

ー最新のミラーレス一眼を手に入れたとして、ここは楽しい、挑戦すべきという空港などはありますか?

大阪の伊丹空港の外周は面白いかもしれません。夕景でヒコーキをシルエットで表現するのも楽しいですし、50mm/F1.2などの明るいレンズがあれば夜間撮影も楽しめます。EOS Rはカメラ本体もですが、対応するRFレンズも大きく進化しています。ぜひ、新しいデジカメで情景的ヒコーキ写真に挑戦して欲しいですね。

* * *

デジタル一眼レフから、フルサイズミラーレス一眼へ。平成の最後で大きく進化したフルサイズ一眼カメラ。これからの写真文化を大きく支えてくれることは間違いありません。

とびっきりの1枚を撮るには機材はもちろん大事ですが、まず写真を撮ることが上達への第一歩。大型連休の真っ最中。国内は緑が豊かで、花が咲き乱れ始めている頃。飛行機で旅先に向かうのなら、身近な空港で情景的ヒコーキ写真を狙ってみてはいかがでしょうか?

ヒコーキ写真の撮り方を学ぶなら、ルーク・オザワさんの撮影テクニックが詰まった本も出ていますので興味のある人はぜひ手に取ってみてください。

▲光、空、風景で魅せる!ヒコーキ情景写真の決定版 ルーク・オサワの「ヒコーキ写真の撮り方」 (誠文堂新光社刊) 2376円

 

(写真/ルーク・オザワ 文/村田尚之)

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