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人気モデル「A4」に見るクルマ作りの哲学!スムーズで滑らかな走りこそアウディの真骨頂

&GP / 2019年9月23日 19時0分

人気モデル「A4」に見るクルマ作りの哲学!スムーズで滑らかな走りこそアウディの真骨頂

人気モデル「A4」に見るクルマ作りの哲学!スムーズで滑らかな走りこそアウディの真骨頂

メルセデス・ベンツやBMWと並び、ドイツの3大プレミアムカーブランドに数えられるアウディ。

そんなアウディのクルマ作りには、ある“こだわり”がある。ミッドシップスーパーカーの「R8」を除けば、後輪駆動をベースとするモデルが存在しないのだ。どうしてアウディは、プレミアムカーの定番とされる後輪駆動レイアウトではなく、前輪駆動と、それをベースとする4WDをクルマ作りの核としているのか?

今回は主力モデル「A4アバント」をテキストに、アウディのクルマ作りについて検証したい。

■独自のこだわりから前輪駆動を基軸とするアウディ

コンパクトカーを中心に、多くの自動車メーカーが前輪駆動レイアウトを多用する最大の理由は、パッケージングを効率化して居住スペースを広くとれる、というもの。

しかし、アウディが前輪駆動レイアウトをクルマ作りの基礎とする理由は、スペース効率の追求ではない。後輪駆動に比べて直進安定性を高められるから、というのが、有力な理由とされている。そんな思想の延長線上にあるのが、アウディが得意とする4WD技術“クワトロ”。伝統やドライバビリティの向上よりも、機械としての理想を追求するこだわりが、アウディのクルマ作りの根底に息づいているのだ。

そんなアウディの主力モデルが、ミドルサルーンの「A4」。ボディサイズは、全長4755mm(仕様により4750mm)、全幅1840mmで、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」をライバルとする、いわゆる“欧州Dセグメント”と呼ばれるクラスのド直球モデルだ。

ライバルのCクラスや3シリーズが後輪駆動レイアウトを基軸とするのは、同方式が高級セダンの伝統であり、走行フィールなどの面でメリットがあるから。一方でA4は、前述のように、アウディのこだわりに則り、前輪駆動レイアウトを中核としている。

そんなA4が、先日、マイナーチェンジを受け、エクステリアデザインのリフレッシュを行った。いわゆる“イヤーモデル”と呼ばれる1年ごとの商品改良の一環だ。エクステリアはざっくりいって、スポーツ仕様の「S4」や、スポーティなセットオプション「Sライン」向けのフロント回りが新デザインとなり、従来はSライン用だったデザインが、主力グレードへも展開されるように。つまり、全体的にスポーティ感が底上げされている。

インテリアは、カラーリングの変更などにとどまるが、定評ある質感の高さは、最新モデルでも健在。ドアを開け、シートに収まった瞬間に感じられる“いいモノ感”は、アウディならではの魅力といえる。

ボディラインナップは、オーソドックスなセダンと、“アバント”と呼ばれるステーションワゴンを引き続き設定。

荷物がかさばりがちなキャンプや、スキー/スノーボードといったウインタースポーツを趣味とする人には、広いラゲッジスペースを確保したアバントは魅力的な選択肢といえる。

■手足のようにクルマが馴染むA4の走り味

搭載されるエンジンは、従来モデルから不変。150馬力の1.4リッターターボ、190馬力の2リッターターボ、252馬力の高出力版2リッターターボ、そして、354馬力を発生するS4用の3リッターV6ターボをラインナップする。

アウディが前輪駆動レイアウトをクルマ作りの基軸とするのは、優れた走行安定性のため、と紹介したが、実際のドライブフィールもまさに、そうしたアウディの目指す方向性を具現したものといえる。

まず試乗したのは、150馬力の1.4リッターターボを積んだ前輪駆動モデル。排気量が小さいだけに、乗る前は加速性能に不安を抱いたが、ターボチャージャーによるアシストのおかげで、日常的な走行シーンでは不満を感じなかった。

それもそのはず、25.5kgf-mという最大トルクは、自然吸気エンジンでいえば2.5リッター級の力強さであり、発進加速時もストレスなくスピードが上がっていく。山道や高速道路で圧倒的な速さを求めなければ、これで十分、事足りるはずだ。

また、ハンドリングフィールには、正確性と安定した挙動による安心感がみなぎっていて、出来のいい移動ツール、といった印象が強い。

次にドライブしたのは、190馬力の2リッターターボを搭載する前輪駆動モデル。エンジンフィールは、スポーティになったルックスとは裏腹に、アクセルを踏み込む喜びを提供してくれる、というよりも、実用トルクを重視した縁の下の力持ちといった印象。これだけのパワーとトルク(32.6kgf-m)があれば、走行シーンを問わず“速さ”を感じられるはずだ。

同じ2リッターターボでも、ハイパワー版とクワトロの組み合わせになると、印象が少々異なる。エンジンは気持ち良くスムーズに回転が上昇し、アクセルペダルを踏み込むと、自動でシフトアップする6000回転まで軽快に吹け上がる。ハンドリングにはキビキビとした軽快感や過激さはないものの、クルマの動きが実際よりも軽く感じられる。なんだかクルマとドライバーが一体化し、手足のようにクルマが馴染む感じだ。

こうした走りの特徴は、ライバルにはないアウディらしい美点。グッとくるスポーティ感は乏しいけれど、すべてがスムーズで滑らか、気づけばスピードが乗っている。これこそがある意味、アウディの真骨頂だろう。2015年に本国でデビューしたA4は、そろそろモデルライフ後半にさしかかっているが、改めて触れてみると、このクルマをあえて選びたくなる理由がよく分かる。

<SPECIFICATIONS>
☆アバント 35 TFSIマイスターシュトュック
ボディサイズ:L4755×W1840×H1435mm
車両重量:1490kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:150馬力/5000~6000回転
最大トルク:25.5kgf-m/1500~3500回転
価格:539万円(消費税10%込み)
※試乗車は「アバント 35 TFSIスポーツ」のため細部デザインが異なります。

(文&写真/工藤貴宏)

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