【ボルボ D4試乗】最新クリーンディーゼル、わずか6000円(!)の燃料代で鹿児島〜東京間を走破
&GP / 2015年12月21日 18時0分
【ボルボ D4試乗】最新クリーンディーゼル、わずか6000円(!)の燃料代で鹿児島〜東京間を走破
2015年に取材したイベントの中でハイライトと呼べるもののひとつが、メディア対抗「ボルボ・ディーゼル無給油チャレンジ」。
鹿児島〜東京間1330kmを無給油で走破できるか挑むもので、クルマはボルボの最新ディーゼルエンジンを搭載した「S60 D4」と「V60 D4」。D4エンジンは2リッターの直列4気筒ディーゼルターボユニットで、燃料消費率は20km/L(JC08モード)オーバーを誇る経済性に優れたものです。
で、結論からいえば、無事に無給油で走破できました。しかも、そのまま東北を目指して記録更新したかったくらいの余裕を残して!
■ロングドライブ最強。スポーツドライブも楽しい!
『&GP』チームは、鹿児島空港からスタート。途中、広島での1泊を挟んで、一路、ゴールとなる東京・芝公園を目指しました。
われわれが担当した(厳密にはジャンケンで負けて)のは、V60 D4で最もスポーティな仕様「V60 D4 Rデザイン」。競合メディアが担当した車両の中には「S60 D4 SE」がありました。実はこれ、V60 D4 Rデザインに比べて車重が60kgも軽く、燃料消費率は20.9km/Lと、V60 Rデザインのそれ(20.2km/L)よりもさらに優秀だったんです。
Rデザイン仕様はスポーツグレードだけあって、ミシュランのスポーツタイヤ「パイロットスポーツ3」を履いています。ドライ路面でもウエット路面でもハイレベルのグリップを追求したものであり、昨今流行りの、転がり抵抗の低いエコタイヤにカテゴライズされるものではありません。
そしてタイヤサイズは、SE仕様の215/50R17に対し、堂々たる235/40R18。幅広にして大径18インチホイールを装着! しかも、走りがよりパワフルになる純正チューニングプログラムの“ポールスターパフォーマンスパッケージ”もインストール済み…。負け犬の遠吠えとはよくいったものですが、今回ばかりは1330kmの彼方から吠えさせていただきます。
「スタート前から勝負あり!」
いやもう、焼酎かっくらって、そのまま鹿児島空港から羽田空港へとんぼ返りしてやろうかという勢いでしたが、ナンダカンダいってもこの企画は面白そう。素晴らしい企画を捻り出してくれたボルボ・カー・ジャパンに敬意を表し、イベントにそのまま乗っかることにしました。
そうです。『&GP』チームは決して勝負を捨てたわけではなかったのです。背水の陣を敷くわれわれは、以下の4点を徹底することにしました。
1)とにかく急加速・急減速は避ける
2)どんなに暑くてもエアコンはOFFに
3)“全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)”を多用する
4)もしくは“エコ・コースト機能”を活用する
急加減速やエアコンの件については、いまさら説明は不要でしょう。そして、一定の間隔を保って前走車を追従するACCの利用は、クルマが無駄なペダル操作を避けてくれるので省燃費を期待できるほか、空気抵抗を抑えることも少しだけ期待できます。またエコ・コースト機能は、65~140km/hの範囲でアクセルから足を離すと、エンジンとトランスミッションが切り離され、クルマが惰性で走行=コースティングするものです。走行抵抗をなくし、燃料消費を抑えられるのです。
クルマの差を忍耐のドライビングテクニックで埋め、まさかの下克上を狙おうと己を奮い立たせた『&GP』チームは、本当によく頑張ったと思います。ラグビーW杯で南アフリカに立ち向かった日本代表と同じ気構えで、実走行距離1336kmを給油することなく走り切ったのです。
燃料タンクは満タンで67L。給油量は約57.6L。実燃費はJC08モードのそれを軽く超える23.2km/L(車載の燃費計では24.9km/L!!)をマークしたのです! いやぁすごいですね。仮に軽油が1リッター当たり100円だとすると、鹿児島〜東京間の燃料コストは約6000円!
しかし本当にすごいのは、単なるエコカーではないV60 D4 Rデザインが、このような超絶レベルの経済性を備えていることではないでしょうか。
まず、移動が格別に快適であること。いかにもボルボらしい、ゆったりとカラダを包み込んでくれるドライバーズシート。そして、途中でドライバー交替し、リアシートでPCをパチパチと原稿作成に勤しんでみましたが、仕事がはかどるレベルの快適さ。余計な上下運動やロールがなく、われわれの場合、モニターを見ていてもクルマ酔いするといったことはありませんでした。ロングツーリングにV60 D4 Rデザインは最強のツールです。
さらに、V60 D4 Rデザインは、エコカーとして一級の省燃費走行を可能としながら、パワフルなスポーツ走行も得意なのです。単にエコなクルマならほかにもあるでしょう。ロングツーリングが得意なクルマもほかにいくらでもあるでしょう。でも加えて、スポーツ走行ともなると…。というわけで、1336kmを走った後、追試と称し、V60 D4 Rデザインのアクセルペダルを存分に踏んでみたのです。
それは、鹿児島〜東京間のエコドライブで封印されていたものが、解き放たれた瞬間でした。
とにかく、D4エンジンはパワフル。ポールスターパフォーマンスパッケージがインストールされていることもあり、アクセルペダルの操作に対してレスポンスよく反応してくれるのは、昔のディーゼルエンジンを知っている身からすれば隔世の感すらあります。日本のアイシン製8速ATも切れ味がいいこともあり、ペシペシとパドルシフトを使いながらシフトアップ&ダウンを繰り返すと、「おそらくマニュアルトランスミッションで走るよりも速い!」と思わせてくれるほど。
ハンドリングは大人の味付け。過度にシャープさを演出したものではなく、パイロットスポーツ3の確かなグリップがステアリングを通じて伝わってきます。安直な表現で恐縮ですが、とっても安心感が高い。このパフォーマンスを存分に使って、もう1回、鹿児島から東京を目指したい。いや、どうせなら、鹿児島から八戸まで足を伸ばしてみたいとさえ思わせてくれるのです。
V60 D4 Rデザインは経済的で、ロングドライブ最強。そして、スポーツドライブにも興じることができる…。まさに1粒(台)で3度オイシイことが判明。これが、ボルボ・ディーゼル無給油チャレンジに挑んでの、最大の収穫でした!
<SPECIFICATIONS>
☆V60 D4 Rデザイン
ボディサイズ:L4635×W1865×H1480mm
車重:1680kg
駆動方式:FF
エンジン:1968cc 直列4気筒DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:190馬力/4250回転
最大トルク:40.8kg-m/1750〜2500回転
価格:549万円
(文&写真/ブンタ)
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