後席はCクラスより広い!新型「Bクラス」はマルチに使える“ちょうどいい”メルセデス
&GP / 2019年8月11日 19時0分
後席はCクラスより広い!新型「Bクラス」はマルチに使える“ちょうどいい”メルセデス
人はクルマに何を求めるのか? ある人は「スポーティな感覚」だろうし、またある人は「実用性が高くて使いやすいこと」と答えるかもしれない。
そうした点から判断すると、先頃フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの新型「Bクラス」は、「居住性とパッケージング効率を重視する」という人にとって、最適のコンパクトカーといえるだろう。
■単に“頭上が広いAクラス”ではない
メルセデス・ベンツで最も手頃なモデルは、コンパクトハッチバックの「Aクラス」。フォルクスワーゲンの「ゴルフ」やスバル「インプレッサ」、「マツダ3」などと同じ“Cセグメント”と呼ばれるカテゴリーに属すAクラスは、メルセデス・ベンツの中で一番小さく、328万円からと手の届きやすい価格設定もあって、日本においても人気が高い。
一方、メルセデス・ベンツにとっても、Aクラスは重要なモデルとなっている。他メーカーのクルマに乗っていた人がAクラスに乗り換えるというケースは多く、メルセデスユーザーを増やすという戦略的な役割も担っている。
今回紹介するBクラスは、そんなAクラスと基本メカニズムを共用するコンパクトカー。Aクラスとの最大の違いは“背の高さ”で、そこにこのクルマならではの存在価値がある。
背が高くなったことによる一番のメリットは、なんといっても室内空間が広がったこと。BクラスとAクラスは全長と全幅が同じ(日本仕様のカタログ記載値は5mm異なるものの、欧州仕様は同じ値)で、ホイールベースも2730mmと共通。一方で全高は、Aクラスが1420mmであるのに対し、Bクラスは1565mm(ノーマル仕様)と145mm高く、その分、室内高が拡大している。
とはいえ、天井が高くなっただけなら、単に“頭上が広いAクラス”で終わってしまう。しかしBクラスは、乗員の着座位置も高く持ち上げることにより、居住性を引き上げることに成功している。実際、Aクラスよりも着座位置が高いBクラスで最適なドライビングポジションをとってみると、シートの前後位置がAクラスのそれより前寄りになり、その分、リアシート足元のスペースが広がる。
Bクラスと全長、ホイールベースが同じAクラスは、どちらかというとフロントシートに座る人の居住性を重視した、運転席と助手席のためのクルマだが、Bクラスはリアシートにも人を乗せる機会が多いファミリーにもオススメできるクルマになっている。しかも、開放感を含めての後席の居住性は、ふた回りほどボディサイズが大きい「Cクラス」のそれをも超えている。こうしたBクラスのスペース効率の高さには、驚かされるばかりだ。
また、ミニバンやSUVといった背の高いクルマが多く走っている日本の道路環境においては、着座位置が低くてスポーティな運転感覚のAクラスよりも、適度に着座位置が高くて見晴らしのいいBクラスの方が、運転しやすいと感じる人も多いはず。さらに、狭い道を走る時や車庫入れの際などは、着座位置がある程度高いクルマの方が車幅の感覚をつかみやすいため、Bクラスの方が扱いやすいと感じることだろう。
もうひとつ、Bクラスの実用面において見逃せないのは、乗り降りのしやすさ。乗り降りというのは、地面に対する着座位置が低すぎても高すぎてもしづらくなるものだが、着座位置が高くなったBクラスは、Aクラスと比べるとグッと乗り降りしやすくなった。これは、クルマで移動する度に繰り返される動作だけに、Bクラスを選ぶ大きなメリットなるだろう。
■電動ゲートで使い勝手も向上した広い荷室
背が高くなったことによるメリットは、乗員の居住スペースだけにとどまらない。Bクラスはラゲッジスペースも広がっているのだ。
Aクラスの荷室容量は、VDA計測方式で370〜1210Lだが、Bクラスのそれは、455〜1540Lへと格段に大きくなっている。その理由は、背の高さを有効に使っているため。Bクラスは、全長やホイールベース、そして、後輪より後方のリアオーバーハングの長さがAクラスと同じため、ラゲッジスペースの奥行きこそ変わりはないが、背を高くした分を積載量の拡大につなげている(トノカバーより下の常用スペースも増している)。「車庫の狭さや運転のしやすさなどからコンパクトカーを選びたいけれど、荷室はできるだけ広い方がいい」という人にとって、Bクラスの効率的なパッケージングは魅力的に映るだろう。
