見た目にダマされるなよ!優雅なクーペと思いきやBMW「8シリーズ」は走りが激アツ
&GP / 2019年5月26日 19時0分
見た目にダマされるなよ!優雅なクーペと思いきやBMW「8シリーズ」は走りが激アツ
日本やアメリカでは“若い人向けのクルマ”と思われがちな2ドアクーペ。しかしヨーロッパでの立ち位置は、まるで違う。
特に、ボディサイズの大きいクーペは優雅さの象徴であり、成熟したオトナのための乗り物。今回紹介するBMWのニューモデル「8シリーズ」クーペは、まさにそんなクルマであり、驚きの走行性能を秘めた1台だった。
■スポーツカーの大定番・ポルシェ「911」がライバル
ドイツのプレミアムブランド・BMWの各モデルは、ネーミングに数字が使われていて、最もコンパクトな「1シリーズ」から、2→3→4→5→6→7、そして今回紹介する8シリーズと、1から8までの数字が割り当てられている。
この数字が大きくなるほど車格が大きくなるというのがBMWの流儀で、そのうち、ハッチバックの1シリーズと、3、5、7シリーズといった奇数のネーミングのモデルは、ラインナップの基幹車種。2、4、6、そして8シリーズといった偶数のネーミングのモデルは、クーペやカブリオレなど派生モデルという割り振りとなる。つまり8シリーズは、BMWにおける最上級モデルというポジショニングであり、セダンではなく派生モデルという立ち位置だ。
先頃上陸した8シリーズのクーペは、全長4855mm×全幅1900mmという堂々としたサイズの2ドアクーペで、メルセデス・ベンツの「Sクラスクーペ」や、レクサス「LC」といったプレミアムブランドの大型クーペ、さらにはスポーツカー定番であるポルシェ「911」などがライバルとなる。
ちなみに8シリーズという名のモデルは、1990年代にも販売されていたことがあり、今回の新型で2代目となる。
■新開発の4.4リッターV8エンジンは530馬力!
それにしても、美しいスタイルだ。
前後に長く、しかもキャビンの小さいクーペだからこそ実現した8シリーズのフォルムは、息をのむほど美しくラグジュアリー。8シリーズクーペと対面すると、“ワイド&ロー”という言葉はこのクルマのためにあるのではないかとさえ思うし、“優雅”という言葉がこれほど似合うクルマには、なかなかお目にかかれないだろう。8シリーズを眺めているだけで、絶世の美女の降臨を見届けているかのような気持ちになった。
そうした特別感は、インテリアにも及ぶ。ダッシュボードはセンター部分を運転席側に傾け、ドライバーに適度な包まれ感を与えつつ、エクステリアとしっかり調和のとれたエレガントな雰囲気に仕立てられている。
今回の試乗車「M850i xDriveクーペ」のインテリアで目を引くのは、透明度の高いクリスタルで作られた“クラフテッド・クリスタル・フィニッシュ”と呼ばれるシフトノブ。中をのぞくと、“8”という数字が浮かび上がる演出が施されていて、このシフトノブだけを見ても、8シリーズは特別なクルマなのだと実感させられる。
ベンチレーション機能を備えた上質なタッチのレザーシートや、ハーマンカードン製のオーディオシステムなど、内装の仕立てや充実した装備類は、まさにオトナのためのクーペと呼ぶにふさわしい水準にある。
しかし、8シリーズクーペのトピックは、そうした見た目だけではない。そもそも雰囲気だけのクルマでは、走りに一家言持つBMWが商品化するはずはない。“駆け抜ける歓び”をクルマ作りのスローガンとするBMWだけに、8シリーズもフラッグシップクーペにふさわしい走行性能を身につけているのだ。
誇張なしに、8シリーズの走りは一級の高性能スポーツカーに匹敵する。日本には現在、先述したM850i xDriveクーペが上陸済みで、この後、直列6気筒のクリーンディーゼルを搭載する「M840d xDriveクーペ」の上陸を控える。
今回試乗した前者は、新開発の4.4リッターV型8気筒ターボを搭載し、530馬力を発生する。数値だけを見ると、イマドキのフラッグシップカーとしては見劣りするのではないかと思うが、停止状態から100㎞/hまで加速するのに要する時間はわずか3.7秒と聞けば、その驚異的な速さに気づくはずだ。
さらには、そうしたパワーをしっかりと路面へと伝えるために、M850i xDriveクーペは電子制御サスペンションや電子制御アクティブスタビライザーに加え、“xDrive”と呼ばれる4WDシステムも標準採用する。「4WDは走行安定性が高くて面白くないのでは?」と考えるのは間違いで、あくまで後輪への駆動力配分を中心とし、後輪がスリップしそうな状況でだけ前輪へとトルクを配分する仕組み。その分、走行感覚は後輪駆動そのもので、腕に覚えさえあれば、派手なドリフト走行だって可能だ。またリアデフには、電子制御式のロック機構が組み込まれていて、しっかりとトラクションを確保している。
■狭いコーナーでも心の底からドライビングを満喫
今回、M850i xDriveクーペのハイレベルな走りを速度域の高いワインディングロードで試したところ、圧倒的な速さと抜群の安定感に、感心させられるばかりだった。その走りのテイストは、まるでアスリートといった印象だ。
しかし、それ以上に驚かされたのは、狭くて曲がり込んだカーブが続くツイスティな峠道で見せた、軽快な身のこなし。車体が大きく重いクルマは、一般的にそういったコースを苦手とするが、右へ左へと軽快に向きを変えながら、スイスイと走り抜けていくのだ。しかもドライバーには、多大なドライビングプレジャーを提供してくれるため、心の底からドライビングを満喫できた。
フラッグシップのハイパフォーマンスクーペだけに、高速領域や高速コーナーの多いワインディングロードでの走りを得意なのは当然だ。しかしM850i xDriveクーペは、タイトな峠道で意外な一面を見せてくれるなど、ライバルとの違いを明確にする。雰囲気だけのラグジュアリークーペでは、こうはいかない。“一線級のパフォーマンスを、ジェントルな空間で味わう”。そんなBMWの商品説明も、素直に納得することができる時間だった。
M850i xDriveクーペは、1714万円という価格も含め、選ばれし人のためのクルマといえる。こんな優雅なクーペをさり気なく乗りこなせるオトナが、ここ日本でも増えて欲しいものだ。ちなみに、現時点で日本に上陸しているのはクーペのみだが、すでにカブリオレもオーダーを受付中。さらには、「8シリーズグランクーペ」と呼ばれる、美しいデザインを持つ4ドアクーペもラインナップに追加される見込みだ。
<SPECIFICATIONS>
☆M850i xDriveクーペ
ボディサイズ:L4855×W1900×H1345mm
車重:1990kg
駆動方式:4WD
エンジン:4394cc V型8気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:530馬力/5500回転
最大トルク:76.5kgf-m/1800〜4600回転
価格:1714万円
(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)
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