驚くほど速くて抜群に使える!アウディ「RS3」は現代スポーツカーの理想形

&GP / 2019年5月20日 19時0分

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驚くほど速くて抜群に使える!アウディ「RS3」は現代スポーツカーの理想形

“裏表がある”とか“二重人格”といった言葉は、人間へ向けると大半が、ネガティブな印象となる。

しかし、クルマの表現とする場合、ほめ言葉になったり、深みを意味する言葉になったりするから面白い。今回紹介するアウディの「RS3セダン」は、まさに性格の裏表が激しい、愛すべきクルマだった。

■RSシリーズはアウディ自慢の本格スポーツモデル

まずはこのクルマの立ち位置から説明しよう。

アウディには、一般的なセダンやハッチバックを意味する「A」の頭文字を持つモデルや、SUVの「Q」モデルのほかに、それらをベースとしたスポーツモデルの「S」モデルが用意されている。例えば、ハッチバックの「A3」、SUVの「Q3」、スポーツモデルの「S3」などがそれに当たる。

そしてアウディには、より過激な走りを求める人たちのリクエストを満たすために開発された、最高峰のシリーズも用意されている。それが「RS」モデルだ。日本車に例えると、公道を走れるレーシングカーをイメージしたホンダの「タイプR」シリーズや、パワートレーンまで専用設計となるトヨタの「GRMN」のようなもの。今回試乗したRS3セダンは、各部を鍛え上げることでシリーズ最高峰の走りを実現した、まさに珠玉の1台だ。

ベースとなる「A3」は、Cセグメントのハッチバック&セダンであり、いわゆるフォルクスワーゲン「ゴルフ」クラスのクルマ。日本車でいえば、スバル「インプレッサ」やホンダ「シビック」などと同じクラスだ。各モデルともハッチバックと4ドアセダンが設定され、いずれも大きすぎない車体サイズが好まれるセグメント。狭い駐車場などでも苦にならない車体の大きさと、不足のない居住スペースとのバランスがちょうど良く、セダン仕様であればラゲッジスペースだって広い。日常使いにジャストフィットのパッケージングを持つクラスである。

そして、A3をスタンダードなシビックだと考えると、RS3は過激な「シビックタイプR」のポジショニング。そう考えると、RS3が本格的なスポーツモデルであることがイメージできることだろう。

■スーパーカー譲りの特別な5気筒エンジン

RS3セダンのキモとなるのは、やはりエンジンだ。A3では、122馬力の1.4リッターターボと190馬力の2リッターターボが。高性能仕様の「S3」では、290馬力の2リッターターボが組み合わされるのに対し、RS3には2.5リッターターボを搭載。その最高出力は、実に400馬力というのだからハンパない。

そしてこのエンジン、世界的にも珍しい5気筒レイアウトを採用していて、スポーツカーの「TT RSクーペ」などにも搭載されるRSモデルの専用設計品。そして実は、アウディのスーパーカーである「R8」や、ランボルギーニ「ウラカン」に積まれるV10エンジンを“半分に割ったもの”といえるような構造を持つ、特別なエンジンでもあるのだ。

そんなエンジンを積むRS3セダンの走りは、もはや笑いが止まらないほど楽しいものだった。

“アウディドライブセレクト”により、走行モードを「オート」、燃費重視の「エフィシエンシー」、走り重視の「ダイナミック」、そして、各機能を任意のモードに設定できる「インディビジュアル」という4つの中から選べるが、今回は「ダイナミック」モードにして走り出す。すると、まずは音の演出によってドライバーを魅了してくる。

アクセルペダルを踏み込むと、太い排気音と高いエンジン音とが奏でる絶妙なハーモニーが素晴らしい。さらにアクセルを抜いた直後には、排気管から「バババッ」という、レーシングカーやラリーマシンのような爆音が炸裂。「もっとアクセルを踏み込んでくれ!」といわんばかりに、鋭いエンジンレスポンスを伴ってドライバーを高揚させてくれる。あまりに気持ち良さに、運転していて思わず怖くなったくらいだ。

しかも素晴らしいのは、エンジンだけではない。タイトな峠道を運転していて感じたのは、ドライバーとの一体感が強いこと。ハンドルを切れば早いペースでスッと曲がり始め、旋回中も、驚くほど見事にドライバーがねらった通りの走行ラインをトレースする。

そして、400馬力という大パワーも、自慢の4WDシステム“クワトロ”がしっかり路面へと伝達。コーナーから立ち上がる瞬間は、ワープでもするんじゃないかと錯覚するほどの怒涛の加速を見せるが、一切、危ない素振りはない。また、高い速度域から強くブレーキを踏んだ時の効きや安定感、その際の車体の安定感も、思わず感動するほどのレベルであり、素早く変速し、ドライバーのアクセル操作に対してルーズな素振りを見せずに駆動力を伝達するトランスミッションも、また然りだ。

何より素晴らしいのは、ドライバーが「こう走って欲しい」とか「こう動いて欲しい」と思う期待を裏切ることなく、まさにドライバーの思うままの挙動を見せてくれること。ドライバーの期待と実際の動きとの間に乖離(かいり)がないから、運転していてものすごく気持ちがいい。RS3セダンは一見すると、ファミリーセダンのような出で立ちだが、中身は一切の妥協がない、絶対的な速さと走る歓びのための最高のスポーツカーだったのだ。

■走りや室内はプレミアムカーとしての風格十分

一方、RS3セダンを二重人格と称する理由は、レーシングカーをイメージさせるバリバリの体育会系キャラクターと、出来のいいコンパクトセダンとを見事に両立しているところ。

先述したアウディドライブセレクトにより、エンジン特性、電動パワーステアリングのアシスト量、トランスミッションの変速スピード、排気音、そして、オプションの“アウディマグネティックライドサスペンション”の設定などを切り替えられるが、設定をエフィシエンシーにしてやれば、RS3セダンはまるで猫を被ったかのように、大人しく快適なクルマへと変身する。エフィシエンシーモードでは日常の移動やロングドライブ時の快適性も高くなるので、RS3セダンをファミリーカーとして選んでも、家族たちからクレームが出ることはないはず。また、一流のスポーツカーでありながら、インテリアにスパルタンな印象は一切なく、シートだって上質なレザー仕上げ。プレミアムカーとしての風格も十分だ。

普段は“表の顔”として快適なファミリーカーを演じつつ、ドライバーがひとりで運転を楽しみたい時は、本格スポーツカーとしての“裏の顔”へと変身する。走って楽しく、使って実用的なRS3セダンは、見事なマルチプレーヤー。そんな二重人格は、大歓迎だ!

<SPECIFICATIONS>
☆RS3 セダン
ボディサイズ:L4480×W1800×H1380mm
車重:1600kg
駆動方式:4WD
エンジン:2480cc直列5気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:400馬力/5850〜7000回転
最大トルク:48.9kgf-m/1700~5850回転
価格:780万円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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