ディーゼル車でも走りは刺激的!BMW「X3」Mパフォーマンスは驚きの連続です
&GP / 2019年8月5日 19時0分
ディーゼル車でも走りは刺激的!BMW「X3」Mパフォーマンスは驚きの連続です
メルセデス・ベンツやアウディと並ぶ、ドイツのプレミアムカーブランド御三家のひとつに数えられるのがBMW。そのスポーツモデルが、車名に“M”の文字が入る「Mモデル」だ。
選ばれた車種にのみ、超高性能仕様として設定されるMモデルは、高出力エンジンに、サーキット走行での限界走行まで考慮した操縦性重視のサスペンションを組み合わせるホットバージョンだ。例えば「3シリーズ」をベースにした「M3」は、世界中のクルマ好きの憧れの存在となっている。
そんなMモデルと並んで、最近、BMWが力を入れているのが、「Mパフォーマンス」と名づけられたシリーズ。シンプルにいえば、ベースモデルとMモデルとの中間に位置するシリーズで、標準モデルよりも走りが磨かれているものの、Mモデルほど過激な性格ではない。サーキットをガンガン走るのではなく、あくまでワインディングロードや高速道路でひとクラス上のパフォーマンスを楽しみたい人のためのシリーズ、として位置づけられる。つまり、多くのクルマ好きにとってドンピシャなのは、このMパフォーマンスというわけだ。
■もはや別物といった出来栄えの6気筒ディーゼル
BMWは今、Mパフォーマンスのラインナップを鋭意、拡大中。3シリーズや「7シリーズ」といったセダンから、「2シリーズクーペ」や「8シリーズ」といったクーペ、果ては「X2」や「X4」といったSUVにも設定される。その中でも、今回紹介する「X3」のMパフォーマンスは異色の存在。なぜなら、エンジンがガソリン仕様ではなく、ディーゼルターボなのだから。
ベースとなるX3は、日本車のトヨタ「RAV4」やスバル「フォレスター」、マツダ「CX-5」とほぼ同じボディサイズで、車格などを含めると、メルセデス・ベンツ「GLC」やアウディ「Q5」が直接のライバルとする。そんなX3の高性能グレード「X3 M40d」に用意された心臓部は、まさかのディーゼルターボ。これはクルマ好きにとって、かなり興味深い話だろう。
もちろん、Mパフォーマンス仕様だけあって、サスペンションをスポーティに締め上げただけで「はい、出来上がり!」なんて安易なことを、BMWがするわけがない。搭載されるエンジンは、ディーゼル仕様でありながら、なんと直列6気筒。世界でBMWとメルセデス・ベンツだけ用意する、直6ディーゼルターボを搭載しているのだ。
しかも、Mパフォーマンス仕様への搭載に際し、エンジン特性を特別にチューニング。同じ3リッターの直列6気筒ディーゼルを積む「X5」や「X7」の「xDRIVE 35d」グレードは、最高出力265馬力、最大トルク63.2kgf-mだが、X3 M40dに搭載されるそれは、326馬力、69.3kgf-mへと強化されている。さらに、最高出力の発生回転数も4400回転へと引き上げられるなど、もはや“別物”。その走りに期待するな、という方が無理という話だ。
■Mパフォーマンスにディーゼルが積まれた秘密
X3 M40dに搭載されるエンジンの素晴らしさは、火を入れた瞬間から実感できる。アイドリング時のディーゼル特有の音や振動は全く気にならず、同じBMWの4気筒ディーゼルエンジンとは、別世界といった様相。誇張なしに、エンジンが掛かっているのか、止まっているのか、分からないほどで、ガソリン車との違いを感じさせるスキは一切なかった。
次の驚きは、アクセルペダルを踏み込んだ際にやってきた。ガソリンエンジンと変わらない滑らかさ、繊細さ、そして躍動感を伴って加速していく。その時のマナーは驚くほどに洗練されていて、しかも、ドライバーが思った通りに加速してくれるから、アクセルペダルを踏み込むのが心地いい。一般的な加速領域において、X3 M40dはディーゼルのネガを見せることもなく、ガソリンエンジンさながらのスムーズさとエモーショナルな感覚を披露してくれるのだ。誤解を恐れずにいえば、エンジンがガソリンかディーゼルか分からなくなるほどに、X3 M40dのエンジンは完成度が高い。
しかも、ディーゼルエンジンだけあってトルクが太いから、発進後や追い越し時の加速がとても速い。スポーツモデルであるMパフォーマンスに搭載されるのも、素直にうなずけるフィーリングだ。
