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ラバッシュにチーズにビール!ユニークで豊かなアルメニアの食を堪能!

&GP / 2019年7月4日 21時0分

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ラバッシュにチーズにビール!ユニークで豊かなアルメニアの食を堪能!

旧ソビエト連邦から1991年に独立したアルメニア共和国(以下アルメニア)は、トルコの東、ジョージアの南、アゼルバイジャンの西に位置し、国土面積は日本の1/13という小さな国です。

前回はアルメニアワインの取材レポートをお届けしましたが、アルメニアの食の豊かさ、ユニークさにも感動させられました。これは紹介しないわけにはいきません。

[関連記事]ワイン発祥地のひとつアルメニアで秋のワイン祭りを堪能【アルメニア訪問記】

 

■アルメニアの国民食「ラバッシュ」

アルメニアの首都エレヴァンは、アルメニアの総人口300万人の1/3にあたる100万人が集まる大都会です。中心部には、世界チェーンのファストフード、イタリアンをはじめ、各国料理の店がたくさん立ち並んでいました(和食、寿司店も発見)。

でも、せっかくですから、アルメニアらしいものを食べたいもの。

渡航前に、駐日アルメニア大使グラント・ポゴシャンさんの著書『アルメニアを巡る25の物語』(和器出版)で予習していたので、食べたいもの候補はいくつもありました。

その筆頭が、「ラバッシュ」という薄焼きパンです。

ラバッシュは、小麦粉と水、酵母だけで作られ、油脂類は入りません。

日本の米飯と同じように、ラバッシュはアルメニアの主食で、さまざまなフードとの組み合わせができます。食事のテーブルには、ほぼ必ずといっていいほど出てきました。

例えば、朝食では、たくさんのコンフィチュール類や乳製品と一緒に、ラバッシュが登場します。

アルメニアは果物類の生産も多いので、フルーツを甘く煮たコンフィチュールは朝食のテーブルによく並びました。独自のスパイス使いをし、日本のジャムにはないエキゾチックな風味のコンフィチュールも多かったです。

ラバッシュにコンフィチュールやサワークリーム、フレッシュチーズなどをトッピングし、くるりと巻いて食べます。クレープ状の薄くて柔らかい生地のラバッシュは、何かを包んで食べるのにぴったりです。

アルメニアは乳製品がとても豊富で、朝食時はヨーグルトやフレッシュチーズ、バターなどが食べきれないほど並びました。

また、ワイナリー訪問時には、美しく盛り付けられたチーズプレートでもてなしてくれました。ローカルなチーズばかりなので、チーズ好きにはたまりません。

ラバッシュは、その作り方が独特なため、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

夜、山の中のホテルに戻ると、運転手兼通訳さんが、こっちこっちと手招きします。行ってみると、厨房のおばさんたちがラバッシュを焼いているところでした。

うす~く伸ばした生地を、土間に掘られた窯の壁に貼り付けて焼きます。紙のように薄いので、焼きあがるまで1分もかかりません。「どうぞ」と出された焼きたてを食べてみると、生地がもっちりして、小麦の味が甘い! 焼きたて最高!

現代の都会の家ではラバッシュを焼く土間の窯はなく、店で買うことになります。スーパーのパンコーナーにもたくさん置いてありました。実は私も帰国前日にスーパーでラバッシュを一袋買ってきたのですが、帰宅してスーツケースを開けたら、すでにカビが出ていました。これは現地で食べるしかありません。

だからこそ、より焼きたて、できたてに近いものが人気で、エレヴァンの街中では、ラバッシュよりは厚いですが、薄焼きパンを焼いて売っている店に行列ができていました。私も並んで買ってみましたが、むっちりしておいしい! しかも1枚120アルメニアドラム、日本円に換算すると27円くらいという安さ。行列ができるわけです。

■アルメニアの食材と郷土料理

アルメニアは、カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス山地にあり、海はなく、岩山が多い国です。山岳地帯での酪農で肉や乳製品が作られ、湖や渓流で川魚が育ちます。

