いよいよ電動丸ノコで木材切断デビュー【DIYでウッドデッキ自作顛末記③】
&GP / 2019年10月31日 15時0分
いよいよ電動丸ノコで木材切断デビュー【DIYでウッドデッキ自作顛末記③】
「いやー、基礎ができましたねー」
「確かにそれっぽいけど、素人の俺から見ても高さがバラバラだぞ。大丈夫なのか?」
日曜大工でウッドデッキを作るとき、一番難しいのがデコボコな地面に基礎の束石を並べる作業。蛇行したり平行四辺形になったりせず、作りたいウッドデッキの形にまっすぐ並べるだけでも、初心者は精一杯。その上、全部の束石の高さを揃えるなんて至難の業だ。そこで今回の工事では、高さの調整を最初から諦めている。
▲手作りの三角定規と白スプレーで、庭に直接図面を描き、穴を掘り、束石を並べ作った基礎。前回までの顛末はこちら
「編集長、心配しないでください。すごいアイデアを持ってきましたから」
「この前も言ってたけど、本当かー?」
「ずいぶん疑いますね。そんなら俺は帰りますよ!!」
「まあ、待て、今夜は美味い肴を用意したから」
「美味い酒の肴ですか! では仕方ない、ここからお待ちかねの木工が始まります」
「おー、ついに木が登場するのか!」
ウッドデッキ作りの醍醐味は、やはり材木と様々な工具をふんだんに使った木工作業。喜ぶのも当然なのだ。
「でもその前に! 2×4材を使ってウマを作ってもらいますよ」
▲厚さ19mmの「1×材(ワンバイ材)」と、厚さ38mmの「2×材(ツーバイ材)」がDIYでよく使われる建築資材。写真は上から1×4(19×89mm)、2×8(38×89mm)、2×8(38×184mm)。長さは、3ft(フィート)〜12ftまでそろう
「ツーバイフォー? ウマ〜〜?」
2×4材とは材木の種類のことでアメリカ発祥の規格。2インチ×4インチの厚さを代表格に、インチ単位でさまざまな太さのものがあり、日曜大工の家具作りからプロが建てる住宅の構造材まで、様々な用途で使われている。樹種はさまざまなだが、北米産の針葉樹が使われることが多く、比較的安価で加工しやすいため、ホームセンターなどでの取り扱いも多い。
「とっても使いやすい材木で、今回のウッドデッキの床材にも使いますので、よーく慣れ親しんでおいてくださいね」
「それはいいけど、ウッドデッキで遊ぶなら、木馬よりブランコか滑り台の方が楽しいんじゃないか?」
「遊具のウマの話じゃありませんって!」
木工の現場で「ウマ」といえば、4本足に背が材木1本の台のことである。これを2つ用意することで、長い材木を乗せ掛けできる作業台となるのだ。
「さて、ここで丸ノコの登場です。編集長、どんなの用意しました?」
「ふふふ、ついにこの時が来たか。ジャジャーン、これだ」
■DIYの必需品「電動丸ノコ」は最大切り込み深度を考える
▲高効率モーターコアと高出力コントローラにより、堅かったり、厚みがあったりする部材も安定して切断できる。ハンドルと重心の距離が近く、コントロールしやすく作業時の負担も軽減される。回転数が急速に低下したとき、瞬時にモーターを停止する「キックバック軽減システム」も搭載している。のこ刃直径165mm、最大切り込み深さ66mm(90度)/46mm(45度)。重量2.6kg
「おー、かっこいいじゃないですか」
編集長が用意した丸ノコは、電動工具大手のHiKOKI製の「深切り電子丸ノコ165mmC6MEY」(3万8000円/税別)。緑と黒のコントラストが精悍なモデルだった。
「ちゃんと言われた通りの要求性能を満たすものを用意しといたぜ」
日曜大工を象徴する工具と言える丸ノコだが、その機能はいたってシンプル。回転するノコギリ刃が材木をまっすぐに切断するだけだ。しかしウッドデッキなどの大きな工作物を作ろうとすると、選ぶときにいくつかの注意点が出てくる。
まず注目すべきは最大切り込み深度。電動工具売り場に行くとわかるが、丸ノコの回転刃には、いくつかのサイズがある。当然、サイズが小さい方が取り回しが良く使いやすいが、一度に切断できる深さが浅くなる。各メーカーは色々な工夫をし、取り回しの良い大きさで、切り込み深度を深くするべく頑張っているのだ。
「ウッドデッキのような太い木を使うことが多い工事では、使う予定の材木の厚さと切り込み深度を考えて、丸ノコを選ばないといけないんですよ」
「なるほど、せっかく購入した丸ノコで木が切れなかったら悲しいもんな」
次に本体裏面に付くベース面の位置を調整する機構。ベース面の位置を変えることで切断する深さが変わる。作業中、深さを変えることは非常に多いので、容易に調整でき、一度決めたらビシッと止まる機構がついた機種が望ましい。
最後にモーターの強さと制御。当たり前だが、パワーが強いほど、楽に速く切断ができる。そしてモーターを安定的に回すことができる電子制御機能がついた丸ノコなら、後述するキックバックの事故が起こりにくいのだ。
■丸ノコは「キックバック」に注意すれば怖いものなし!
