1台で前後左右を録画できる全方位モデル3選【ドラレコ完全攻略③】
&GP / 2019年8月19日 20時0分
1台で前後左右を録画できる全方位モデル3選【ドラレコ完全攻略③】
【特集:ドラレコ完全攻略】
近年、 あおり運転や幅寄せなどの違法行為を撮影したドライブレコーダー(ドラレコ)の映像がさまざまなメディアで取り上げられるなど、危険運転が社会問題になっている。ドラレコの導入は、トラブルに見舞われたときの証拠としてだけでなく、危険運転防止の抑止力として活用されるようになっているのだ。
そこでカーグッズプレス編集部では、厳選したドラレコをタイプ別にテスト。取り付けやすさや使い勝手、画質、録画映像といった機能面のチェックから、話題の最新モデルやドラレコ関連ニュースまで、最新のドラレコ事情を6回に分けてお届けする。まだドラレコを導入していない人はもちろん、現在使用しているドラレコに不満がある人も要チェックだ。
第3回は、前方だけでなく室内や窓から見える車両周囲を見渡せる全方位モデルだ。この360度の画角を持つ特殊カメラを搭載している機種は年々、増えてきている。
【特集:ドラレコ完全攻略】
1. ドラレコ基礎知識
2. 「前方+後方」録画モデル3選
3. 「前後左右」録画モデル3選
4. 「前方+車内」録画モデル
5. 「高画質」録画モデル3選
6. ちょい足しリア録画グッズ
■録画や操作方法はさまざまだが、どの機種も設定や操作性は良好
今回テストした全方位録画モデル3機種は、それぞれが個性的だが、操作感も三者三様だ。
本体にディスプレイを持たないカーメイト「d'Action360S DC5000」は、専用アプリをインストールしたスマホ(iPhone/Android)と無線LAN接続して操作する。記録映像のストリーミング再生やmicroSDカードからのデータダウンロード、機能セッティング、手動録画操作などが簡単に行える。
一方、PIXYDA「PDR750SV」は、ドライブレコーダーとしては大型の5インチディスプレイを装備。画面を見ながらタッチ操作で設定できる。アイコンや表示が大きく、項目の選択がわかりやすいので、機械が苦手な人でも手軽に使えるだろう。レンズの角度は、手動で最適なポジションに調整できる。
コムテック「HDR360G」は、背面の2.4インチディスプレイと、4つのボタンを使って設定を行う。説明書を見なくても扱えるほどメニューがわかりやすい親切設計だ。操作キーのサイズが大きく、役割がはっきり書かれていて使いやすい。レンズは角度調整可能だが、基本的には真下に向けて使用する。
【機能&操作性をチェック!】
1. 水平360度カメラ1台で前後左右の確認が可能
PIXYDA
「PDR750SV」(実勢価格:3万円前後)
モニターユニットにカメラを組み込んだユニークなデザインが特徴。画面は5インチでタッチパネルディスプレイなので、映像の表示に加えて各種設定操作が行える。オプションカメラ接続で前後撮影モデルへの発展も可能だ。
【SPEC DATE】
●液晶サイズ:5.0インチ
●microSD:32GB付属
●フレームレート:24fps
●画角:水平360度、垂直220度
●駐車時記録:オプション
●GPS:有
●画像補正:WDR
▼タッチパネルスクリーンによるタッチ操作が可能
▲すべての操作はタッチパネルで行う。写真は撮影モードの切り替え時。好みのアイコンに触れるだけで切り替えられる。ポータブル型カーナビと同程度のサイズで画面は見やすい
▲設定操作はタッチパネル上で好みのものを直感的に選ぶだけ。細かく設定でき、選択項目は赤字で表示される
▲レンズの角度調整はレンズ部をつまんで前後方向に動かすだけ。ロック機構などは特に設けられていないが、クリック感のある動きで扱いやすい
2. 全天球映像+前方の高解像度映像を同時に記録
カーメイト
「d'Action360S DC5000」(実勢価格:5万2000円前後)
360度の撮影画角を持つレンズを本体に背中合わせにふたつ搭載。「全天球録画」で周囲の状況を記録すると同時に、車両前方を「フロント録画」として高解像度で記録できる。ドラレコだけでなく、外してバッテリー(別売り)を取り付ければアクションカメラとしても使える。
【SPEC DATE】
●液晶サイズ:ー
●microSD:専用カード付属
●フレームレート:27.5fps(※操作モードや温度によって変動)
●画角:水平360度、垂直360度
●駐車時記録:オプション
●GPS:有
●画像補正:WDR
▼スマホでも操作や撮影した映像の確認ができる
▲iPhone用、Android用それぞれに専用アプリを用意。設定を行うだけでなく、記録映像の再生やダウンロード、手動録画の操作なども行える
▲バッテリーオプションを利用すれば、アクションカメラとして活躍。「VRビューワー」と「専用アプリ」を使えばスマホでVR映像も楽しめる
▲本体の前面と背面それぞれに360度カバーするレンズを搭載。PC向け専用ソフト、スマホ向け専用アプリでは画像補正して表示
3. 全方位記録に加え垂直視野角も240度!
コムテック
「HDR360G」(実勢価格:4万円前後)
水平360度、垂直240度の撮影画角を実現。垂直方向のカバーエリアが広いため、車両前方も不足なく捉えられる。2.4インチディスプレイを内蔵し、専用ビューアーソフトを使用しなくても記録映像を素早く再生できる。
【SPEC DATE】
●液晶サイズ:2.4インチ
●microSD:16GB付属
●フレームレート:29.1fps
●画角:水平360度、垂直240度
●駐車時記録:オプション
●GPS:有
●画像補正:WDR
▼本体液晶でも確認できる「前後2分割録画機能」を搭載
▲レンズの角度を真下に向くように調整するのが標準だが、前方重視のセッティングをする場合は、やや前向きにセットする必要がある。画面を見ながらの微調整も可能だ。録画映像は本体液晶でも確認できる。
▲項目がアイコンのように並ぶ独特の配列だが操作自体はわかりやすい。ディスプレイの視認性にも優れ、表示される文字もクッキリしている
▲オプションを接続することで駐車監視が可能になる。フレームレートを5fpsに切り替え、最大10時間の映像を上書きせずに保存できる
■3モデルともクルマの周囲を多彩なアングルで再生!