農産物では、麦、果物、ドライフルーツ、ナッツ類、ハーブが名産です。

果物ではザクロとアプリコットが双璧で、ザクロはザクロワインにもなります。

アプリコットは、6、7月の収穫時期には生で食べられますが、お土産にするならドライアプリコットがオススメです。私も買ってきました。

アルメニアは世界で初めてキリスト教を公認した国家です(紀元301年)。肉食のタブーはなく、牛肉、鶏肉、豚肉、ラム肉がよく食べられています。上の画像は炭で焼いた牛肉で、肉質はやや硬め。野菜を包んだラバッシュが添えられていました。

挽肉と野菜、米などを混ぜた餡をブドウの葉で巻いて蒸し煮にした「ドルマ」も、この旅で何度か食べました。ヨーグルトソースやサワークリームソースなどをかけていただきます。

キャベツで巻くキャベツバージョンもあり、まさにロールキャベツ。ドルマは成人男性の親指ほどの小振りサイズに作られ、お皿いっぱいに盛り付けられて供されます。

ドルマは黒海、カスピ海周辺の国ではポピュラーな料理です。ルーマニアでワイナリーを訪問した時には、大皿にこれでもかと盛り付けたドルマでもてなしてくれました。ルーマニアの惣菜店や、ギリシャのレストランでも登場しました。いずれもサイズが小さいので、いくつでも食べられてしまいます。

挽肉にたっぷりの香辛料を混ぜて焼いた挽肉のケバブもポピュラーです。レストランではもちろん、カジュアルなテイクアウト店、お祭りの屋台でも売られていました。

アルメニアのワイナリーを訪問すると、ソーセージ類の盛り合わせがよく出されましたが、その中に、ソーセージとはちょっと違ったものがありました。左下の長楕円形のものは、水分を抜いた生の牛肉に香辛料をすり込んで乾燥させた「バストゥルマ」です。ソフトでスパイシーなビーフジャーキーといったところで、赤ワインのお供にぴったりでした。

小麦と肉(牛、豚、ラムが伝統)を混ぜて火にかけ、大きな木のスプーンでかき回しながら煮込んだ大鍋料理の「ハリサ」もアルメニアの伝統食です。食べる時にバターをトッピングしていただきます。大量に作るので、お祭りや人が集まるときの定番料理みたいですよ。

やさしい味のハリサですが、麦がお腹にたまるので、レストランで注文するならシェアをお勧めします。でないと、他の料理が食べられなくなります(笑)。

301年、キリスト教の宣教師グレゴーリが60日間の布教活動を行ないながら作り、また、1915年のオスマン帝国によるアルメニアジェノサイドの際、帝国内からアルメニアに逃れようとした人々を救ったのもハリサ。ハリサの語源は、かき回す、だそうです。

天ぷらのかき揚げとお好み焼きの中間のような、小さなお焼きもよく見ました。写真は朝食に出てきたものですが、レストランの料理の付け合わせにも出てきました。焼きたては表面がカリッとし、中はふっくら。

海がないアルメニアは、渓流や湖のマスやイワナを食べます。特に、アルメニア東部の標高1900メートルの高地にあるセヴァン湖(琵琶湖の面積の1.5倍)の冷たい水で育ったイシュハンマスが有名です。写真の魚はイシュハンマスか不明ですが、やさしい塩味の蒸し焼きで、アルメニアならではのザクロがトッピングされていました。

スーパーの魚売り場では、生魚もありましたが、燻製にした魚がずらりと並んでいてびっくり。保存性を高めるため、日本では魚は干物にしますが、アルメニアは燻製なんですね。ロシアも燻製です。あぶってウオツカのつまみにするようですが、今回はチャンスがなく残念!

