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日本上陸20周年!アウディ「TTクーペ」のインパクトは最新モデルでも不変です

&GP / 2019年10月5日 19時0分

日本上陸20周年!アウディ「TTクーペ」のインパクトは最新モデルでも不変です

日本上陸20周年!アウディ「TTクーペ」のインパクトは最新モデルでも不変です

2019年は、アウディの「TTクーペ」が日本に上陸を果たしてから20周年というメモリアルイヤー。

1998年にドイツ本国で衝撃的なデビューを飾った初代の衝撃は、先頃、マイナーチェンジを受けた最新モデルにも受け継がれているのだろうか?

■カーデザインやクルマ作りを革新した初代TTクーペ

初代TTクーペのデビューは、衝撃的だった。まず驚かされたのは、そのデザイン。エクステリアは半円をモチーフとし、フロント回りやルーフ、リア回り、そしてタイヤを覆うフェンダーアーチが、それまで見たことがないような丸みを帯びていた。UFOのような未知の乗り物を想起させるアバンギャルドなスタイルは、個性的でありながら、人々の心を惹きつける魅力にあふれていた。

初代TTクーペのもうひとつの衝撃は、その車体構造。TTクーペは専用デザインをまとった正真正銘のスポーツカーだが、車体構造を始めとする基本メカニズムは、コンパクトハッチバックのアウディ「A3」がベース。一般的な乗用車とメカニズムを共用してスポーツカーを作るという手法は、当時としては画期的だった。その後、日産自動車が「フェアレディZ」で同様の手法を採用するなど、現在ではさほど珍しいことではなくなったが、スポーツカーといえば専用プラットフォーム、というのが常識だった当時としては、驚きのアイデアだったのである。

また初代TTクーペは、インテリアにフェイクではなく、贅沢にも本物のアルミ製パネルを使っていた点も注目を集めた。プレミアムオーディオブランドのバング&オルフセンは、今でこそアウディの車載システムを開発していることで知られているが、そもそもアウディが同社とつながりを持つようになったのは、高音質オーディオの開発ではなく、初代TTクーペの開発時に、アルミの加工技術で協力を仰いだことがきっかけだった。

このように、TTクーペは随所に常識破りのアイデアを盛り込んだことから急激に存在感を高め、人気モデルへと成長していった。

■最新のTTクーペにも息づく“常識を打ち破る”という思想

そんな初代TTクーペが日本に上陸してから早20年。2回のフルモデルチェンジを経て3代目となり、先頃マイナーチェンジを受けた最新フェイズに試乗することができた。

まず「変わらないなあ」と感心させられたのは、“新しさ”を求め続ける姿勢だ。その真骨頂は、初代がエクステリアだったのに対し、最新モデルではインテリアへ移り変わっている。例えば、TTクーペのダッシュボードには、一般的に存在しているふたつの重要なアイテムがなく、その代わりに、他のモデルには採用されていない斬新なアイデアが組み込まれている。

そのひとつが、ナビゲーションのモニターだ。TTクーペは当然のごとく、全グレードにカーナビを標準装備しているが、インパネ中央には一般的なカーナビの画面が存在しない。その代わりとして、ドライバーの正面にあるメーターパネルが全面液晶になっていて、そこにカーナビなどの情報を表示。結果として、スポーツカーらしいシンプルなコックピットデザインを作り上げている。

今でこそ、他メーカーにもメーターパネルにナビ画面を映し出せるクルマが登場しているが、現行のTTクーペ(とその派生モデルである「TTS」や「TTロードスター」)はその先駆け。そして、インパネ中央にナビ画面を持たず、メーターだけで表示するモデルは、今となってもTTシリーズだけである。

ふたつ目の斬新なアイデアは、インパネに一般的なエアコンのコントロールパネルが存在しないこと。ジェットエンジンをイメージしたというエアコン吹き出し口は現行TTシリーズの大きな特徴だが、その中央部にエアコン操作ダイヤルを組み込んでいるのだ。