また、使い勝手の面においても、BクラスにはAクラスに設定のない電動開閉式リアゲートを標準装備。同クラスのクルマで電動開閉式の採用例は珍しく、この点も、ライバルに対するBクラスのアドバンテージとなるだろう。
ちなみに、Bクラスのラゲッジスペースを拡大したい場合は、ワンタッチでリアシートを畳むことができる。その際、荷室のフロアに段差は生じず、また、リアシートは左右と中央で3分割されているため、例えば、大人4名がゆったり座れる状態をキープしながら、リアシートの真ん中だけを倒してスノーボードを車内に積み込む、といった使い方もできる。荷物の量や乗員の人数などに合わせ、自在に荷室をアレンジできるのは心強い限りだ。
■車高の低いAMGラインでも乗り心地は快適
背の高いクルマというと、“あること”について心配する人も少なくないはず。それは、機械式立体駐車場への対応だ。
ミニバンやSUVに対応していない、一般的な機械式立体駐車場の全高制限は1550mm。もちろん、背の低いAクラスなら難なく収まるし、先代のBクラスも全高は1550mm以下だったから、問題はなかった。しかし新型Bクラスの全高は、1565mmと高さ制限をオーバーしている。実のところは、駐車する機械にマージンがあり、入庫可能なケースがほとんどなのだが、駐車場によっては入れてもらえなかったり、マンションの駐車場などでは車高証明を得られなかったりという場合もある。
この問題に「困った…」と思案している人は、新型Bクラスにオプション設定される「AMGライン」を選びたいところ。これにはローダウンサスペンションが組み込まれていて、全高が1550mmへと下がるため、機械式立体駐車場の高さ制限もクリアできるのだ。それに、ローダウンサスペンションを組み込んだAMGライン仕様の方が、スタイリングがカッコいいというメリットもある。
ローダウンサスペンションと聞くと、乗り心地が悪いのでは? とか、あらさを感じるのでは? と想像する人もいるだろう。しかし、今回試乗したBクラスのAMGラインは、乗り心地にネガな要素がほぼなく、ローダウンサスペンション仕様とは思えないほど快適。ロングドライブも気持ち良くこなせた。
また、Aクラスをベースに開発されたBクラスだけに、「ハイ、メルセデス!」と話しかけることで、エアコンの温度やナビゲーションの目的地、電話での通話や音楽の選択などを操作できる“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)”も標準装備。直感的に使える同システムの採用も、Bクラスの魅力のひとつとなっている。
ちなみに、Bクラスのガソリン仕様「B180」は、1.4リッターのターボエンジンを搭載。この秋上陸する上級のディーゼル仕様「B200d」には、Aクラスで好評を得ている2リッターのディーゼルターボエンジンを搭載する。両モデルの違いはパワートレーンのみで装備類には大差がないから、試乗して好みのモデルを選ぶといいだろう。
クルマに求めることは人それぞれで異なるため、クルマ選びの際は、自分にとっての理想を叶えてくれる1台を選ぶことが、幸せなカーライフのための近道といえる。その点、広い居住空間とラゲッジスペース、そして、快適な走りを実現した新型Bクラスは、より多くの人にマッチする、多目的に使えるコンパクトカーといえる。
<SPECIFICATIONS>
☆B180 AMGライン装着車
ボディサイズ:L4430×W1795×H1550mm
車重:1450kg
駆動方式:FF
エンジン:1331cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:136馬力/5500回転
最大トルク:20.4kgf-m/1460~4000回転
価格:409万5000円(※AMGラインのオプション価格含む)
(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)
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