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退屈なエコカーじゃない!ボルボの最新PHEV「V60 T6ツインエンジン」は速さも自慢

&GP / 2019年8月17日 19時0分

退屈なエコカーじゃない!ボルボの最新PHEV「V60 T6ツインエンジン」は速さも自慢

退屈なエコカーじゃない!ボルボの最新PHEV「V60 T6ツインエンジン」は速さも自慢

ボルボのミドルクラスワゴン「V60」といえば、優れた安全性と充実した装備、広い荷室、さらには日本市場を考慮したボディサイズなどで、2018年の上陸以来、コンスタントに販売台数を伸ばしている人気モデル。

その日本仕様のラインナップに、先頃、大容量バッテリーを搭載したPHEV(プラグインハイブリッドカー)が加わった。果たしてその走りは、どんなフィーリングなのだろうか?

■電動化へと舵を切ったボルボの最新PHEV

ボルボといえば、「安全性に優れたクルマ」というイメージを抱いている人も多いはず。過去に送り出したクルマはもちろんのこと、最新のラインナップにおいても、ボルボは高性能な自動ブレーキを始めとする先進安全支援システムで、世界の他メーカーをリードしている。

一方、ここ数年のボルボは、未来のクルマ社会を見据え、電動車をラインナップの主軸にする電動化を、積極的に推し進めていることでも知られている。ボルボはすでに「2019年以降にスウェーデン本国で発売される新型車のすべてを電動車にする」という野心的な決意表明を行っていて、さらに「2021年までには、5台のEV(電気自動車)を発売する」とも宣言している。

ちなみに、ここでいう電動車とは、タイヤを駆動するのにモーターを活用するクルマのことで、エンジンの有無は問わない。そのため、EVはもちろん、ハイブリッドカーや燃料電池車なども電動車に含まれる。

そんなボルボが販売している電動車は、現時点ではPHEVが主軸だ。PHEVはハイブリッドカーでありながら、大容量のバッテリーを搭載していて、家庭用電源などを活用した充電にも対応。モーターだけで走れる距離が長いのが特徴だ。

ボルボはこれまで、同社で最も大きなSUV「XC90」や、ラージサイズ・ステーションワゴンの「V90」、ミドルクラスSUVの「XC60」などにPHEVをラインナップしてきたが、この春ついに、売れ線であるミドルクラスのステーションワゴンV60のPHEVモデルも、日本に上陸を果たしている。

■強力なライバルを凌駕する広い荷室

今回紹介するのはV60のPHEVだが、試乗へと出掛ける前に、改めてV60の立ち位置をおさらいしておきたい。

ボディサイズは、全長4760mm、全幅1850mmで、いわゆる“Dセグメント”に相当する大きさ。ちなみに1850mmという全幅は、日本の一般的な機械式立体駐車場のパレットに収まるギリギリのサイズで、「日本では不可欠な条件」とインポーターのボルボ・カー・ジャパンが強く要望し、決められた数値だという。そんなエピソードからも、ボルボが日本市場を重視していること、そして、ボルボ・カー・ジャパンがV60をセールスの大切な柱としていることがうかがえる。

競合モデルは、メルセデス・ベンツ「Cクラス ステーションワゴン」やBMW「3シリーズ ツーリング」、アウディ「A4 アバント」など。そんなドイツ・プレミアムブランドの各モデルに対し、V60がアドバンテージを得ているのが、ラゲッジスペースの広さだ。529LというV60の荷室容量は、430Lだった先代を大きく上回るだけでなく、Cクラス=460L、3シリーズ=495L、A4=505Lといったライバルを凌駕している。

実は新しいV60は、以前の「V70」の後継モデルと呼ぶにふさわしい存在だ。現在、ラインナップ構成の変更に伴ってモデル廃止となったV70は、かつてはボルボを代表するステーションワゴンとして多くの人々に愛された。そのため、新型V60の広いラゲッジスペースは、V70の後継モデルとして絶対に外せない要素だったというわけだ。キャンプやウインタースポーツなどを楽しむ人々は、ステーションワゴンの荷室に各種アイテムを満載するというケースも多い。そんな人たちにとって、ライバル車より多く荷物を積めるV60は、より魅力的に映ることだろう。

