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最終仕様のディーゼルは迷わず買い!最高レベルに達したVW「ゴルフ」の完成度

&GP / 2019年9月22日 19時0分

最終仕様のディーゼルは迷わず買い!最高レベルに達したVW「ゴルフ」の完成度

最終仕様のディーゼルは迷わず買い!最高レベルに達したVW「ゴルフ」の完成度

VW(フォルクスワーゲン)の「ゴルフ」といえば、輸入車の定番モデル。そんなゴルフに、ディーゼルエンジン搭載モデルが登場。10月1日に発売となる。

これはまさに“待望の上陸”だ。と同時に「ちょっと遅すぎじゃない?」という思いもある。なぜなら、日本で現行ゴルフが発売されたのは、6年以上前の2013年4月。そしてウワサによると、ドイツ本国では次世代型となる8代目の発表が、カウントダウンの状態にあるという。おそらく日本へも、デビュー後1年ほどで導入されることだろう。

つまり、せっかく追加されたゴルフのディーゼル仕様だが、旧型になるまでに残された時間は、そう長くない。これは購入を検討中の人にとって、実に悩ましい話ではないか?

■ゴルフ・ディーゼルの日本上陸が遅れた理由とは?

ゴルフのディーゼル仕様は、本来ならもっと早く、日本に上陸する予定だった。それがこれほど遅れたのは、北米で発覚したVWのディーゼルエンジン排出ガス不正事件があったため。北米市場向けの一部車種に、意図的に不正な検査対策を実施。排出ガス検査の際には問題ないものの、通常走行時においては排出ガスの基準を満たせなかった、という。

エンジンの走行性能と環境性能には相反する部分があるため、排出ガスの浄化性能を“緩めた”VWのディーゼルエンジンは、走りにおいて高評価を獲得。しかしそれが、不正の結果と分かるやいなや、VW自身、イメージダウンなどの大きなダメージを受けた。

念のためにお伝えしておくと、今回、ゴルフに搭載されたディーゼルエンジンは、不正が行われたエンジンとは全くの別物。もちろん、しっかりと環境基準を満たしているから、安心して選んで間違いない。

■ベーシック版だけど一番好印象なゴルフのTDI

ところで、輸入車好きの間の通説として「輸入車はウィークポイントをつぶし、熟成を重ねた最終モデルが最も魅力的」というものがある。果たしてそれは、本当のことなのだろうか? もし本当だとしたら、間もなくフルモデルチェンジを控えた現行ゴルフも、“素晴らしい買い物”になるのではないか? 今回はそんな視点も交えながら、ゴルフ・ディーゼルの実力をチェックしてみたい。

VWのディーゼルエンジンは“TDI”と呼ばれるが、これは“ターボチャージド・ダイレクト・インジェクション”の略。いうなれば“ターボ付きの直接噴射”であり、Dがディーゼルエンジンの頭文字でないのは、ちょっと意外だ。ちなみにVWのTDIは、すでに「パサート」や「ティグアン」などに搭載されて上陸済みであり、玄人筋から高い評価を得ている。

ゴルフシリーズにおいては、主力の5ドアハッチバックに加え、「ヴァリアント」と呼ばれるツーリングワゴンにもTDIをラインナップ。グレードは、中級仕様の「コンフォートライン」と上級仕様の「ハイライン」、さらには、先進安全装備などを追加した特別仕様車「コンフォートライン マイスター」と「ハイライン マイスター」も用意される。いずれも、ガソリンエンジン仕様に存在するグレードで、エンジンの違いによる装備差はない。

今回の試乗車である5ドアハッチバックのハイライン マイスターには、液晶デジタルメータークラスターやヒートシーター付きレザーシートが採用され、モデル末期とはいえ、装備面で見劣りするようなことは、一切なかった。

さて、新たに上陸したゴルフ・ディーゼルで気になるのは、やはり走りの実力だろう。

今回は、空いている郊外の一般道と高速道路、そして、曲がりくねった峠道を走ってみたが、走りのフィーリングは申し分なし。何より、発進の際などにアクセルペダルを深く踏み込んだ直後のグッと前へ押し出される加速感は、ディーゼルエンジンらしい力強さにあふれている。

それでいて、音や振動、静粛性といったディーゼル特有のネガも、昨今のディーゼルエンジンとして不満のない仕上がり。ここ数年、各社のディーゼルエンジンは、ドライブフィールの向上が著しく、良し悪しの判断基準がどんどん引き上げられているが、そうした中にあって、ゴルフ・ディーゼルは満足できる仕上がりであり、「これは買い!」と思えるところまで、しっかり煮詰められている印象だ。

日本市場に導入されるVWのTDIは、いずれも基本設計は同じながら、チューニングの違いで3タイプが存在。パサートには190馬力の高出力版が、ミニバンの「シャラン」には177馬力のミドル版が、そしてゴルフには、150馬力のベーシック版が搭載される。

ゴルフ・ディーゼルのTDIは、最もローパワーのベーシック版でありながら、動力性能的に満足できるばかりか、静粛性やフィーリングに関しては、高出力タイプよりも好印象。「ベーシック版はすべての性能が低レベル」でないのが、なんとも奥深い。ゴルフ・ディーゼルをドライブしていると「これぞ現行ゴルフの真髄だ」という気分にさえなってくる。

現行ゴルフに用意されるパワーユニットは、日本市場においても、ガソリンエンジン、プラグインハイブリッド、モーター、そして新しいディーゼルエンジンと、ラインナップが多彩。本国ドイツでも、昨今はガソリンエンジンの人気が高まっているというが、販売のメインはいうまでもなくディーゼル仕様だという。ドイツではディーゼル人気が根強く、販売台数の半分近くがTDIとなっている。

ドイツのゴルフユーザーがTDIを選ぶ最大の理由は、なんといっても燃料コストの安さ。そうした恩恵を受けられるのは日本市場も同様で、消費税10%を含む車両価格は、ガソリン仕様に比べてコンフォートラインで38万円、ハイラインで24万円ほどTDIの方が高いが、実用燃費に優れる上に軽油の燃料単価が安いから、ランニングコストを抑えられる。走行距離が伸びれば伸びるだけ、ディーゼル車の燃料代の安さが際立ってくるのだ。

■最終仕様のゴルフ・ディーゼルは「迷わず買い!」の存在

さて、ディーゼルエンジンを積んだ現行ゴルフは、積極的に買うべき存在か? その答えを出すのは、正直いって悩ましい。

今回、ゴルフに積まれたTDIの完成度は高いし、モデル末期となった今も、現行ゴルフそのものの出来は素晴らしい。だがどうしても、個人的には、間もなくデビューするといわれる新型の影が気になってしまう。

とはいえ、熟成を重ねた最終仕様が一番魅力的であることも、今回の試乗を通じて改めて実感した。新型のデビューを承知の上で、あえて完成度の高い最終仕様を“満を持して”選ぶというのも、これまた間違いではないだろう。

デビュー直後は煮詰めが足りていなかった部分にしっかりと対策を施し、機械としての完成度が高くなった最終仕様。そういう意味で、熟成の進んだ現行ゴルフは、魅力あるクルマといえるだろう。もし今、ゴルフ・ディーゼルが気になる人にとっては、「迷わず買い!」の存在であることは間違いない。

<SPECIFICATIONS>
☆TDI ハイライン マイスター
ボディサイズ:L4265×W1800×H1480mm
車両重量:1430kg
駆動方式:FF
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル+ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:150馬力/3500~4000回転
最大トルク:34.7kgf-m/1750~3000回転
価格:391万円(消費税10%込み)

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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