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航空写真家ルーク・オザワに聞く 夏の旅行ついでに撮りたいヒコーキ写真と撮り方のコツ

&GP / 2019年7月30日 22時0分

航空写真家ルーク・オザワに聞く 夏の旅行ついでに撮りたいヒコーキ写真と撮り方のコツ

航空写真家ルーク・オザワに聞く 夏の旅行ついでに撮りたいヒコーキ写真と撮り方のコツ

間もなくやってくる夏休みシーズン。もう、旅行の予定は決まっていますか? 近年では写真に興味をお持ちの方も多いかと思いますが、今年の夏は旅情溢れる「ヒコーキ写真」を撮りに出かけてみるのはどうでしょう。

鉄道写真や風景写真、夜景写真など"写真"に関するジャンルを挙げればキリがありませんが、写真好きや旅行好きなら特定の被写体だけを撮るということもないはず。とはいえ、撮影対象がヒコーキとなると「デカい望遠レンズがいるんでしょ?」と思っている方もいるはず。たしかに機体をドカンと大きく写した写真は迫力がありますが、ヒコーキ写真の楽しさはそれだけではありません。

そこで、ヒコーキ×情景の第一人者として知られる航空写真家のルーク・オザワさんに「夏」をテーマにしたヒコーキ写真の撮り方を聞きました。

【ルーク・オザワ】
1959年2月生まれ。東京都出身。風景とヒコーキをシンクロさせた、情景的ヒコーキ写真の第一人者。ANAをはじめ、数多くのカレンダーを手がけるほか、テレビやラジオ、セミナーなどで活躍。写真集『JETLINER』シリーズ(イカロス出版刊)ほか、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社刊)など、著書多数。

夏といえば海というと、いささかストレート過ぎる気もしますが、この季節に旅行するならやっぱり海を思い浮かべる方も多いことでしょう。日本の空港は海上や海の近くに作られることが多く、ヒコーキ写真を撮るにはピッタリな場所でもあります。

--北は稚内空港や函館空港、南では新石垣空港や那覇空港など、海の近くには数多くの空港がありますが、初夏に訪れるべき空港はあるのでしょうか。

ルークさん 梅雨明けから初夏にかけて狙うなら、やっぱり沖縄方面でしょう。夏になり太平洋高気圧が勢力を増すと、冬の大陸性高気圧とは違った強い日差しが降り注ぎ、空港も透明感が出て、夏らしいシーンが見られるようになります。そこに沸き立つ雲は積乱雲、いわゆる入道雲も沖縄特有のメリハリがあり、奥行きもあります。青い空ともくもくの雲、そしてヒコーキを一緒に撮ってみてはいかがでしょう。

夏の那覇空港には南風が吹くので、飛行機は北側から進入してきます。なので、撮影スポットは空港近くにある「波の上うみそら公園」がオススメです。ここは標準ズーム1本で、海、空、ヒコーキが絡んだ画を撮ることができます。また、海らしさを演出できる灯台も見えますから、それをアクセントとして入れてみるのもいいでしょう。

--沖縄の「波の上うみそら公園」で撮るうえでのコツはありますか?

ルークさん 沖縄の空は本土と違って低層、つまり水平線の近くまで青いんです。青い空と立体感のある雲を生かすために、ヒコーキを無理に大きくせず、ワイポイントとして使うことで、沖縄らしさや夏らしさを画面いっぱいに表現しましょう。

--旅行先としてはアクセスのいい沖縄本島も魅力的ですが、せっかくの夏休みですからオススメの離島はありますか? 

ルークさん 本島から南に約300キロにある宮古島はご存知の方も多いと思います。その西側にある伊良部島・下地島がヒコーキ写真を撮るには面白いと思います。下地島には以前、ANAやJALが訓練を行っていた「下地島空港」がありますが、今年、旅客ターミナルが完成して成田や関空からジェットスター・ジャパンが就航するようになりました。

この下地島空港は南風が復路ランウェイ17、つまり飛行機は北側から滑走路へと着陸します。このランウェイ17側には、この世のものとは思えないほど美しいエメラルドグリーンの海が広がっており、その上をヒコーキがアプローチしてくるんです。海も浅いところ、深いところがあるので、透明感にもメリハリがあります。下地島では白い雲と青い空、エメラルドグリーンの海とヒコーキをひとつの画面に収めてみてはいかがでしょうか。

--なるほど。下地島空港にやってくるヒコーキは1日あたり1便か2便ですが、撮影時に気をつけることはありますか?

ルークさん 画面に進入灯を入れることで、この先に空港があるとイメージさせることが大事ですね。また、ヒコーキをどこに置くかも重要です。たとえば、この作例では画面の右側にヒコーキを配置すると、これから進む方向に対して余地がなく、窮屈な感じになってしまいますから、センターより左側に置きました。こうすると、写真がぐっと落ち着きます。また、ジェットスター機はシルバーのボディですが、機体下部にはオレンジ色の塗装も施されているので、これもワンポイントになりそうですね。

--また、海といえばキラキラと輝くイメージがありますが、面白い撮り方などはありますか?

ルークさん ヒコーキ写真は"晴天"で"順光"以外、つまり逆光でシルエットで表現するのも楽しめると思います。太陽の角度によってギラギラと反射する海面を画面に取り込むことで、写真のイメージはグッと強烈になります。これも那覇の「波の上うみそら公園」ですが、夕方の西日が海を輝かせていたので、そこにヒコーキがやってくるのを待ちました。

--こういうシーンに遭遇するのも、撮影するのもちょっと難しそうですが…。

ルークさん こういう海面の反射は沖縄だけでなく、東京の羽田空港でも、名古屋のセントレアでも、太陽の角度によって撮ることができます。羽田の第一ターミナル展望デッキでは北風が吹いているとき、午前中なら南からアプローチしてくる着陸機は海面の反射と絡みますし、セントレアのスカイデッキは夕方の西日と絡みます。撮影するときは海面付近で一度、露出を合わせてロックするか、テスト撮影を行ってその数値を参考にマニュアル設定で露出をアンダーに設定して撮りましょう。

***

夏は海。海といえばヒコーキ、ということで、今年の夏はバケーションを兼ねて、沖縄でヒコーキ撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか。

ヒコーキ写真の撮り方を学ぶなら、ルーク・オザワさんの撮影テクニックが詰まった本も出ていますので興味のある人はぜひ手に取ってみてください。

▲光、空、風景で魅せる!ヒコーキ情景写真の決定版 ルーク・オサワの「ヒコーキ写真の撮り方」 (誠文堂新光社刊) 2376円

(写真/ルーク・オザワ 文/村田尚之)

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