■単なるエントリーモデルではなく結構速いT6

そんなV60に追加されたPHEVモデルは、実はこれまでのボルボPHEVとは、ちょっと異なる。これまで他モデルでは、「T8ツインエンジン」と呼ばれるPHEVのみを展開していたが、V60にはそれに加え、「T6ツインエンジン」という新たな仕様が用意されたのだ。

T8とT6の違いは何か? それはエンジンのチューニングだ。T8、T6ともに、2リッターの直列4気筒ターボ&スーパーチャージャーという凝ったエンジンを搭載していて、T8に積まれるそれは、318馬力/40.8kgf-m発生するパワフル仕様、一方、T6のそれは、253馬力/35.7kgf-mとちょっと控えめなスペックになっている。

そこに組み合わさるボルボのハイブリッドシステムは独特だ。エンジンが前輪を駆動し、電気モーターで後輪を駆動する仕組みで、それこそが“ツインエンジン”というネーミングの由来となっている。ちなみに、T8、T6ともにモーターのスペックは87馬力/24.5kgf-mと同一なので、モーター走行中に限れば、T8とT6の動力性能に違いはない。

そうなると気になるのが、エンジンまで含めてのハイブリッド走行時、T8とT6の動力性能がどれくらい違うか? という部分。その差を探るべく、今回、T6をドライブしたのだが、かなり俊足で、結論的からいえば「これで十分」と感じられる仕上がりだった。

T8の318馬力というエンジン出力は、軽自動車5台分以上に相当するパワーであり、ガソリンエンジン単体でみても、かなりパワフル。率直にいって、過剰にさえ感じるレベルの力強さなのだ。

その点、控えめなスペックとはいえ253馬力を発生するT6のエンジンも、冷静に考えると十分にパワフル。アクセルを全開にするような領域においては、確かにT8との違いを感じるものの、一般的な走行領域においては、大きな違いは感じられない。T6は役不足どころか、かなり速いのだ。

ボルボのPHEVは、高効率な低パワーのエンジンとの組み合わせで、徹底的に燃費を稼ぐというタイプではなく、ハイパワーなエンジンにモーターを組み合わせることで、速さを強調している。しかもエンジン自体を、ターボやスーパーチャージャーで“ドーピング”している点も特徴で、そのキャラクターは、PHEVのエントリーモデルとなるT6にもしっかり受け継がれている。

■新しいT6はT8比で70万円安いプライスも魅力

T6においてもうひとつ見逃せないのが、T8に比べるとかなりリーズナブルなこと。例えば、上級グレードの「T6 ツインエンジン AWD インスクリプション」は749万円で、「T8 ツインエンジン AWD インスクリプション」の819万円と比べると、装備レベルは同じであるにもかかわらず、70万円も安い。

さらに、新たに導入された「T6 ツインエンジン AWD モメンタム」なら、659万円とさらに身近になる。モメンタムはV60のベースグレードで、装備類は上級グレードのインスクリプションと比べるとシンプルだが、プレミアムブランド・ボルボのミドルクラスワゴンだけあって、ひと通りの快適装備や先進安全装備が備わっている。その上“シティウィーブ”と呼ばれるモメンタム専用のインテリアは、“あえて”このグレードを選びたくなるくらい魅力的なのだ。

手頃なサイズの欧州プレミアムワゴンを狙っているのなら、V60は絶対に外せない存在。パワフルな走りを味わわせてくれるPHEVモデルのラインナップ拡充で、その魅力は一段と高まったことは間違いない。

<SPECIFICATIONS>
☆T6 ツインエンジン AWD インスクリプション
ボディサイズ:L4760×W1850×H1435mm
車重:2050kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ&スーパーチャージャー
トランスミッション:8速AT
エンジン最高出力:253馬力/5500回転
エンジン最大トルク:35.7kgf-m/1700〜5000回転
モーター最高出力:87馬力/7000回転
モーター最大トルク:24.5kgf-m/0〜3000回転
価格:749万円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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