名刺サイズの超小型スマホ「Palm Phone」はアリ?ナシ?
&GP / 2019年5月12日 23時0分
名刺サイズの超小型スマホ「Palm Phone」はアリ?ナシ?
最近のスマートフォンってどれもこれも大画面になってきましたよね。小さいスマートフォンないかなぁ……なんて思ってたら、なんだコレ! 逆に小さすぎるヤツが登場しました。3.3型の超小型Androidスマートフォン「Palm Phone」を試してみたので、インプレッションをお届けします。
■小さいけれど一人前
さて、このPalm Phone。どのくらい小さいかというとクレジットカードと同じくらいのサイズです(約W50.6 × H96.6 × H7.4mm)。その気になれば名刺入れに入れて持ち運べちゃう。社員証と一緒に首から下げてもいいかもしれませんね。
▲名刺入れからスマホをスッとスマホを取り出したらアイスブレイクになること間違いなし!(笑)
同機は、3.3型のHDディスプレイ(1280×720ピクセル)を搭載。黎明期のスマートフォンよりもひと回り小さいサイズ。とにかく、手に持つとナニコレちっさ! かわいい! と数分は盛り上がれるはず。
▲工夫されたホーム画面のUIが秀逸。上下にスクロールしてアイコンを探す感じ
それでも搭載するOSはAndroid 8 Oreoだから、通常のスマートフォンとほぼ同じことができます。ディスプレイの小ささとは対照的に、操作感も決して悪くありません。UIが上手くデザインされていて、「あぁこのサイズでも使い勝手を維持できるんだ」と驚き。
▲iPhone XSと並べると、小ささが際立つ。ってか似てるなぁ
ただし、もちろん全ての操作が快適なわけではありません。アプリを選ぶくらいならストレスは感じませんが、テキストを入力するとなるとかなり集中力が必要。Wi-Fiのパスワード入力は大変でした。
まぁ、メモなら音声入力を工夫すれば良いですし、Googleアシスタントも使えるので、そのほかの操作はさほど苦労しませんでした。
▲側面を含め、全体的にデザインが洗練された印象
▲背面にはPALMのロゴとカメラ
物理ボタンは右側面に一つ付いているだけ。電源をつける時に使用します。音量の調節などは、画面上のUIから操作するしかありません。また、カメラは背面1200万画素、前面800万画素を搭載。
▲充電はUSB Type-C
USB Type-Cで充電できるのもポイント。最新のスマートフォンを使っていてケーブル周りがType-Cで統一されてきた人にとっては、余計なケーブルを用意せずに済むので嬉しいです。
▲顔認証でロック解除ができるので、ロック画面でのスワイプ操作は不要
そのほか、Android標準のスマートロック機能から顔認証設定を行えたり、IP68の防水・防塵性能を備えていたり——。センサーとしてはGPS、ジャイロスコープ、デジタルコンパス、etc.を備える多彩ぶり。小さいけれどしっかりスマートフォンです。
■操作のコツはウィジェットやショートカットを活用すること
画面構成について少し紹介しておきましょう。Palmを使いこなすには、Googleアシスタントだけでなく、ウィジェットをカスタマイズしたり、ショートカットをうまく活用したりすることがカギになります。まぁ普通のAndroidスマートフォンでも利用できる機能ですが、画面が小さいからこそ重要なのです。
例えば、カレンダーを配置してすぐに予定を確認できるようにしたり、特定の目的地を定めた地図アプリのウィジェットを配置して、すぐに経路検索を表示させたり。
▲ホーム画面(中央)を左右にスワイプすると、Discoverでトピックを確認できる画面(左)と、ウィジェットを配置できる画面(右)に切り替わる
Android 8を搭載しているので、アイコンを長押しして機能へショートカットすることも可能です。小さい画面をちまちま操作するのは億劫なので、これをうまく活用するのも大事。
▲アプリアイコンを長押しすると、特定の機能へ直接アクセスできる
そのほか、特筆すべき機能として、ロック画面を上にスワイプアップした状態で、文字を手書きで書き込むとアプリが検索できる「ジェスチャーパッド」があります。「Playストア」を開くには、ここで「P」と書き込むと早いです。
▲ただし、日本語には対応しておらずアルファベットで始まるアプリにしか使えない。「YouTube」や「LINE」あたりなら使えるだろう。…PDAを思い出す人もいるだろうか?
■そもそもどういうシーンに使えるのか?
Palm Phoneの弱点はスタミナ。バッテリーが800mAhしかなく、取り外しも非対応。そのため連続通話時間は最大3時間20分しかりません。通常使用なら2時間持てば良い方です。なので、メイン端末として日常的に使用するには、モバイルバッテリーは必須。
▲YouTubeも視聴できるけれど、大体10分の動画を視聴してバッテリーが10%減った
一方、連続待受時間は3日以上あります。SIMをいれず、機能を使わず持ち歩いてみたところ15%が減っていました。SIMをセットしてバックグラウンドのモバイル通信が発生するともう少し消費量は増えるでしょう。
また、対応周波数を確認すると対応バンドが限定的で特にau系の回線を使用する場合には注意が必要だということがわかります。
▲「+Style」のPalm Phone販売サイトより、対応周波数表
これらを踏まえると、やはりサブ機として予備的に携帯するのがオススメ。メイン端末の電池がうっかり切れてしまったときなどに活躍させられたら十分でしょう。あるいは、カメラ自体は1200万画素で、かなり綺麗に撮影できるので、軽めのランニングで使うSNS投稿用のカメラとしては重宝するかもしれません。小さくて軽いですし、防水ですし。
▲Palm Phoneのカメラで撮影した写真。記事用にサイズダウンしてますが、これだけ撮れれば十分でしょう
あとは、ガジェットとして愛でる。これに尽きますね。ただし、価格は4万4800円(税込)。この価格が端末の価値に見合うかどうかは、使い方の工夫やガジェット好き度合いに左右されそうです。
* * *
Palm Phoneは2018年冬に米ベライゾンで発売されたスマートフォンであり、今ドキな仕様に仕上がっています。この手の超小型機種としてはかなり洗練された部類に入るので、スタミナの低さ、対応バンドの少なさにだけ目をつぶれるのであれば、いろいろ楽しめると思いますよ。
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。
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