アレを変えたら極上の乗り心地が復活!街乗りでのマツダ3は期待通りの完成度でした

&GP / 2019年9月14日 19時0分

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アレを変えたら極上の乗り心地が復活!街乗りでのマツダ3は期待通りの完成度でした

日本での販売がスタートしてから4カ月余り。デリバリーも順調に進んでいるようで、街中で見かける機会も多くなってきた「マツダ3(スリー)」。

2018年末のロサンゼルスモーターショーで世界初公開されて以来、『&GP』でも折に触れて紹介してきましたが、今回ようやく、日本仕様の公道試乗が叶いました。

前身の「アクセラ」からマツダ3へと車名変更するなど、新世代マツダ車の先陣を切って市場へと投入された注目モデルだけに、その完成度が気になるという人も多いことでしょう。今回は、そんなマツダ3の“現在”のラインナップと、街乗りの印象について報告します。

■充実装備を考えればバーゲンプライスのマツダ3

日本で3世代にわたって展開されてきたアクセラから、海外モデルと同じネーミングへと改められたマツダ3。同社の新世代車両構造技術である“スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー”を採用。そして、2019年末には新世代ガソリンエンジン“スカイアクティブX”の搭載も予定されるなど、ネーミングやデザインだけでなく、その中身も大きく刷新されています。

エクステリアも、ひと目でマツダ車と分かる“魂動デザイン”を核としながら、不要な要素を削ぎ落とし、滑らかなボディの面で構成するなど、さらなる深化を遂げています。

ボディタイプは、新たに“ファストバック”と名乗ることになった5ドアハッチバックと、落ち着いたたたずまいの4ドアセダンの2種類が用意されますが、それぞれのボディパネルを細かく作り分けるなど、各々の差別化も徹底しています。

ボディサイズは、ファストバックが全長4460×全幅1795×全高1440mm、セダンは全長4660×全幅1795×全高1445mmという数値ですが、フォルクスワーゲン「ゴルフ」などが属す欧州“Cセグメント”サイズといった方が、分かりやすいかもしれませんね。

“現在”のマツダ3には、1.8リッターのディーゼルターボ“スカイアクティブD”と、2種類の自然吸気ガソリンエンジン“スカイアクティブG”が用意されていますが、ボディタイプによって設定が異なります。

まずファストバックは、最高出力116馬力のスカイアクティブDに加え、最高出力111馬力の1.5リッターと、156馬力の2リッターという、ふたつのスカイアクティブGを設定。駆動方式とトランスミッションは、スカイアクティブDと1.5リッターのスカイアクティブGはFFと4WD、6速MTと6速ATが用意されますが、2リッターのスカイアクティブGは、FF+6速ATのみの設定となります。

対するセダンは、スカイアクティブDと、2リッターのスカイアクティブGのみの設定。ディーゼル仕様はFFと4WDを選べますが、ガソリン仕様はFF+6速ATのみで、トランスミッションは両エンジンとも、6速ATだけとなります。

2リッターのスカイアクティブGは、駆動方式などの選択肢が少ない印象を受けますが、これは年末にデビュー予定のスカイアクティブXを見越しての設定…といったところでしょうか。スカイアクティブX仕様はファストバック、セダンともにFFと4WD、また、ファストバックには6速ATのほかに6速MTも設定されており、全体のバリエーションはさらに広がる予定です。

そんなマツダ3でこだわりを感じさせる点が、先進安全装備や運転支援システムの充実。安全装備は、ダイナミンク・スタビリティコントロールシステム(横滑り防止機構)&トラクションコントロールシステム、衝突被害を軽減するスマート・ブレーキ・サポート、死角からのクルマの接近をドライバーに通知するブラインド・スポット・モニタリング、車線からの逸脱回避を支援するレーンキープ・アシストなどが、全グレードに標準装備されています。また、近年、注目を集める運転支援システムは、レーダーセンサーによって先行車を検知し、アクセル/ブレーキペダルを踏まなくても車間距離をキープして追従走行を行う“マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール”を全グレードに標準装備。この辺りの充実ぶりも、マツダ3の魅力といえるでしょう。

ちなみに、マツダ3のメーカーオプションリストを見ると、驚くほどシンプル。360度ビューモニターやドライバーモニタリングをセットにした“360°セーフティパッケージ”(8万5300円)、エントリーグレード向けのスーパーUVカットガラスや地上デジタルチューナーなどのセットオプション(4万8600円)、上位グレード向けのBOSEサウンドシステム+12スピーカー(7万5600円)など、いくつかのセットが用意されるだけ。裏を返せば、安全装備や運転支援システムは基本的には“全部盛り”状態というのが、マツダ3なのです。

気になる価格は、最もベーシックなファストバック「15S」(FF)で218万1000円〜。“現在”、最も高いグレードのファストバック「Xバーガンディセレクション」(4WD)で362万1400円〜ですから、装備内容を考えるとバーゲンプライスといえるのではないでしょうか。

■気づくと適切な運転姿勢となっている出来の良いシート

さて、今回テストドライブへと連れ出したのは、2リッターのスカイアクティブGを搭載するファストバックの中間グレード「20S プロアクティブ ツーリング・セレクション」(6速AT/FF)と、スカイアクティブDを搭載するセダン「XD プロアクティブ ツーリング・セレクション」(6速AT/4WD)の2モデル。

実車を目の当たりにすると、ファストバックとセダンとではボディラインの処理が異なるため、受ける印象もそれぞれで異なりますが、ひと言でいえば、ファストバックは「カッコいいじゃん」、セダンは「端正だな」といったところでしょうか。

