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川の水だって飲めちゃう!ボトル型浄水器、GRAYL「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」【アウトドア銘品図鑑】

&GP / 2019年6月29日 11時0分

川の水だって飲めちゃう!ボトル型浄水器、GRAYL「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」【アウトドア銘品図鑑】

川の水だって飲めちゃう!ボトル型浄水器、GRAYL「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」【アウトドア銘品図鑑】

水なんて買えばいいだろう…と思うでしょう。でも、水って重い。水道設備がきちんと整っているキャンプ場ならいいんですが、トレッキングや釣り、カヌー旅で水を持ち歩くのはけっこう大変。幸いにも日本は沢が多いんですが、そのまま水を飲むのは危険です。きれいに見えても鹿やイノシシ、キツネほか野生動物の糞尿、藻などが紛れている可能性は高く、そのまま飲むと感染症におかされる危険があります。

感染症の危険を避けるには水を沸騰させればいいんですが、いちいちバーナーとクッカーを取り出すのは面倒だし、余った水をボトルに詰めるには冷ます時間が必要です。そこで頼りになるのが、携帯できる小型浄水器。フィルターを通すだけでいいので冷たい川の水を冷たいまま飲むことができます。

浄水器には多様な方式があります。ポンプやストロー、絞り出し、吊り下げ式など、さまざまな方法で水をフィルターに通し、濾過します。

ポンプ型や吊り下げ式は多くの水を濾過できますがかさばるし、ストロータイプは軽さが自慢ですが一度に濾過できる量は少なめ。絞り出しタイプも軽くていいのですが、力が弱い人はちょっと大変です。

写真右のGRAYL「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」(6980円/税別)はインナープレスを押し込むだけで濾過できる画期的なシステムを搭載しており、濾過したクリアな水はふたをしてそのまま持ち運べます。

重量は309g。いちいち別のボトルを用意する必要がないユニークなシステムで、国内のハイカーはもちろん、他社アウトドアブランドのフィールドテスターの中にも愛用している人がいます。

GRAYLは世界中を旅してきたナンシーとトラヴィスが2012年に起こしたアメリカの会社で、2016年1月末にクラウドファンディング kickstarterで「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」を発表。その手軽なシステムと使い捨てボトルの軽減というアイデアがウケ、同年3月上旬には世界中の旅人や冒険者から25万ドル(=約2680万円)の支援を受けるという成功を収めました。わずか36日という短期間で目標を達成できたのですから、いかに手軽な浄水システムが待ち望まれていたかがわかります。

日本では2017年よりモンベルが取り扱いをはじめ、話題となりました。当然ですが、日本で購入した製品には日本語の説明書が付いています。直感的に扱える浄水器なので不要とも思えますが、口にするモノですから細かな注意書きを日本語で確認できるのは安心です。

■使い方

「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」を分解してみました。右から、アウターボトル、インナープレス、左上がふた、左下がフィルターです。

フィルターをインナープレスに取り付けます。通常は、この状態でアウターボトルに入れて持ち運びます。

水を探します。今回は濾過後の水がわかるようにあえて少し濁った水を探しましたが、できるだけきれいな水を探しましょう。

そのままアウターボトルに水をくんでもいいのですが、当然ですが、汚れが多い水だとフィルターが詰まりやすくなります。葉っぱが浮遊している水なので手ぬぐいで大きな汚れは取り除きました。

インナープレスにふたをして、アウターボトルの上からプレス。約15秒で下まで押し込めます。ふたをきっちり閉めるとフィルターの空気が抜けず、うまく押し込めません。かといってふたをしないで押し込むと、人によっては手のひらが痛く感じるかも。ふたを軽くのせた状態で両手で押し込むと、痛みがなく楽に押し込めますよ。

インナープレスを押すと、ジワジワと濾過された水が湧き上がってきます。

左が、手ぬぐいで大きな汚れをこした水で、右が濾過後の水。濾過後の水はまったく泥臭さがなく、ためらうことなく口にできました。

 

■フィルター

さて、フィルターの実力を見てみましょう。

専用フィルターは150L分の水を濾過できます。

説明書によると、ロタやノロ、A型肝炎などの「ウィルス」、大腸菌やサルモネラ菌などの「バクテリア」は99.9999%、エキノコックスをはじめとする「原虫」は99.999%除去する実力があるとのこと。

この中でもっとも小さいのはウィルスで、大きさは1〜0.002μm。フィルター自体はウイルスよりも大きな隙間があるそうですが、電気吸着体により微少なウイルスをもキャッチ。軽い力でフィルターに通しつつ、きっちり濾過できる仕組みなんですね。
「電気吸着体」、農薬や化学物質を軽減する「超粉末状活性炭」、菌の増殖を抑える「銀処理済ゼオライト」の3つの層でできた濾過テクノロジーは、当然ですが特許取得済みです。

ちなみに説明書には「海水」「油、油を含む水」「60℃以上の水」「高濃度の化学物質や重金属が流出したと思われる水」は対応できないと明記されています。もっとも信頼できるきれいな水を使うことを前提としているんですね。

購入したばかりのころ、「もしかして透明な飲み物ができるかも!」とコーヒーと抹茶を濾過したことがあります。コーヒーは透明ではなく薄茶色で風味も薄くなりましたし、抹茶に至っては透明の水になることはなく、たった1度の濾過でフィルターが詰まってしまいました。

専用フィルターは2980円(税別)。1杯の薄い抹茶=約3000円という涙の結果になりましたので、みなさんも無駄な実験はしないほうがいいでしょう。

アウターボトルを川の中に沈めて直接水をくんだ場合でも、インナープレスは約2cm上に飛び出すので、インナープレスに直接口をつけても大丈夫です。中にたまった濾過済みの水を、カップに移し替えるのもそれほど気を遣わなくてもいいんです。

外形はφ7.3×24.5cm。1Lボトルくらいの大きさですが、フィルターやインナープレスがあるので要領は473mLです。少々残念な気がしますが、カップ2杯分=約500mL分の水を一気に一人で飲み干すことはまずありません。持ち歩きを考えると、これが実用的なサイズと言えます。

現在は「UL.ウォーターピュリファイヤーボトル」のほかに、飲みやすいキャップ付き「ジオプレスピュリファイヤー」(9980円/税別)が発表されています。

使用シーンはトレッキングやカヌー旅だけではありません。旅人が作った浄水器ですから、水の入手が不安な地域への海外旅行・海外キャンプで活躍しますし、万一の災害時では風呂の水を濾過するのに役立ちます。

優秀な浄水器をひとつ手に入れておくと、安心感が違いますよ!

>> モンベル

 

>> [連載]アウトドア銘品図鑑

(取材・文/大森弘恵)

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