中身をくり抜いたカボチャに、米とドライフルーツを詰めて焼いた「ガママ」、ヨーグルトスープの「スパス」などもアルメニアの伝統料理ですが、今回は出合えませんでした。

■急増するワイン専門店

アルメニアのレストランでは、アルメニアのワインもビールも飲めますが、首都エレヴァンでは、ワインバーが急増し、ブルワリー併設の店もありました。

エレヴァンの人気店のひとつ「in Vino」は、飲食店が立ち並ぶ中心部にあるせいか、外国人の観光客らしい人も多かったです。アルメニアのワインが棚に並び、グラスワインでもボトルでも飲めます。つまみはソーセージ類やチーズ、クラッカー程度。

ワイナリーの人と待ち合わせたエレヴァンの「THAIWINE REPUBLIC」は、大きなワインレストランで、しっかりした料理もあり、ワインも世界各国のものがずらりと揃っていました。

ワインバー「in Vino」の近くの繁華街を歩いていた時、偶然、クラフトビールのブルワリー併設店「Beer Dargett」を見つけました。もちろん、入らないわけがありません(笑)。

いろいろなタイプのクラフトビールがあり、900アルメニアドラム(約200円)から。ワインを飲んだ後だったので、残念ながら1杯で引き上げましたが、センスのいい店でした。

上で紹介した3軒は、いずれも英語が通じます。

ビールはレストランで食事をする際にも飲みました。アメリカやオランダのビールもありましたが、ここは当然「地元のビールをください」です。

この「KILIKIA」はよく見ました。レストランのメニューでは一番安く提供されていたので、アルメニアでは定番のビールのようです。

スーパーのビールコーナーでも、飲んでみたくなるラベルのビールが色々あり、何本か買ってホテルで飲みました。サラッと飲める、あっさり系が多かったです。

アルメニアが誇るブランデーも多くの種類がありました。レストランではグラスで飲め、価格も手頃なものがあるので、試してみてはいかがでしょうか? 気に入った銘柄をメモしておけば、後で、スーパーやエレヴァン空港の免税店でのショッピングに役立ちます。

 

■アルメニアのスイーツ

最後に忘れてはいけないのが、スイーツ類です。

丸い円盤状のものが、「ガタ」と呼ばれるアルメニアの伝統的焼き菓子です。さまざまな大きさで作られ、表面の装飾も多彩なので、たくさん並んでいる姿は見ごたえがあります。

これも「ガタ」で、朝食の際に出てきました。小麦粉と卵と、おそらく乳製品も加えていると思われます。ふわっと焼かれ、甘さは控えめで、シンプルな味わいでした。

外側がかっちり硬めに焼かれたガタは、お土産にできます。気持ち的には大きなガタが欲しいところですが、さすがに無理。エレヴァンの街中で売っていた小振りサイズのガタをお土産に買ってきました。600アルメニアドラム(約150円)とお手頃でした。

ガタに少し似ていますが、ナッツとキャラメルのフィリングが入り、生地に油脂を加えてパイに近い「バクラバ」も、あちこちで見ました。アルメニアだけでなく、周辺国や中東でもポピュラーなスイーツですので、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。

こちらはホテルで出てきたバクラバですが、ワイン祭りの屋台にもあり、買って食べてみました。かなり甘かったですが、私は甘党だからウエルカムです(笑)。

細長くてソーセージのように見えるのが、「スジューク」というスイーツです。ドライイチジクをキャラメルでコーティングしたもので、ワイン祭りの屋台のあちこちで見ましたが、エレヴァンのスーパーでも売っていました。食べていませんが、これはかなり甘そうです。キャラメルが溶けると困るので、残念ながら買いませんでした。

今回のアルメニアの旅では食べきれなかったものが、まだまだたくさんあるので、機会があれば、ぜひまた訪問してみたいものです。

 

(取材・文/綿引まゆみ

わたびきまゆみ/ワインジャーナリスト

わたびきまゆみ/ワインジャーナリスト

ワイン専門誌や料理系雑誌での記事執筆をはじめ、日本ソムリエ協会webサイトのコラムなどを執筆。ワインセミナー、トークショー、海外のワインコンクール審査員など、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。スイーツ好き。

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