1本あれば何でもできるモーラ・ナイフ「カンスボル スタンダード」【アウトドア銘品図鑑】
&GP / 2019年6月1日 11時0分
1本あれば何でもできるモーラ・ナイフ「カンスボル スタンダード」【アウトドア銘品図鑑】
刃物のカタログには、誇らしげに「スウェーデン鋼使用」と記された製品を見かけます。“最高級の鋼を使っていますよ”という証ですね。
そんなスウェーデンにあって刃物の街と言われているのがモーラ。ストックホルムよりクルマで4時間ほど北上した、スウェーデンのほぼ中央部にある小さな街です。日本では燕三条が刃物の街として知られていますが、同じような立ち位置と言えるでしょう。
モーラと言えば、モーラ・ナイフ! かつてはこの地方にいくつもの名だたるナイフメーカーが存在していましたが、時代とともに合併が行われました。
伝統ある刃物の街=モーラ地方を意味する「モーラ・オブ・スウェーデン」を名乗り、2016年に社名を「モーラ・ナイフ」となったそうです。
5月にスウェーデンで行われた「モーラ・ナイフ・アドベンチャー」では、工場ツアーを開催。内部はオートマチックでじつに近代的です。
とはいえ、最後の確認は人の手と目。クラフトマンシップを称されるのはこのためなんですね。
工場からクルマを30分ほど走らせればこの通り。手入れされた森が広がります。湖や小川も点在しており、釣りにも最適。小さな街ではありますが、ハイキング目当てに訪れる人が多いそうで、モーラ・ナイフの社員もハイキングやキャンプ好きがそろっています。
モーラ・ナイフ・アドベンチャーに参加し、モーラの魅力をたっぷり教えてもらいました。
■使い方
▲「カンスボル スタンダード」(4750円/税別)
スウェーデンが誇る高品質のステンレススチール製の刃は、長さ109mm、厚み2.5mm。ハンドルはTPEラバーとポリプロピレンで作られており、グリップがいいのが特徴です。本体重量は約100gと軽量なので、森の中に持っていくにも苦になりません。
▼バトニング
刃の厚みが2.5mmとまずまずの厚みを有しており、ナタがわりに薪を細く割る“バトニング”が可能です。
▼クラフト、調理
当然ですが、木を削る、調理をするなんてことはお手の物。刃の長さが109mmで日本人でも扱いやすいサイズ感です。
アンバサダーのDave Canterburyは、このナイフ一本でペグ作りからトラップ作りも行うとか。
Y型1本+ストレート2本の組み合わせで「4」の字に組み合わせたトラップ。動物が触れることで上に乗った丸太が落ちて食料調達! 日本では免許なしに野生動物を捕るこのような手法は現実的ではありませんが、知恵のひとつとして知っておくと楽しいですね。
野外料理のアンバサダー、Kieran Creevyも「カンスボル スタンダード」の愛用者。写真のように刃のすぐ下で短く持って、2本の指で挟むようにすると細かな作業がしやすいとのこと。試してみると、確かに小回りがききます。
▼人工呼吸
救命救急の博士、Brandon Cheeによると、「カンスボル スタンダード」のシース(さや、ケース)は長さといい太さといい、人工呼吸にちょうどいいそう。
マウス・ツー・マウスでは感染症の危険があるけれど、「カンスボル スタンダード」のシースは先端にヒモを通す穴が付いているのでココから息を吹き込めばいいんだとか。これは知っておきたい知恵ですね。
また、これは試してはいませんが、火吹き棒のように焚き火に空気を送り込むのにも使えそうです。
▼火起こし
手持ちのファイヤースターターを使えば、火起こしだってできます。
ハンドル部分に穴があいているのでここにロープを通してファイヤースターターを常備してもいいでしょう。
* * *
装飾が美しいナイフもありますが、モーラ・ナイフは実用主義。決して高価すぎず、ためらわずにガシガシ使えます。しかも、スウェーデン王室御用達! ナイフ選びに迷ったら、まずはこの1本から手にしてみませんか?
(取材・文/大森弘恵)
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