PIXYDAとコムテックは、360度の全天周映像。カーメイトは、360度+360度の全天球映像を展開。
中でもやはり気になるのはカーメイトだろう。本体に搭載したふたつの360度レンズの映像を自動的に合成して再生可能で、「パノラマカット」では横長の映像を作り出し左右方向にぐるりと見渡せる。
画像を見ると映像のつなぎ目がわかってしまうが、これは、前面カメラは車外、背面カメラは室内に露出(明るさ)を合わせているため。車両前方の映像が真っ白く飛んでしまったり、室内の映像が黒くつぶれてしまったりすることを防ぐためだ。
「アングルカット」では、PCで確認時は自分の見たい場所を自由にマウスのドラッグ操作で選べる。死角がなく、足元や天井までしっかりと確認できる。拡大するとさすがに粗さも見えてくるが、独自のデュアルレック機能により車両前方だけをフルHD画質で捉えた映像も同時に記録できる。他にも、ふたつの円形映像を並べた「オリジナル」、前方映像の中に室内映像を組み込んだ「サークルイン」なども用意されている。
またスマホアプリには、真上から室内を見下ろしたような「リトルプラネット」や、真下から空を見上げたような「ラビットホール」というユニークなものもある。いずれの表示モードでも昼夜ともにクリアで見やすい映像だ。
PXIYDAは、前後左右の4分割画面表示が行えるが、歪みが少ないうえにくっきりしていて見やすい。前後のみの2分割表示にも対応している。夜間は室内が少し暗めだが、車両前方はよく見える。
コムテックは、左右にスクロールができるパノラマ表示や、横長の画面で前方と室内を同時に見せる2分割表示などを搭載。コントラストの高いクッキリとした映像でシャープさも十分。夜間の室内は少し暗い印象だが、車両前方は明るく映せるので安心だ。
▼PIXYDA「PDR750SV」
【昼間】レンズの角度調整で映せる範囲が変わるので微調整が必要
レンズを真下に向けた状態の場合、4分割画面のフロント映像は真上に近い部分の信号機が映らない。こんな時は、レンズ角度を上に向ければ信号機もしっかり映るようになる。ただし、クルマによってはドライバーの上半身は映らなかったり、左右窓の映像は傾いてしまったりするので微調整が必要だ。
【夜間】車内はやや暗めだが車外の様子はしっかり確認できる
室内はやや暗めでドライバーの顔や後席などは少し見えづらいが、車外は明るくハッキリ映っている。これは4分割画面でも2分割画面でも印象は同じだ。車外の状況を重視するならば特に問題はないだろう。
▼カーメイト「d'Action360S DC5000」
【昼間】撮影した映像はPCやスマホを使って4つのアングルで確認できる!
▲「オリジナル」では、前後カメラの全天周映像を並べて表示。見たい場所を選ぶこともできる
▲「サークルイン」では、オリジナルのフロント映像の中にオリジナルの室内映像を組み込む
▲「パノラマカット」は横長の見やすい映像へと変換。左右にスクロールもできる
▲「アングルカット」は、好きな場所を拡大して確認できる。車両前方を高解像度で記録できる「フロント録画」機能も備えている
▲専用スマホアプリは多機能で、機能設定だけでなく映像のストリーミングやダウンロードが可能
【夜間】見にくい映像は明るさ調整が可能
画像はオリジナルカットの夜間映像。車外も室内もよく見え、不満はない。他の表示モードでもこの印象は変わらない。なお、専用PCビューアーソフトは、より明るく表示される調整機能も搭載している。
▼コムテック「HDR360G」
【昼間】窓から見えるすべての方向を映し出せる“ラウンド表示”が可能
▲ラウンド表示は円形の映像となり窓から見えるすべての範囲と車内を映し出す。ラウンド設定で撮影した映像は、専用ビューアーソフトを使用することで、[ラウンド][16:9][パノラマ]の3パターンから表示を切り替えられる
▲垂直画角が240度と広いため車外が広く見える。パノラマ表示ではスクロールも可能
▲2分割表示では車両前方と室内を同時に表示。画像はレンズを真下に向けた状態。前方重視など好みのセッティングも可能だ
【夜間】車外の様子は明るくクッキリ見える
車内がやや暗めの傾向だが、車外はくっきりと見えるように明るさ調整されている。これはラウンド表示でもパノラマ表示でも同様の印象。
■まとめ
カーメイトは撮影範囲が広いうえに画質がよく高性能。オプションの追加で、アクションカメラとして使えるのも便利だ。コムテックは実用性、完成度ともに高く、必要十分な画質を備えていて操作性もいい。PIXYDAはタッチパネル操作と5インチの大きな画面が見やすく使いやすい点がポイントだろう。
>> 特集:ドラレコ完全攻略
本記事の内容はCarGoodsPress89号22-25ページに掲載されています
ドラレコ導入前に知っておきたい基礎知識【ドラレコ完全攻略①】
前方と同時に“あおり運転”録画に備えられるドラレコ3選【ドラレコ完全攻略②】
いざ、という時に備えてバックカメラも付いたミラー型ドラレコの導入を
(レポート/浜先秀彰 CGP編集部 撮影/澤田和久)
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