このように、現行TTシリーズのインテリアはオリジナリティが高く、実に前衛的。常識を打ち破ることこそが、TTシリーズのアイデンティティとして息づいているのだ。

■感性に訴えかける走りの味つけはお見事

TTクーペといえば、スポーツカーらしい走りもウリのひとつだが、それは最新フェイズになっても不変だった。

実は、アウディの最新モデルは、「Sシリーズ」や「RSシリーズ」といったスポーツモデルを除くと、燃費重視の味つけだからか、妙に大人しく感じるケースが多い。アクセルペダルを踏み込めば、確かにスピードは乗るのだが、気分の盛り上がりには欠ける印象で「もっとアクセルを踏み込んでみたい!」という衝動に駆られにくい。刺激や爽快感という点で、どこか物足りないのである。

しかし、今回の試乗車である「45 TFSIクワトロ」に積まれる230馬力の2リッターターボエンジンは、「グググッ!」っとパワーがわき出る味つけで、スポーツカーらしく、どんどんアクセルペダルを踏み込みたくなる。スポーツカーにはやはり、単純な速さだけでなく、感性に響く味つけも大切。最新のTTクーペには、そうした美点がしっかりと盛り込まれている。

一方のフットワークも、ハンドリングはクイックでスポーツカー然とした味つけ。高度な4WDシステム“クワトロ”を搭載していることもあって、走行安定性にも優れている。

その上で「さすがだな」と思わされたのは、スポーツカーらしい低い着座姿勢と、それに合わせ、ステアリングの位置などをしっかりと作り込み、最適なドライビングポジションを追求していること。「そんなの当然のことだろう」と思われる人がいるかもしれないが、乗用車ベースのスポーツカーの中には、こうした点がおろそかになっているクルマも時折、見受けられる。

しかしTTクーペは、運転席に座って各種調整を行うだけで、しっかりとしたドライビングポジションをとることができる。そこには、「スポーツカーはやはりこうでなければ」という、理想を追い求める開発チームの強い意志が感じられる。

また、スポーツカーとしては望外に実用性が高い、という点も、初代から受け継がれるTTクーペの魅力といえる。大きく開くリアゲートによって大きな開口部を実現したラゲッジスペースは、大きな荷物もラクに積み下ろし可能。その上、リアシートの背もたれを倒せば、712Lというステーションワゴンも顔負けの、広くてフラットな空間を確保できる。

こうした点もまた、ライバルに対するアドバンテージといえるだろう。

■現行モデルを持ってTTシリーズは消滅する!?

最新フェイズのTTクーペは、デザインがよりスポーティになった。従来は、ひときわスポーティなスタイルとなるオプションメニュー「Sラインパッケージ」用のバンパーやサイドスカートを、通常モデルにも採用。フロントグリルも、立体的なマットブラックペイントの3Dハニカムメッシュを導入した新デザインとなっている。もちろん、Sラインパッケージのエクステリアは、さらにスポーティな新デザインへと進化している。

最新フェイズのもうひとつの注目は、エントリーグレードである「40 TFSI」に搭載されるエンジンが、従来の1.8リッターターボから、新たに最高出力197馬力、最大トルク32.6kgf-mの2リッターターボへと変更。7速のデュアルクラッチ式トランスミッション“Sトロニック”と組み合わせた。その結果、パフォーマンスが大幅に向上し、エントリーグレードでもさらなる高性能を楽しめるようになっている。

そんなTTシリーズで気になるのが、今後の展開だ。実は2019年の株主総会において、アウディ経営陣が「TTシリーズは現行型で廃止し、数年後に後継の電動モデルへと置き換える」という主旨の発言を行ったという報道がある。

そのコメントが意味するのは、「次期型TTシリーズが電気自動車になる」、ということではなく、「TTシリーズが消え、その代わりに全く別の電気自動車が登場する」ということだろう。

開発陣が限られたリソースの中で理想を追求し、常に新たなスポーツカー像を提案してきたTTクーペ。クルマを取り巻く環境が変化する中、この特別なスポーツカーを楽しむために残された時間は、そう長くないのかもしれない。

<SPECIFICATIONS>
☆45 TFSIクワトロ(Sラインパッケージ装着車)
ボディサイズ:L4200×W1830×H1370mm
車重:1420kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:230馬力/4500〜6200回転
最大トルク:37.7kgf-m/1600〜4300回転
価格:646万円(消費税10%込み)

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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