「じゃ、印をつけといたので、これで2×4材を切ってみましょう」
ギュワーーーーン!!
「!! おい、これは怖いぞ」
丸ノコの回転音は結構大きい。おまけに視覚的にも迫力がある。
「左手の位置と体の位置に気をつけてください。一番怖いのがキックバック現象です」
丸ノコの刃の回転方向は、自動車に例えるとバックで走る時のタイヤの方向と同じ。つまり後ろ回転。
手で押し出しながら材木をスムーズに切断できていれば問題ないが、何かの拍子に切断面に引っかかると、回転刃がタイヤの役目を果たし、丸ノコが後ろに向けて走り出す。そこに指や腕、足があると、簡単に切断されてしまうので注意が必要だ。
「おい、怖いな! 切ってくれ」
「ダメですよ編集長。自分でできるようにならないと、将来ウッドデッキのメンテだって大変ですよ」
キックバックさせないための注意点はいくつもあるが、初心者がやりがちなのが、切断中の材木を「逆への字」の形にしてしまい、切断面に刃を挟んでしまうシチュエーション。これを避けるためには、支点となるウマの位置を考えないといけない。
確かに事故が怖い丸ノコだが、これなしで大工仕事をすることは、ほぼ不可能だと言って良い。しっかりと使えば、とても便利な道具なので頑張って身につけてほしい。
「あー怖かった! なんとか、全部の材木を切ったぞ」
■2×4用の製作金具を使ってウマを作る
▲使用した電動ドライバドリルは、HiKOKI 10.8Vコードレスインパクトドライバ WH12DD(3万9300円※リチウムイオン電池 4.0Ah×2個/税別)。全長が短く、取り回しやすく狭い場所でも重宝する。3段階の締め付けモードに加え、LEDライト、電池残量、電池高温、電池故障を確認できる電池残量表示ランプも搭載する。サイズ:全長134×全高219×全幅28.5mm、重量2.3kg
「初めてにしては大したもんですよ編集長。じゃ次は、この金具を使ってウマの形に組んでいきましょう」
木工の達人なら、自分で木組を作り組み立てるところだが、今は便利なアイテムも多く出ている。今回用意したのは、アメリカFLUTON社製の金具。イリノイ州に本拠を置くFULTON社は、1906年からハードウェアや家庭用品を生産している歴史あるメーカー。この金具を2個使えばネジ24本で留めつけるだけで、ウマが1台完成するのだから、便利な時代になったものだ。
「これってアメリカ製なんですって」
「ほー、ってことはアメリカの大工もウマを使うってことか!」
「英語ではソーホースって言うらしいですよ」
「へー“ノコギリウマ”か。面白いなー」
丸ノコの緊張から解き放たれた編集長。スイスイとネジを留め付け、二脚のウマが完成。次からいよいよ、本体工事のスタートだ。
>>HiKOKI「165mm 深切り電子丸のこ C6MEY(S)」
>>HiKOKI「10.8Vコードレスインパクトドライバ WH12DD」
>> 連載
(写真・文/阪口克)
旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。
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