もちろん、回転を上げていくと、さすがにガソリンエンジンのような高回転域でのパンチ力は味わえない。この点は、ディーゼルとガソリンとの明確に差異といえるだろう。しかし、X3 M40dの6気筒ディーゼルターボは、一般的な4気筒ディーゼルエンジンのように、高回転域で急激にパワーがしぼんでいく印象はなく、スーッと吹け上がっていく感覚。そのため、峠道でもしっかりと走りを堪能できる。
一方、そんな時でも、車内は快適そのもの。走りに一家言持つBMWらしく、ドライビングポジションは適正で、大柄なシートはしっかりとドライバーの身体を支えてくれる。また、締め上げられた足回りの影響で、低速域ではコツコツとした衝撃を伝えてくるのが気になった乗り心地も、スピードが乗るに連れてフラットになる。
おまけに、ミドルクラスのSUVだけに室内スペースはゆったり。助手席やリアシートの乗員にも十分なスペースが割かれているから、高速道路などでのクルージングでは同乗者もリラックスして移動を楽しめる。
このように、実用性が犠牲になっていない点も、日常性と気持ち良い走りを融合したMパフォーマンスならではの美点といえる。
■Mモデルと比べても魅力は色あせない
X3 M40dに積まれる6気筒ディーゼルは、同クラスのガソリンエンジンと比べると、当然のことながら燃費がいい。例えば、2リッターのガソリンターボを積む「X3 xDrive20i」のJC08モード燃費が13.5km/Lであるのに対し、X3 M40dは1.5倍以上の最高出力と2倍以上の最大トルクを誇りながら、14.9km/Lと燃料消費が少ない。もちろん、燃料となる軽油はハイオクガソリンに比べて2割程度安価だから、ランニングコストは当然、安く上がる計算だ。
ちなみにX3には、さらなるハイパフォーマンス仕様として、Mモデルである「X3M」がラインナップされている。こちらは480馬力の3リッター6気筒ガソリンターボを積むモンスターで、クルマ好きにとっては相当気になる1台だろう。
X3 M40dとX3Mとを比べた場合、もちろん、絶対的な速さや刺激ではX3Mが上回るだろうが、日常領域を中心に考えたサスペンション設定やコストパフォーマンスなどを含めると、M40dの魅力は決して失われることはない。
それにしても、SUVであるX3のスポーツモデルにディーゼルエンジンを組み合わせるとは、思い切った商品企画だ。しかも、実際に乗ると運転する楽しさは抜群だから、これまで、フィーリングの面からディーゼルエンジンを敬遠していた人にも、ぜひ試乗してみてもらいたい。きっと、目から鱗が落ちる感覚を味わえるはずだ。
<SPECIFICATIONS>
☆M40d
ボディサイズ:L4725×W1895×H1675mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2992cc 直6気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:326馬力/4400回転
最大トルク:69.3kgf-m/1750〜2750回転
価格:878万円
(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
6速MTあり! 全長4.5m級“ちょうどいいサイズ”の「新型スポーツカー」が凄い! 480馬力“直6ツインターボ”×FRのみってサイコー! 新型「BMW M2」どんなモデル?
くるまのニュース / 2024年11月15日 21時10分
-
「こいつバケモノだ!!」クルマ好き興奮!? ディーゼル特急の「エンジン」を自動車っぽく語ってみたらスゴかった!
乗りものニュース / 2024年11月4日 15時12分
-
ランクル250は最上級グレードを選ぶべき? 試乗で確認
マイナビニュース / 2024年11月4日 11時30分
-
478万円! BMW プレミアムな新型「コンパクトカー」誕生! “BMW初”の斬新デザイン採用! 次世代の進化を遂げた「1シリーズ」とは
くるまのニュース / 2024年10月31日 21時10分
-
新型「BMW 1」、48Vマイルドハイブリッドシステム搭載やMパフォーマンスモデルも
マイナビニュース / 2024年10月30日 17時36分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください