[Gear Maniax #136] タクティカルライトらしくない“カタチ”こそナイトコアの真骨頂
&GP / 2019年6月29日 21時0分
[Gear Maniax #136] タクティカルライトらしくない“カタチ”こそナイトコアの真骨頂
NITECORE(ナイトコア)と聞くとどんなイメージでしょうか。個人的には、安定感と最先端の両方のイメージを抱きます。トヨタ並みの多彩なラインナップで、無理のないスペックで量販しているイメージもありますし、どこか無茶をしたようなコンセプトモデルのような実機を投入してくるメーカーというイメージもあります。そして久々(?)に、後者に該当するどこかシュールな新モデルが出たのでご紹介します。
それが「P18」。今春発売になったようです。先日NITECOREの担当者が来日した際、盛大にプッシュされました。外観同様、かなり個性的なライトに仕上がっています。
▲左が「P18」
実測全長106mmと、18650電池を使用するライトとしては非常にコンパクト。単三電池を使用するライトと比較しても、長さはほぼ同じです。それでもこのぐらいの数値自体は数年前からよくあるのですが、それらは全長を圧縮するため光学系がレンズ式、スイッチがサイド式のライトでした。しかし「P18」はリフレクターも深く、テールスイッチもあるなど、さらに一段進化を意図しているように感じます。
特徴的なボディは熱伝導と放熱に優れた一体鋳造のアルミダイキャスト。一時期に比べれば、「円筒形じゃないとタクティカルじゃない!」という雰囲気は落ち着いてきましたね。SUREFIREなどトップブランドも「らしくない」デザインを推進していることもあり、このようなカタチもだいぶ見慣れたのではと思います。
さっきちらっと書きましたが、内蔵電池ではなく18650電池機種です。「この形状で」、です。NITECOREっぽい仕様ですね。
テールキャップにはコインで締めるためのスリットがありますが、手締めで十分でしょう。普通のライトに慣れていると、正直かなり締めにくいキャップに感じます。
その上の長方形部分が、操作の主となるテールスイッチです。このスイッチを「半押し」と「全押し」で使い分けることで色々と操作します。そう。色々と。押し感は独特。ライターというか、チャッカマンというか。一定のテンションで長めのストローク、フラッシュライトではあまり体感しない感触です。
とりあえずプッシュしてみると、ターボが点灯(ということにしておきます)。半押しではモメンタリ、全押しするとコンスタントに点灯します。タクティカルライトとしては非常に使い勝手の良い設定。
テールスイッチで操作するのは、右のメイン白色LED。XP-L HDを使用しており、メーカー公称で1800ルーメン。実際にそれくらい出ているように感じます。先述の通りリフレクタが深い。中心光、周辺光ともに狭い、タクティカルな配光が予想されます。
実際の照射。やはり集光性を狙った深いリフレクタの雰囲気がよく出ていますね。サイズ的には外形23mm相当ですから、そこまで強いスポットにはなりませんが、狙いは理解いただけると思います。点灯中にテールスイッチを半押しすることで、LOW~TURBO 4段階を使用可能です。
また、先端部には赤色のサブLEDも搭載されていています。これはサイドスイッチの長押しで点灯。サイドスイッチは基本的に赤色LEDのみに使用するので、クリックで点灯、クリックで消灯でもいいように思いますが、そうはなっていません。一応、消灯状態からULTRA LOWに入れるときはサイドとテールの同時押しなのですが、全体的に癖のある操作性に感じられます。
説明書にある操作と、実際の操作が異なっている部分があります。テールスイッチの半押しでターボのモメンタリ点灯、全押しでターボのコンスタント点灯となっていますが、半押しは「モードメモリ・モメンタリ」ですね。前回の消灯がLOWならLOW、ターボならターボ、ストロボならストロボで点灯します。
全押しでターボコンスタントオンですが、これも前回点灯に影響されます。前回点灯が「ストロボ以外」だった場合はターボですが、ストロボだった場合はストロボになります。なので、「前回点灯をストロボで終了した場合」、半押しも全押しもストロボになってしまいますね。ストロボ重視派には良いかと思いますが、個人的には結構微妙です。前回点灯をストロボで終了してしまい、なおかつ今現在「チカチカさせたくない」シチュエーションの場合、サイドスイッチ+テールスイッチでUltra LOWで点灯させ、半押しで上げていくしか手がなさそう。複雑な操作も統一性があれば覚えてしまうものですが、統一性のない操作系は好みが分かれるところ。ストロボ重視派には悪くないかと思います。
ネットでは色々と言われているようですが、握り心地は悪くありません。楕円形のコンパクトモデルは基本的に握り心地はいいですよ。PELICAN「3310L」とか、NITECORE「EA42」とか。
このようなグリップポジションであれば、親指ではテールスイッチ、人差し指でサイドスイッチにそれぞれアクセスしやすいと思います。そう、このライトは逆手持ちをメインに考えられていて、その辺りはPシリーズの系譜だなという感じはしますね。
結構、個性派なライトです。そのような仕様を楽しめる人がが使う分には良いかと思います。そうでない場合は…(笑)。コンパクトさやデザインの未来感、ボタンの配置の良さなどはピカイチです。その先に広がるナイトコアワールドに肌が合うかどうかが、オススメのポイントのような気がします。(アカリセンター価格:1万1272円)
>> 連載[Gear Maniax]
(文・写真/アカリセンター)
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