ファストバックは張りのあるリア回りの造形が印象的で、イタリアのスペシャリティモデルもかくや! といったたたずまい。

一方のセダンは、なだらかなルーフラインと絞り込まれたリアエンドの合わせワザにより、流麗かつサルーンらしいコンサバな雰囲気を作り出しています。

運転席に収まって真っ先に感じたのは、ファストバック、セダンともにシートの出来の良さ。座面、バックレストとも十分なサイズで、クッションストロークもしっかり確保。しっとりとカラダにフィットします。この“硬過ぎず、柔らか過ぎず”の塩梅、気づくと適切な運転姿勢となっている設計は、マツダのシート作りに対するこだわりを感じさせます。

インテリアデザインは、近年のマツダ車らしいシンプルでクリーンな造形ですが、明らかに世代が変わったと感じられるほど、クオリティの向上が図られています。例えば、エアコンの吹き出し口やメーターナセルなど、パーツ類の組み立て精度はさらに改善。ディテールの処理にも上質さが感じられます。

また、ダッシュボードやセンターコンソールなどに使われる、マテリアルの質感や使い分けも洗練されており、見た目はもちろん、触った時のタッチも、クラスを超えた仕上がりとなっています。また、些細なことではありますが、ドアインナーハンドルの裏側やステアリングに備わるシフトパドル、シフトレバーなどに無粋なパーティングラインがなく、それらに指が触れた時の心地良さも、上質さを感じる要因のひとつになっているようです。

では、走るとどうなのか? ファストバック、セダンともに動き出して真っ先に感じるのは、前身のアクセラに対してステアリングのギヤ比がスローになったせいか、パーキングから出る時や交差点を左折する際は「しっかりとステアリングを切る必要があるな」ということ。「スポーティなたたずまいなのに、イメージと違うんじゃない?」と思われるかもしれませんが、ちょっとした違和感を伴うのは最初の数分間ほど。しっとりとした操舵感と、車体がロールする動きの連携がきわめてリニアで、ステアリングを切ったら切った分だけ曲がっていきます。

“拳ひとつ分の動きでノーズがシュッと向きを変えて車線変更する”といったタイプではありませんが、コーナリング中の細かな修正も、リニアなのに過敏さを感じることなく、自分で操っているという実感は、むしろ前身のアクセラをしのぐといえるでしょう。

さて、モデルごとの印象ですが、2リッターのスカイアクティブGを搭載したファストバックは、そのスペックから想像するよりも軽快でした。156馬力に対し、車重は1360kgですから、矢のような加速こそありませんが、軽快に回るエンジンと軽やかなフットワークで、街中からワインディング、ロングドライブと、シーンを問わずドライブを楽しめるクルマに仕上がっています。

一方、スカイアクティブD+4WDのセダンは、車重が1460kg。最高出力116馬力、最大トルク27.5kgf-mではやや力不足かな、と思っていましたが、信号からのスタートでも高速の追い越しでも、不満を感じることはありませんでした。スカイアクティブDは回転フィールがスムーズで滑らかなので、背中を蹴られるような加速ではありませんが、伸びやかな加速と優れた静粛性は、スカイアクティブGに勝るといっても過言ではありません。

また両エンジンともに、100km/h巡航時のエンジン回転数は2000回転前後を指していますが、追い越し加速の際は、低回転域から厚いトルクが立ち上がるスカイアクティブDの方が、加速や騒音の面で有利といった印象でした。

■デザイン推しの人やディーゼル好きはすぐに試乗を!

基本的には期待通りの高い完成度で、ベタ褒めに終始しそうなマツダ3ですが、数日を共にすると些細ではありますが、気になる部分も出てきました。

ひとつ目はタイヤ。エントリーグレードを除き、全グレードとも215/45R18サイズが装着されていますが、トレッド面が硬いのか、指定空気圧が高いのか、卸したての新車だからなのか、段差を通過する際に「パチン」とたたかれるような感触や、リアに軽い揺れが残ります。この印象は、ファストバックの方がより顕著でした。

ただし、空気圧を指定値より5~10%下げると大幅に緩和され、以前、クローズドコースで乗った時のような極上の乗り心地が復活しました。とはいえ、空気圧の設定は燃費やタイヤの磨耗、ハンドリングに影響しますから、この辺りは、メカニックの方などプロの意見もうかがいつつ、いろいろ試しながら自分好みのスイートスポットを探していく、といったところでしょうか。

もうひとつ気になったのは、ドアの開閉音。特にリアドアは、全体の作りの良さを考えると「もうひと声、重厚さがあってもいいかな」という印象です。こうした、重箱の隅を突くかのような思いを抱くのも、今後のマツダ車に対する期待値の高さあってのことでしょう。

デビューからモデル末期に至るまで、しっかりと熟成を重ねていくマツダ車ゆえ、クルマ好きの間では「いつが買い時なのか分からない」といった冗談も出るほど。さらに、2019年末に登場を控える大本命、スカイアクティブXのデビューを待ってから判断、という人も少なくないはずです。とはいえ「マツダ3のデザインにほれた!」「長距離ドライブが多いのでディーゼルがいい」といった方には、「我慢は禁物。まずはご試乗を!」とお伝えしておきましょう。

<SPECIFICATIONS>
☆ファストバック 20S プロアクティブ ツーリング・セレクション
ボディサイズ:L4460×W1795×H1440mm
車重:1360kg
駆動方式:FF
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:6速AT
最高出力:156馬力/6000回転
最大トルク:20.3kgf-m/4000回転
価格:264万2800円

<SPECIFICATIONS>
☆セダン XD プロアクティブ ツーリング・セレクション
ボディサイズ:L4660×W1795×H1445mm
車重:1460kg
駆動方式:4WD
エンジン:1756cc直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:116馬力/4000回転
最大トルク:27.5kgf-m/1600~2600回転
価格:315万5800円

(文&写真/村田尚之)

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